『どうして』
「な。なあ、その銃を降ろしてくれよ。」
冗談じゃない状況で無理に笑おうとして
口角が引きつっている。
その言葉に動じず銃を構える。
「俺の事そんな信用ないか?信じてくれよ。」
涙目になって必死に弁明する彼を見て沸き上がる怒りが
どんどん冷静になっていく。
「...じゃあ私のこと好き?」
「...!あ、あぁ!もちろんさ!好きだy」
答えを言い切る前に眉間と心臓両方を撃ち抜く。
「と"お"し"...て"...」
彼だったものは形を保てなくなって溶けていった。
彼は...自分のことは僕って言うし
外じゃ好きって言う勇気を持ってないチキン野郎だ。
彼はちゃんと生きているだろうか...
私ができることは偽物を撃ち抜いて本物に会うことだ。
あぁ...ドッペルゲンガーが大量発生なんて、
どうしてこうなったんだ。
語り部シルヴァ
『夢を見てたい』
目覚ましが鳴っている。
反射的に布団から手だけ伸ばして
スマホを掴んで引きずり戻す。
真っ暗な布団の中でスマホのあかりが眩しく光る。
目が慣れていくのと同時にスマホの明るさの自動調節が入る。
午前2時。起きる予定までまだ時間はある。
スマホを戻して目を瞑る。
0時には寝たはずなのにもう3回は起きている。
まだ...安定していないのかな。
どうか次は目覚ましが鳴るまで起きませんように。
好きな物をいっぱい食べたりとか、
可愛い犬や猫に囲まれたりとかそんな夢を見たいのに...
不安になりつつも布団のあったかさが意識をぼかす。
次は...次こそは...いい...夢を...
語り部シルヴァ
『ずっとこのまま』
デジタル時計が点滅する。もう少しで正時だ。
あと数時間もすれば寝ないといけない。
これまで好きな時間に寝て好きな時間に起きていたが...
ずっとそんな生活を送る訳にもいかない。
いい加減変わらないと。そう思いつつ求人票から
仕事をしらみ潰しに探し、やっとのこと内定を貰った。
心の準備を貰うというていで2週間ほど時間を貰った。
今日で最後の日だった。
さて...いよいよ始まってしまう。
ずっと目指していた社会人と、
ずっとこのまま堕落した生活を送りたい自分が葛藤している。
誰だって後者を選びたい。
そういわけにはいかないよなあと
どっかで救いを期待している自分にため息をついた。
何言ったってもう後戻りはできない。
そう言い聞かせ新しい生活に期待することにした。
語り部シルヴァ
『寒さが身に染みて』
ヒートテックを着た。
カイロを貼った。
厚手のジャンパーも着た。
フワッフワのマフラーを巻いた。
モコモコの手袋を付けた。
それなのに隙間さえあれば肌を
直接撫でるような寒さが全身に回る。
なんだこれは。身につけたもの全部お荷物じゃないか。
これだから冬は嫌いなんだ。
あーもうやだ。寒いし動きづらいし。
もう泣きそうだ。
感想で滲み出る涙すら北風は容赦なく吹き飛ばす。
せめて涙くらいは見逃してくれよ。
あーだから冬は嫌い。
語り部シルヴァ
『20歳』
20年。正直幼少期の頃なんて
覚えていないからだいたい16年間。
自分はもうそんなに生きたんだ。
なんてこと言えば「まだまだこれから」
なんて言われるだろうけどね。
それでも初めての成人の節目を迎える身としては
そんな風に思える。
これからの言動には社会的制裁が待ってるかもしれない。
軽はずみな言動が人生を終わらせるトリガーに
なるかもしれない。
そんな意識を叩きつけに来るのが今日という日だと思う。
まあ明日には
結局いつも通りの日常を迎えるんだろうけどね...。
語り部シルヴァ