語り部シルヴァ

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12/2/2024, 10:35:46 AM

『光と闇の狭間で』

冷たい風の感覚はほぼ無く、
汗が自分の輪郭をなぞるように落ちていく。
足の疲れも走っていくうちに地面を踏みしめる感覚しかない。
あと1メートルでも遠くへ走るんだ。

そう思いながら真っ暗な河川敷を走る。走る。
まだ...まだ走れる!もっと、全力で...!

そう自分に言い聞かせて走っていると
セットしていたタイマーが鳴る。
鳴ると同時に走るペースをゆっくり落として足を止める。
熱の篭った息は白くなり空へと溶けていく。

今日も走りきった。体を冷やさないうちに帰ろう。
来た道を戻ろうとすると背中が少し温かくなる。
振り返ると太陽が顔を出してきた。

ずっと暗かった部分をゆっくりと明るくしていく。
...陽の光が冷めようとしている体も温めてくれる。
半身が暖かく、半身が冷たい...

本当は早く帰って体を冷やさないようにしないと
いけないとだけど...
この瞬間が特別に感じて離れたくなかった。

語り部シルヴァ

12/1/2024, 10:36:21 AM

『距離』

「それじゃあ今日はこの辺で。」
「はい、ありがとうございました!」
「おやすみなさい。」
「おやすみなさい!」

ボイスチャットを切り一息つく。
リアルでは友達のいない僕だがネットだと友達ができた。
同じ趣味を持つ仲間とゲームする日々はとても楽しい。

リアルで友達になれたなら一緒にご飯行ったり
ゲーセンで遊べたりできたのかと考えると
ゲームで繋がれたのは少し残念かもしれない。

電源をオフにしたモニターを眺める。
声は近いし他人以上の距離感なのに、
どうしてこうも遠く感じてしまうんだろう。

もっと...この距離が縮まればいいのにな。
ゲームしてくれるだけありがたい話だなと
自分の中でまとめて寝る準備を始めた。

語り部シルヴァ

11/30/2024, 11:10:40 AM

『泣かないで』

「僕と...結婚してください!」
君の前で膝をつき結婚指輪を見せる。

最近仕事ばっかりで忙しくも理解してくれて
いつも以上に尽くしてくれた。
休日ぐらいは手伝おうと動くも一緒に家事をしてくれた。
美味しいご飯を作ってくれたり優しくしてくれる君に
何をしてあげれるだろうか。

今後の人生の時間を全部君に捧げて、
できる限りの幸せを送りたい。
君がいいなら結婚して永遠に尽くしたい。

...震えているのがバレてないだろうか、
君はそこまで本気じゃないのかもしれない。
返答が怖い。けれど...それも受け入れないと
今後君を幸せにできる人にはなれない。

セリフを言い切ってひと呼吸おき君の顔を見上げる。
君は口元を手で押え泣いている。
...ダメだったかもしれない。

そう思い立ち上がろうとすると、君は震えた声で答える。
「...私でいいの?」
「君じゃないとダメなんだ。」

そう言いながら立ち上がると君は僕に抱きつく。
子供のようにわんわんと泣く。

あぁ...そんなに泣かないでくれ。
こっちまで泣いてしまいそうだ。
幸せなのに涙が出る...
こんな不思議な経験は今後あるのだろうか。

語り部シルヴァ

11/27/2024, 10:41:40 AM

『愛情』

こちらに向かってくる足音を聞き取り、
玄関前まで走る。
きっとあの足音はあの人だ。

帰ってくると思うと待ちきれなくなって
玄関を行ったり来たりする。
もしかして聞き違いか...
そう思うと気持ちがしょんぼりする。

一旦部屋に戻ろうかな...
玄関のドアに背を向けた瞬間ドアが開く。
ダッシュで近づく...のを我慢してマットの上で座る。

「ただいま!遅くなってごめんね!」

"全然大丈夫だよ!"
"今日も帰ってきてくれて嬉しいな..."
"いっぱい遊んで!"
"お腹空いた!"

たくさんの感情に体が振り回される気持ちだ。
それくらいあなたが帰ってきてくれて嬉しいよ!

「あっはは。今日も寒いからお部屋行こ。」
頭を撫でてもらえるとしっぽが勝手に動く。

あなたの手は暖かいからずっと撫でて欲しい。
そんな思いをあなたにいつか伝えれたらいいな。

語り部シルヴァ

11/26/2024, 10:57:18 AM

『微熱』

今日はやたらと寒いらしい。
けれど今日はむしろ日差しが暑いせいか秋風が涼しい。
カイロを体に貼ってしっかりと防寒対策が
できているからだろうか...

昨日はしっかりと布団に毛布を被ったはずなのに朝は
暑かったのか蹴り飛ばしていた。
寝相が悪いと風邪をひきかねないから気をつけないと...
しかし...今日は暖かいなあ...
天気予報のお兄さんは寒いと言ってたはず...
お母さんも上着がかかってるのを見てそんな薄着で大丈夫?
と心配していた。
そんな歳じゃないんだから...

そんなこんなで学校にたどり着き教室のドアを開けて
友達におはようと声かける。

友達は私の顔を見るやいなや心配そうな顔をする。
「ねえ...顔赤いよ?寒くない?」

友達の言葉に体が気がついたのか体からは
寒さと熱っぽさが額から感じ始めた。

語り部シルヴァ

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