『 明日、もし晴れたら』
毎日が辛く感じる日々。
いじめなんてないし、とても平和なんだと思う。
だけど、なにか物足りなくて涙腺が緩くなる。
春がすぎて梅雨がやってきた。
まるで、あなただけが泣いているわけじゃない。
あなたには泣いている仲間がいるよと。
屋根にしずくがあたり奏でられる音楽。
なぜか落ち着く不思議な音。
明日、もしも晴れたなら空に向かってお礼を言おう。
おっきな声で、心を込めて。
私の代わりたくさん泣いてくれてありがとうって。
『 嵐が来ようとも』
なにかが私を襲ってくるのではないか。
お風呂の時も、ずっと考えていて小さな頃からとても怖かった。
幽霊が出たらどうしよう。
知らないおじさんが私を連れてっちゃったらどうしよう。
こんな物騒なことはなかったけど、災害は避けられなかった。
地震が襲ってきて、色々な家具が倒れた。
幼い私は大泣きしながら机の下でうずくまっていた。
パニックで、とにかく怖かった。
そんな私を兄が抱きしめてくれた。
避難する時も、おんぶしてもらった。
あの時の兄はどれだけ怖かったのだろうか。
この日から私のヒーローは兄になった。
嵐が来ようとも、兄は私を守ってくれる。
今も天国の上から。
『 お祭り』
賑やかな声とお神輿、花火の音が響く。
夜に遊ぶことなんて初めてだった。
いまにもはぐれてしまいそうな人混みの中、
私の手が燃えるように熱い。
このあつさは、太陽じゃなくて、恋なんだと思う。
お祭りは神様が味方をしてくれる特別な日。
大きな口でりんご飴にかぶりつく私を見て、微笑んだあなたの顔は形に残るスーパーボールよりも記憶に残るだろう。
『 誰かのためになるならば』
誰かのために死んで、もういない存在になりたい。
毎日そう思っていた。
なのに、助けられたのは私のほう。
地震が襲ってきた時に私を命懸けで守ってくれた父。
泣いている私を見て、天国へ昇っていった。
誰かのためになるならば、命を落としてでも助けたい。
そんな思いで警察官になった。
何百人を助けてきたけれど、まだお父さんには勝てないと思う。
私がお父さんのように人々を救い、幸せにする。
これが終わったら、私も父のところに行くから、
ずっーと待っていてね。
『 鳥かご』
窮屈だ、、。
授業中、私はノートの落書きを止めて考える。
別に人間なんて、自由だ。
鳥かごみたいに窮屈なところに入らないでいいんだもの。
自分の自由に決められる。
だけど、それが不安に変わるんだ。
鳥だから仕方ない。
言葉が分からないからしょうがない。
鳥は何をしてしまってもこうやって許されると思う。
でも、私たちは違う。
人間なんだから、ひとりで何とかできる。
求められていることは沢山ある。
両手をいっぱいに広げても、はみ出すことなんてない。
とても広い空間にいる。
それなのに、みんなから1人だけはみ出すことが怖いし、人間関係が窮屈に感じる。
鳥かごに入るよりも、この世界に生きていることがとても苦しくて、窮屈だ。