→かまくら、雪うさぎ、甘酒、竹灯籠、ロマン
豪雪地帯に縁のない人生なので、雪に憧れを抱きがちである。
真っ白な雪でかまくらを作って、小さな雪うさぎは万両の実と葉でお化粧品、温かい甘酒を持ち込んで、竹灯籠のチロチロする灯火を囲んで、シンシンと降る雪を眺めたい。
甘いロマンと共に、マロングラッセもオヤツに持ち込もうかいな。
テーマ; 灯火を囲んで
→ワードローブ
マラソン大会で「一緒にゴールしようね」と約束していたのにラストで猛ダッシュの裏切り――。今年の夏の終わりは、そんな感じだったように思う。
なぁ、夏よ、さっきまでチンタラしとったクセに、何で急に去って行きよってん、と。だからといって、夏と併走したかったのではないよ。暑さでバテバテやったし。
でもな、夏が急に居なくなった上に、猪突猛進の冷気のおかげで、私のワードローブめちゃくちゃやねん。着るはずやったのに出番を奪われた秋物。まだ着る可能性があるかもと残していた夏物。朝夕の寒さに慌てて出した冬物。
そんなこんなで、今年の冬支度はカオスなワードローブの整理から始めようと思う。
テーマ; 冬支度
→ちょっと恥ずかしいねんけど……
私の趣味、刺繍を刺すことやねん。何で恥ずかしいって思うんやろね?
変やね。まぁ、いいわ。刺繍に話を戻すな。時間あるんやったら読んだってや。でも、皆さんの時間を止めてまで読むようなコトちゃうけどな。
さてもさても。
大きな布にチマチマ刺繍。サテンステッチ、ケーブルステッチ……他にも諸々とステッチを施してゆく。一目一目が積み重なって模様になる。
とにかく時間がかかる。そして段々と布が重くなってきよる。あ~、時間を縫い付けてんなぁ、とズシリとくる重みにそんなことをしみじみ感じ入る。
出来上がった作品は、私の時間の標本である。
テーマ; 時を止めて
→短編・創作文の宿題
国語の宿題で、キンモクセイをテーマにした創作文の宿題が出た。
どうしようかな?
おばあちゃん家の裏庭のキンモクセイのことを書こうかな。その根っこから地下帝国が広がっていて、あのいい匂いは、地下帝国の王様のお城の香りだった、とか。
それとも、キンモクセイの妖精のお話にしようかなぁ。トイレの神様の下僕妖精で、神様から派遣されて、色んな事件を解決する!みたいな。
う〜ん、なんかパッとしないなぁ〜。
あっ、こんなのはどうだろう?? 木星と金星の間に子ども惑星が産まれて、金木星っていう名前になった。しかもほんのりオレンジに光っている。その金木星は、お父さん星の木星と、お母さん星の金星の言う事を聞かない悪い子で、ある日二人の前から姿を消した。。しばらく惑星旅行を楽しんでいたのだけれど、お父さん星とお母さん星のことを思い出して、淋しくなって、天の河銀河に戻ってきた。でも、何億年も経っていたので、木星も金星も太陽が食べちゃった後でした、ってこんなお話はどうかな?
う〜ん、どんなお話にしようかなぁ〜。
なかなかまとまんないなぁ。
早く宿題を終わらせて、公園に遊びに行きたいのになぁ。
テーマ; キンモクセイ
→短編・彼女と喧嘩した。
彼女と喧嘩した。
彼女とは半同棲で、お互いのマンションを行ったり来たりしている。
昨日の晩、彼女のマンションから帰宅しようとした際に、彼女がいきなり泣き出した。彼女の気持ちに反して、僕が帰宅してしまうことが度々あり、それが辛いと言うのだ。
突然のことで面食らった僕は、自分はエスパーではないから心は読めないので、泊まってほしいなら言ってよと、口答えしてしまった。心の中で「行かないで」と願われても、どうしようもないじゃないか。
でも、言うべきじゃなかった。大ゲンカになった。言わなくても分かってほしいと言うのが彼女の言い分で、さらに僕には『察し』が足りないと怒られた。
そのまま彼女との仲は修正できていない。
翌日、オフィスのランチタイムに、思わず同僚に愚痴ってしまった。同期入社の彼女は、やれやれと息を吐き出した。
「彼女はあなたに『察して』ほしいのではなくて、もっと寄り添ってほしいんじゃない?」
「ほとんど同じじゃん。適当に流そうとしてる?」
「バレたか」
同僚はそう言って、「カップルのケンカ話ほど、つまらんものはないもん」と笑った。
まぁ、そうだよな。それに、同僚のアドバイスは適当ながらも、思い当たるフシがある。
よくよく考えると、何度も帰宅するときになって、いきなり帰ったりしてたもんな。彼女が僕の部屋に来たときは、ちゃんと予定を前もって伝えてくれていたりしたのに。
僕はスマートフォンを取り出し、彼女にメッセージを送った。
―今日、そっちに行っても良い? 話がしたい。できれば泊まりたいな。
テーマ; 行かないでと、願ったのに