天国には痛みも苦しみもない、悲しいこともなく皆が幸せに過ごせる……らしい。
そんな〝つまらない〟空間に耐えられる自信、ないよ。
痛みから生まれた芸術を、音楽を、様々な作品を、私は愛している。
人間が持つ負の感情をこれでもかと吐き出し、表現されたものに惹かれる。
私が好きなもの………つまり私にとっての天国は、その仄暗い場所。
多分幸せしかない場所では、退屈すぎて嫌になっちゃう。
何を天国とし、何を地獄とするかは、人の数だけ存在している。
だから私はいつか、私の望む「天国」へ行ければいいなと思う。
例えそれが、他者からは地獄だと言われようとも。
拝啓 あの頃の私へ
今、なんで生きてるのか分からないでしょう
毎日が嫌なことだらけでしょう
つらいでしょう
逃げ出したいでしょう
拝啓 あの頃の私へ
手首、痛くて痒いよね
でもまたやりたくなっちゃうよね
バレないように、どんどん場所も変えるよね
この瞬間だけは、生きてる気がするよね
拝啓 あの頃の私へ
色々あったけどさ、結局私は今日も生きています
嫌なことつらいこと沢山あったけど、毎日生きています
楽しいことも、嬉しいことも、面白いこともあります
こんな人生も悪くないなと、思い始めています
だからさ、
拝啓 あの頃の私へ。
意外と今の私は、私らしくいるから。
安心してその道を歩いてきてね
※微ホラーかも
「透明標本」が大好きだ。
生物の肉質を透明にし、骨格を見えるようにする。
骨格研究の手法として生まれたそれは、もはや芸術作品。
本来の用途は骨格観察なのだろうが、私にとってこれは1種の絵画鑑賞に近い。
皆がダ・ビンチやピカソやモネを見て感動するように、私は透明標本のひとつひとつに感動する。
魚類も爬虫類も鳥類も甲殻類も…………普段肉で覆われて見ることが出来ないその下にある骨は、こんなにも美しいのだ。
小さな瓶の中に浮かぶ赤や青に色付いた鮮やかな骨と美しく虚ろな眼窩に、おそろしく惹かれる。魅了される。
きっと〝ヒト〟の透明標本も
とても、とても、とても、美しいだろう
大切に書棚に飾ってある作品たちを見ながら、私は次に制作する標本に思いを馳せることにした。
優しくて
年上のきょうだいみたいで
同じもので笑えて
でも時に厳しくて
辛い時は支えてくれて
お互いそうやっていける
そんな理想のあなた
唯一の欠点は………そうね、
スクリーンから出てきてくれないことかしら。
「永遠に続くものなどない」
充分にわかっていたつもりだった。
この楽しさや幸せにも、いつかは終わりが来るとは思っていた。
けれど、本当に、こんな唐突にそれがやってきて、あまりにもあっけなく日常が崩れるとは思っていなかった。
あんなにも受信メールを開く手が震えたのも、
開いた画面を見て本当に崩れ落ちたのも、
無意識に何の意味も持たない言葉で叫んで泣いたのも、初めてだった。
最後に見たのはいつも通りの優しい声と美しい笑顔だったから
こんなにも突然別れが来るなんて考えてもいなかった
今でもまだ、夢ではないかと
目が覚めたらまた会えるはずだと
「受け入れられた気がする」なんて言ったくせに、心はいまだにぐちゃぐちゃだ。
心に深く空いたこの穴は、もう一生埋まることはないのでしょう。