→失せ物
諸々に夏はあったはずだ。
確かにあったはずなのだ。
ぬるくなったビール
音だけの花火
小学校から聞こえるプール実習の笛
歩道に落ちたアイスクリーム
夏祭りの後の神社の暗闇
着崩れた浴衣の衿元
もう、見つからない。
テーマ; 夏の忘れ物を探しに
→夏休みの宿題。
夏至を過ぎた太陽は、日に日に落ちるのが早くなる。1ヶ月前は、まだ明るさを保っていたこの時間も、今ではほんのりと薄暗い。
8月31日の夕方。
学生ならば夏休みの終わりの今日に、背中に哀愁を漂わせるかもしれないが、大人の私には、ごく普通の日常の1日であって、特別さはない。
さてさて、今日は日曜日だ。明日からの平日に備えて、英気を養おう。ビールと簡単なつまみで晩酌を――、
……ん??
あっ、しまった!
友人の残暑見舞のハガキに返信するのを忘れていた!
こちらも残暑見舞いを出そうと思ってたのに!
仕方ないな、メールで済ませよう。
大丈夫、まだ8月31日は7時間ほど残っている。
さぁ 急げ!
かくして私は、友人にメールを送ろうとスマートフォンを取り出した。
夏休み宿題も終盤が勝負だったよな。昔からギリギリにならんと動かない性分は変わらんなぁ〜。
テーマ; 8月31日、午後5時
→熱帯夜に、涼を望む。
うだる暑さに辟易して、目を閉じる。
心象に涼を描く。
静寂、冷気。雪原と、一本の椿。
暗く深い緑の葉の間から、もげ堕ちた深紅の花。
湿気た重い雪の上に、ふたりと音を立てて落ちた。
心根がキンと冷えた。
テーマ; ふたり
→風光明媚
心の中の風景は昔の美しい思い出でいっぱいだ、と情緒に浸る、そんな自信は露ほどない、根暗なわたくしの胸中は、恥と後悔と黒歴史のガラクタ山脈が連なり、たいへん風光明媚でございます。
テーマ; 心の中の風景は
→夏のイベント
夏草の禍々しい成長を横目に、麦わら帽子を目深に被って、アイス片手に自転車こいで、入道雲を追いかけて、途中で夕立に降られて、夏だなぁ〜、今年も暑いなぁ〜。
テーマ; 夏草