心の灯火
私はアイドルのきらりくんが大好き!
ずっと彼のことを考えてる。
グッズもいっぱい買ってる。
ライブだって、握手会だって、サイン会だって、多くのイベントに参加した。
私の心の支え!
何があっても、
彼がいるだけで、
彼が画面の向こう側で笑っているだけで、
幸せな気持ちになれる。
彼の幸せが私の幸せって、
ずっと思ってた。
[アイドルきらり一般女性と熱愛疑惑]
なに?なんで?
どうして、?一般女性、、??
彼が幸せならと思おうとも叶わない。
裏切られた。
そんな気持ちが強かった。
彼は悪くないのに。
私がいけないのに。
私の心の灯火は、この日にふっと消え去った。
香水
私の大好きな香水。
上品で、どこか華やかなこの匂いが好きだった。
ある日のバイト終わり、
疲れて重い身体を奮い立たせ歩いて帰っていた。
どこからともなく香ってくる。
私の大好きな香り。
その瞬間、
バッッッ
後ろから口をハンカチで抑えられる。
息が出来ない。苦しい。
もう死ぬのだと、はっきりと思った。
20代〜30代
180cm以上
細身、黒マスク、
逃亡中
この男に殺されかけた。
いつ殺されるか分からない。
それまで、いやこれからずっと、
私は犯人がつけていた香水、
大好きだったあの香水に怯えなくてはいけない。
どうしてなの?
バリーンッ
「もうこんな香水、要らないっ!!!」
言葉はいらない、ただ・・・
「愛してるよ。」
「大好きだよ。」
「俺にはきみが必要だ。」
「きみの幸せが俺の幸せだよ。」
貴方のいない世界でどう生きていけばいい?
「幸せに生きてね。俺の分まで。」
愛が伝わってくる貴方の言葉が好きだった。
でも、今はその言葉達が憎い。
つらくなるだけだから。
言葉なんかいらない。
ただ、貴方に側にいて欲しかっただけ。
突然の君の訪問
何気ない日々だった。
昨日も、今日も、
明日だって、そんな日になるはずだった。
私はただ、
幸せに、平穏に生きたいだけ。
それなのに、
私が何をしたって言うの?
平穏な日々を続けていたいだけ。
ギィーーー
バタン
ああ、来てしまった。
私の元にも。
もう、君が来てしまった。
死神の君が。
向かい合わせ
AM 6時半
気だるさとともに電車へと乗り込む。
眠い目をこすりながら、
いつものように好きなアーティストの曲を
イヤホンで聴いていた。
いつの日か、忘れもしない。
あれは、雨が降っていて、
いつもよりも重いからだでなんとか電車に乗り込んだ日だ。
仕事で失敗して、一日中動き回り、心も体も疲れた次の日だった。
だからだ。
だからこそ。
いつも決まった席に座っている僕。
その目の前に向かい合わせで座ってきた君。
あの時落としたタオルを拾ってくれた君。
あの時からずっと、
君に惚れていたんだなあ。
柔らかな声も、笑うとなくなる細い目も、
綺麗で小さな手も、全て。