「∮泣かないで」と
優しい笑顔を向けるから
君が泣くときは私が笑うよ
(お約ネバ)
∮冬のはじまり
霜降の候、如何お過ごしでしょうか。
この季節になると、何時も君の事を考えている
君は冬が嫌いだと云っていたけれど、僕は好きだったよ
君とは冬の間しか一緒に過ごせなかったから。
でも、今は少し苦手だ
君の事を考えるのは、淋しい
また逢えますか
逢えるよと、優しい声が聞こえた気がした
その日まで、おやすみ
∮愛情
『愛』が燃え上がる蝋燭の火なら
『愛情』はきっと平和を願う灯火
何時までも、消えずにそっと灯り続ける。
そんな関係になれたらいいな
∮微熱
微かな熱。
明日を生きるために必要な熱。
「ねえ、明日もまたおいで」
その熱に浮かされて
∮太陽の下で
「‥‥‥最悪だな」
そもそも今朝から雨で道が泥濘んでいたから充分に注意を払っていた。
世話になった葵の家紋を持つ屋敷の者にも止められていたというのに情けない
「登れはしないか」
上を見上げてみるが鬱蒼とした木々で視界が遮られ、雨で流れた泥は足の踏み場には到底なれなさそうだった。
仕方なく落ちた先を只ひたすらに歩いてみる
「!!」
水だ。池のような川のような水が見え、一直線へ向かう
だが少し開けた場所に出たと思えばそこは行き止まり
透き通った水の池はどうやら下から繋がっている様子だった。
「どうしたものか…」
そんなことを言っているうちになにかの気配
振り返ってみれば唸り声を上げる狼の姿があった。
最早この水の底に見える洞窟が通り抜けられることを祈るしかない
勢いよく息を吸い水中へ潜り、洞窟の中を進む
少しすると、水の中へ差し込む一筋の光が見えた
(いける、!!)
「‥‥っぷはあ、はあ、はあ」
浅瀬へと避難しそのまま大きく呼吸すると、次第に息も落ち着いてきた。
ふと、顔を上げてみる
そこには、見事なまでの光のカーテンがかかっていた。
吸い込まれるように光の中へ行けば、太陽がよく頑張ったねと柔らかな暖かさを降り注ぐ。
自分の冒険で一番好きな瞬間だ