「秋風」
肌寒い。薄暗い。枯れた葉が落ちる。
寒い時期は嫌い。暑い方がいいな。
なんだか悲しい気持ちになっちゃう。
ようやく暑い季節が終わったけど、海にも行けないし、かき氷も食べられないし。
でも、今しか見れないものがある。
今年も銀杏、紅葉は綺麗だな。
きっとこの肌寒さがあるから綺麗なんだよな。
寂しさも運ぶけど美しさも運んでくれる。
寒いけど少し我慢しようかな。
「また会いましょう」
さようなら。向こうで待ってるね。
まだ来ちゃだめだよ。
美味しいもの沢山食べて、綺麗なものを沢山みて。
沢山笑って、沢山泣いて。
私がいけなかったところに連れてって。
そう言い残して彼女は亡くなった。
追いかけたい。
一人で数十年生きていかなきゃいけないなんて。
ただの苦痛でしかない。生きた心地がしない。
それでも…追いかけずにいるのは。
彼女に色んな景色を見せるため。
彼女はもういないんだから結局一人でみてるただの人なんだけど。
でも私の中では生きているからね。
受け止めきれないけど、まだ頑張らなきゃね。
また会いましょう。
「スリル」
待ち合わせまであと5分。
脈が上がる。どんな人が来るかな。
初めてのデート。顔は写真でしか知らない。
ヤバいひとだったらどうしよう…。
人が多すぎる渋谷での待ち合わせ。顔すらあまり分からないのにまずすぎる。目が回りそう。
「はじめまして!」
一度だけ聞いたことのある声が後ろから聞こえる。
振り返るのが怖い。
新たな恋愛への一歩。
緊張しながら振り返る。
「飛べない翼」
窓から飛んでいってしまった。
小さな頃、鳥を飼っていた。
写真を見返すと頭に乗っている写真があった。
家族に聞くと頭に乗られて怖くて泣いていたそう。
怖かったけどちゃんと可愛いと思った記憶もある。
ある日窓から飛んで逃げて行ってしまったそう。
すごく昔のことで覚えていない。
悲しかった記憶は鮮明にある。
私は追いかけることも出来なくて
飛べない翼をもらった気分。
自由に駆け巡る姿が今でも思い浮かぶ。
「意味がないこと」
真っ直ぐ向き合いたい。
色んな痛み悼みを和らげたい。
そう思って仕事をしている。
でも現実は甘くなくて。
厳しい現実や厳しい言葉をもらうことの方が多い。
だからたまに私の信念は意味のないことなのかもしれない。
そう思ってしまう。
人には伝わりにくい信念で、人には見えにくい行動だから余計に意味を見失いそう。
人と真っ直ぐ向き合えなくなりそう。
矛盾してて苦しいと感じることがある。
力を添えられないまま人生を閉じる人もいる。
やりきれなさ、無力さ。
悔しい。その一言に尽きる。
そう思うと私の信念は意味がないことかもしれない。
自己満足かもしれない。
だけど。いつか誰かに届きますように。