∮理想のあなた
理想ならいくらでも妄想を掻き立てたことがあった
まずは、勉強もスポーツもできる。
その〝できる〟になるまでに努力を重ねられる。
現実から目を背けずに真っ向から立ち向かう。
そしてその勇気が報われて実を結ぶ未来。
どれも叶わずにいる今が、どうしようもなく虚しい
手を伸ばせば届きそうなのにな
ねえ、理想の自分へ
あなたの見る景色はどれほど輝いてるの?
私もそこに辿り着けるかな
返事はない。その代わり、微かな希望を胸に抱いてる、
ありのままの自分が居た
∮真夜中
昔はあんなに苦手だった夜の暗さが、いつから味方になったのだろう。
今ではすっかり真夜中の虜になってしまった
目が覚めて眠れない時、丑三つ刻に至福の珈琲を1杯。
ふと、昔のことを思い出す
キャンドルの灯火を眺めながらぼんやりとしていたあの時と今で、何か変わったのだろうか
季節は移ろい、気持ちも虚ろう
真夜中の黒が思考を塗りつぶしてくれる夜は考え事に最適だ
夜は更けていく。
∮桜散る
桜の花びらが散るさまはよく、儚い表現で使われる。
春の、四季の中でわずかな時間だけ
日本を象徴して咲き誇り花弁を落とす
いつから梅の花から桜へと移り変わったのだろう。
ただ、梅はこぼれてしまうけど
桜は自ら舞い散るように見えるから
人は桜の散り方に心を、気持ちを込めるのかなと思う
一言で言っちゃえば
どんな終わり方が好みだったかなんだろうな
個人的には葉桜が好きだから
私にとって桜が散るのは始まり・再出発
皆さまにとっての桜はどんな意味がありますか
∮特別な存在
家族。
∮星が溢れる
夢を見た。
世界には自分しかいなくて、空は泣いていて
ずっと荒廃した緑を裸足で彷徨った
無限のように感じた永い時間を過ごしたような気分
ふと顔を上げてみたら、そこは一面の青だった
嗚呼、やっと辿り着いた
何故そう思ったのかはおぼろげだけど
きっと君の姿が遠くに在ったように見えたから。
いつの間にか泣き止んだ空は満天の星が輝いていて
ガラス張りの足元を反射し照らしていた
君のもとへ駆け出しても、君は同じ歩幅で進んでしまう
水が弾け、呼応するかのように流れ星が走る
ふと、君はこちらを向いた。
そして、優しく笑いかける
(………─────。)
「待ってっ!往かないでっ、いかないで…!」
姿が崩れ、身体から星が溢れる
あまりの眩さに目を瞑った
「、!!」
起きてみたら、私は泣いていた。
アラームの隣に飾ってある、君との写真を眺める
もう夢は掴めないところまで消えてしまったけれど
この感情は絶対に忘れないと思った