→嘘だ。
雪が音を吸収するから静かだなんて、嘘だ。
だって、雪の中に独り取り残されたとき、キーンという大音響で耳と心が痛かった。耳をふさいでもその音は消えなかった。今でも耳の奥にその音は残っている。
科学的な話は知らない。でも、私にとって、雪と静寂は相容れない。
テーマ; 雪の静寂
→短編・彼の夢
年の瀬せまる慌ただしい週末の町中で、知らない青年に声をかけられた。
「要らない夢の欠片を譲ってくれませんか?」
荒唐無稽なお願いに、思わず足を止めてしまった。厄介な人だと面倒だなと思ったが、後の祭りだ。
青年は人の良さそうな笑顔を浮かべ、朗らかに続けた。
「欠片で大きなパッチワークの布を作って、地球全体を覆ってやるのが、僕の長年の夢なんです」
彼の壮大な計画を聞きながら、私は彼の胸前の箱と隣の建物に気がついて、笑いを吹き出してしまった。彼は屈託なく肩をすくめた。
青年の意表を突く足止めに感服して、私は鞄から財布を取り出した。
「私の夢が誰かの毛布になるんだね」
「そういうこともあります」
彼の持っている箱に夢の欠片を落とし入れる。チャリン。
彼は『歳末たすけあい募金』の箱と共に頭を下げた。
「ありがとうございます! 良いお年を!」
彼の隣の宝くじ売り場では、年末ジャンボを売っていた。
彼の夢が叶う世界を見てみたいものだと思いながら、私は宝くじを買った。
テーマ; 君が見た夢
→あまのじゃく
諦めきれない夢の残滓の中を、
点々と続く光に導かれて進む
ほのかで頼りない道標は、
一歩ずつしか見通せない
そんな古ぼけた夢に明日はないよと、
悪友の怠惰が耳元で嘲笑う
そのたびに何度も足を止め、
夢を捨ててきた
それなのに、
また拾い上げて、歩き出す
きっとこの夢は叶わない
知ってる
でも、
成功だけに、
価値があると信じたくない、
私はそんな天邪鬼
テーマ; 明日への光
→遠い貴方へ
御霊への祈り
宇宙へ放つ
テーマ; 星になる
→アンケート
「遠い鐘の音」
これの読み方について質問。
・とおいかねのね
・とおいかねのおと
あなたはどっち?
私は「とおいかねのね」派なんですが、「遠い」無しの場合、「かねのおと」って読むこともあるなぁ、って。
そして、「かねのね」で思い浮かべるのは教会の鐘の「カラ〜ンカラカラ〜ン」で、「かねのおと」の場合は梵鐘の「ゴーン……」。
あぁ、もうすぐ大晦日ですね。あなたの街でも、どこからか除夜の鐘は聞こえますか?
テーマ; 遠い鐘の音