題:尊く
海の泡って綺麗よね。儚くて。
泡みたいに散れるのなら、泡になりたい。
ママを失った人生に、意味なんてない。
『だから泡になりたいの?』
うん、そうだよ。でなかったらこんな事言わない。言うわけない。
『星のように尊く生きなさいって言われたんじゃないの?』
……そうだけど、泡も充分尊いじゃない。儚いものほど尊いのよ。
『残された貴方が、ママの分だけ幸せになるんじゃないの?』
幸せになれるんならなりたいよ。幸せになれないから泡になりたいんだよ。
幸せなんて泡みたいに消えちゃうんだ。
なら、泡になる前に自分が泡になったらいいじゃない?
お題『泡になりたい』
題:刻の流れ
刻の流れとは残酷なもので、もう5月末。
もうすぐさよならですね、春。
「1年ってあっという間よね〜」
「そうですね~、もう春が終わってしまいます」
こうピーチさんと他愛のない会話をしている時間もあっという間。
夏は明後日。
ーーただいま、夏。
お題『ただいま、夏。』
題:海の向こうの貴方へ
瓶の中に手紙を入れてコルクの栓をする。自分でも馬鹿らしいと思う。
だけど。
だけど、あんなに恋焦がれるのは初めてだから。
海の上にそっと置く。波にさらわれていく手紙。
ーー虚しいな。
そう思った。想いが波に奪われていくようで。悲しくも思った。
けれど、どんなに虚しくても、悲しくても、彼女に想いを届けたい。
ーーどうか、海の向こうの彼女へ、届きますように。
その後、リンクの手紙が海の向こうの彼女ーーロゼッタに届いたことを、彼は知る由もないだろう。
お題『波にさらわれた手紙』
題:真夏の女神
『……その後、眩しい貴方の笑顔を眺めながら、星屑フラペチーノを堪能しました。
……本当に眩しい……。 お題【眩しくて】』
「へ〜、ロゼッタさん、こんなにすごい小説書いてるんだ……」
ロゼッタさんの小説を読み終わって充足感に浸っていると、水飛沫が上がる音がした。
「ちょっ、やめてよピーチ!」
「やめないわよ〜、喰らいなさい、デイジー!」
「ひゃっ!」
ピーチさんとデイジーさんの水遊びを見て、俺は此処に来た理由を思い出した。
「ああ、そうだった。海に遊びに来たんだった。てっきりロゼッタさんの小説を読みに来たのかと……」
海に遊びに来たことを忘れるくらい、ロゼッタさんの小説がすごかったってこと……だよな。
来たからには遊ばないと損……だとは思うんだけど。
「せっかく来たんだから遊ぶべき……いや、でもな……そうだな……」
チコと楽しそうに話すロゼッタさんを眺めながら、考えた。
数分悩んだ末、遊ぶことを選んだ。
(ロゼッタさんの近く行きたいし……)
今、とてつもなく変態なこと考えてた気がする……。
(靴脱ぐだけでいっか)
「あ、リンクさん!」
ロゼッタさんが笑顔で手を振ってくれる。
(本当はロゼッタさんに会いたくて来たんだけどね)
そんな事は口には出さず、待っているロゼッタさんの元へ走った。
お題『8月、君に会いたくて』
題:近くて遠い
同じ学校に通っているけど皆のスターの貴方は遠い。
触れてみたいけど遠くて触れられない。
そう、貴方は眩しい。太陽のように。
私では到底釣り合わない。今も私の前でたくさんの友達と話してる。
……笑顔が眩しい。
「ねぇ貴方、今日キノバ行かない?」
友達とキノバ行くんですね。普通に眩しい。
「ピーチ他の子と行くんだ、珍し〜」
「別に良いじゃない。それにこの子には何かを感じるのよ」
「何それ不思議ちゃん?」
あれ、友達と行かないってことは……。
「ね、行きましょ。えーっと……ロゼッタ?」
私みたいな陰を誘ってる!?
けどやっと触れられる気が……。
「で、では、お言葉に甘えて……」
「やった、決まりね!」
その後、眩しい貴方の笑顔を眺めながら、星屑フラペチーノを堪能しました。
……本当に眩しい……。
お題『眩しくて』