彗星

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8/6/2025, 9:29:50 AM

題:尊く

 海の泡って綺麗よね。儚くて。
 泡みたいに散れるのなら、泡になりたい。
 ママを失った人生に、意味なんてない。
 『だから泡になりたいの?』
 うん、そうだよ。でなかったらこんな事言わない。言うわけない。
 『星のように尊く生きなさいって言われたんじゃないの?』
 ……そうだけど、泡も充分尊いじゃない。儚いものほど尊いのよ。
 『残された貴方が、ママの分だけ幸せになるんじゃないの?』
 幸せになれるんならなりたいよ。幸せになれないから泡になりたいんだよ。
 幸せなんて泡みたいに消えちゃうんだ。
 なら、泡になる前に自分が泡になったらいいじゃない?

お題『泡になりたい』

8/5/2025, 12:00:24 AM

題:刻の流れ

 刻の流れとは残酷なもので、もう5月末。
 もうすぐさよならですね、春。
「1年ってあっという間よね〜」
「そうですね~、もう春が終わってしまいます」
 こうピーチさんと他愛のない会話をしている時間もあっという間。
 夏は明後日。
 ーーただいま、夏。

お題『ただいま、夏。』

8/3/2025, 8:56:52 AM

題:海の向こうの貴方へ

 瓶の中に手紙を入れてコルクの栓をする。自分でも馬鹿らしいと思う。
 だけど。
 だけど、あんなに恋焦がれるのは初めてだから。
 海の上にそっと置く。波にさらわれていく手紙。
 ーー虚しいな。
 そう思った。想いが波に奪われていくようで。悲しくも思った。
 けれど、どんなに虚しくても、悲しくても、彼女に想いを届けたい。
 ーーどうか、海の向こうの彼女へ、届きますように。


 その後、リンクの手紙が海の向こうの彼女ーーロゼッタに届いたことを、彼は知る由もないだろう。

お題『波にさらわれた手紙』

8/2/2025, 6:28:35 AM

題:真夏の女神

 『……その後、眩しい貴方の笑顔を眺めながら、星屑フラペチーノを堪能しました。
  ……本当に眩しい……。        お題【眩しくて】』
「へ〜、ロゼッタさん、こんなにすごい小説書いてるんだ……」
 ロゼッタさんの小説を読み終わって充足感に浸っていると、水飛沫が上がる音がした。
「ちょっ、やめてよピーチ!」
「やめないわよ〜、喰らいなさい、デイジー!」
「ひゃっ!」
 ピーチさんとデイジーさんの水遊びを見て、俺は此処に来た理由を思い出した。
「ああ、そうだった。海に遊びに来たんだった。てっきりロゼッタさんの小説を読みに来たのかと……」
 海に遊びに来たことを忘れるくらい、ロゼッタさんの小説がすごかったってこと……だよな。
 来たからには遊ばないと損……だとは思うんだけど。
「せっかく来たんだから遊ぶべき……いや、でもな……そうだな……」
 チコと楽しそうに話すロゼッタさんを眺めながら、考えた。
 数分悩んだ末、遊ぶことを選んだ。
(ロゼッタさんの近く行きたいし……)
 今、とてつもなく変態なこと考えてた気がする……。
(靴脱ぐだけでいっか)
「あ、リンクさん!」
 ロゼッタさんが笑顔で手を振ってくれる。
(本当はロゼッタさんに会いたくて来たんだけどね)
 そんな事は口には出さず、待っているロゼッタさんの元へ走った。

お題『8月、君に会いたくて』

8/1/2025, 5:15:41 AM

題:近くて遠い

 同じ学校に通っているけど皆のスターの貴方は遠い。
 触れてみたいけど遠くて触れられない。
 そう、貴方は眩しい。太陽のように。
 私では到底釣り合わない。今も私の前でたくさんの友達と話してる。
 ……笑顔が眩しい。
「ねぇ貴方、今日キノバ行かない?」
 友達とキノバ行くんですね。普通に眩しい。
「ピーチ他の子と行くんだ、珍し〜」
「別に良いじゃない。それにこの子には何かを感じるのよ」
「何それ不思議ちゃん?」
 あれ、友達と行かないってことは……。
「ね、行きましょ。えーっと……ロゼッタ?」
 私みたいな陰を誘ってる!?
 けどやっと触れられる気が……。
「で、では、お言葉に甘えて……」
「やった、決まりね!」
 その後、眩しい貴方の笑顔を眺めながら、星屑フラペチーノを堪能しました。
 ……本当に眩しい……。

お題『眩しくて』

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