不意に生きていることが嫌になって
海へ向かって歩みを進めた
波が足を掬おうとするけれど
私は何も思わない
楽になりたいという気持ちが
頭の中を占領する
後ろから何か聞こえてくるけれど
波に身体を委ねた私には
そんなことすら気にならない
もう全てを終わらせたいから
誰もが他者に放つ言葉の意味は逆さまで
そのことに誰も詮索しないから
そのままの状態で生きている
それしか社会を生き抜く術などないし
楯突くことがあれば
周囲の他者は皆敵になる
子どもが大人の世界を生きるには
嘘の世界を知り
嘘をまるで真実のように語り
真実を葬り去らなくてはいけない
それがこの世の中のルールであり
誰も口にしてはいけない真実なのだ
鳥のように
大空を自由に羽ばたけたら
どれだけ幸せだろう
この世に産み落とされてから今まで
ずっと鳥籠の中に閉じ込められて
周囲の景色は変わらず刺激もない毎日で
ただ観賞用として見られている私は
死ぬまでの時間を考えることしかできない
神様が本当にいるのなら
ここから出してと言いたい
何も変わらない世界から
自由な世界へ飛び立ちたい
さよならを言う前に
共に過ごした日々を過去としてから
私とは別の世界へ早く行ってしまって
私も何もかもを過去として
新しい別の世界で生きていくから
だからどうか
もう戻ってこないで
二人の間にあった愛は
過去という場所にちゃんと存在したから
夏特有の青空は
炎天下だというのに
何処にでも
行けそうな気持ちにさせる
それはまるで
子どもの頃にタイムスリップして
今から少し遠い場所へ
遊びに行くときのような
けれどそんな気持ちなんて
端から無かったかのように
青空は重たく厚い雲に覆われる
だからといって
悲観的な気持ちにはならない
雨足が忙しなくなって
17時まで仕事の筈の親が
16時頃傘を片手に足早で
お迎えに来てくれるような
ちょっぴり擽ったくて
焦れったい気持ちを思い出させる
夜になれば
月の横に星が顔を出して
初めて宝石を目にしたときのように
手を伸ばして取ってみたくなるような気持ち
どんな空模様も
私にとっては毎日の幸せ
他者からすれば
そんな幸せも
ちっぽけだと思われてしまうのかな