語り部シルヴァ

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2/15/2026, 10:13:08 AM

『10年後の私から届いた手紙』

郵便受けに封筒が入っていた。
差出人は...自分だ。

手紙を書いた覚えも出した覚えもない。
そういう類のいたずらだろうか。
それとも新手の詐欺...?

封筒を開けて中身を読む。
平成‪...年。‪...月‪...日。
僕の生まれた歳だ。
血液型は...で...座。
高校生の頃...に恋をしていた。趣味は...

最初の掴みで自分が書いた手紙だと確信を得た。

まあ...当時の自分がどんな心境だったかを覚えているから、
全く周りの話を聞こうとしない自分に対しての
アドバイスをここで綴らせてもらう。
もっとも...自分の言葉すら信じない自分だから
意味があるかどうか...

読み終えたあと、せっかく準備したものが
全部無駄になってしまった。
だから未来の自分にどうやって
文句を言ってやろうかと少し考えた。

語り部シルヴァ

2/14/2026, 10:49:12 AM

『バレンタイン』

「はい、どーぞ。」
表面は空気の塊が無かったのだろう
滑らかで亀裂が入っていない。
綺麗に4つに切り分けられ粉糖がかけられている。
恋人が作ってきてくれたチョコケーキは今年も美味しそうだ。

「年々上手くなってるよね。すごく美味しそう。」
そう言うと恋人は頬を指でかき恥ずかしさを誤魔化す。
最初の頃はチョコというか
ほぼ炭みたいなチョコケーキができたらしい。
食べてみたかったがさすがに
当時は言う勇気は持ち合わせてなかった。

今言えば怒られるだろうか...
そう思いながら一切れ取ってひとくち食べる。
...甘くて美味しいとしか言えない語彙力の乏しさに
悔やむくらいの味だ。
「お返し、はりきって作らないとね。」

恋人は笑いながら「楽しみにしてる。」と答えた。

語り部シルヴァ

2/13/2026, 11:09:06 AM

『待ってて』

『寂しい。』
会話が一旦終わり、眠りにつくであろう深夜0時。
こんな時間に送っても迷惑をかけるだけ。
それなのにまた恋人に甘えてしまった。
すごく申し訳ないとも思うけれど、やめられない。

恋人になってから相手のことを思う度
この時間がどうしようもなく寂しい。
明日になったら会えるなんて言われるだろうか。
そうじゃない。今がいい。なんてわがままだろうか。
こんなこと送って呆れられるだろうか。

寂しさに不安が混ざる。
頭の中でぐるぐる悩み事が回っていると携帯が鳴る。
『待ってて。』

あぁ...恋人はこんなにもわがままな自分を許してくれる。
そんな優しさが好きで、時折恋人が壊れそうで怖い。

...今は恋人を信じて待つことにした。

語り部シルヴァ

2/12/2026, 11:02:02 AM

『伝えたい』

オーブンが間抜けな音を出して止まる。
恐る恐る開けるとケーキの形をした
真っ黒な塊がプスプス音を立てながら出てきた。

見事に火加減を間違えてしまった。
予熱を入れすぎたか...
呼びにもう一個分残しといて良かった。

予熱の温度をしっかり確認してオーブンに入れる。
渡すのは明後日なのに練習だけでもすごく緊張する...
せっかくのイベントなんだ。どうしても伝えなきゃ。

オーブンは頑張って動いている。
さっき間抜けな音を出していたのに
懸命に動くオーブンを見て
頑張れと心で念じた。

語り部シルヴァ

2/11/2026, 12:01:35 PM

『この場所で』

家具や荷物が片付けられ、本来の広さに戻る。
ここで沢山の思い出が作られた。
ご飯食べすぎて気分が悪くなったり、
恋人と一緒に昼寝したり、
やけ酒しようとしたらご飯を床にぶちまけたり...

なんだかんだ酷い思い出も今は
あぁそんなことあったなあと済ませれる。
「荷物は以上でよろしいでしょうか?」
「あぁ、はい。よろしくお願いします。」
かしこまりました!では運びます!
と爽やかな笑顔を残し引っ越し屋さんは
僕の荷物を載せて走り出す。

「じゃ、お世話になりました。」
空っぽになった部屋に一礼して
引越しトラックを追いかける。

語り部シルヴァ

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