→短編・進路希望調査用紙と屋上
あ~、何もかもメンドクサイなぁ。
将来とか進路とか、なぁ……。
たった一枚の紙切れが重い。
真剣に考えなきゃいけないんだろうけどさ、全くノープランだわー。しかも、皆、案外考えてんだよなぁ。
置いてけぼり感が、また辛い。
うー、ヤな落ち込みモードに入りそう。
よし、決めた!
確か……、こうやって、ここを折って、こっちは谷折り?
うん、いい感じじゃない?
私は、さっそく紙ヒコーキを飛ばした。
どこまでも続く青い空に白い紙ヒコーキが飛んでゆく。
第一志望も第二志望も、空に飛んでいったので、
今日だけ、今だけ、私は『私』を休むことにした。
なぁんにも考えず、ぼんやり昼寝するのさ。
テーマ; どこまでも続く青い空
→短編・名作探訪 第87回
天麩羅屋台『天』の『衣替え』
『天』は、全国津々浦々を行脚する天麩羅屋台だ。
地どれの食材にこだわり、その土地の気候風土を加味して天麩羅に仕上げるので、同じ食材でも土地によって味が違う。例えばニンジンなどは、寒い地方では甘く、暖かいところではさっぱりと風味が立つ。店主の食材への深い愛情と探究心の所以だろう。
さて、メニューを持たないことで有名な『天』には、年に2度だけの特別コースがある。
それが、時候をコンセプトに掲げるコース『衣替え』である。人々が季節に装いを整えるように、『天』の天麩羅も時候に合わせて衣を変える。
コース『衣替え』は、同じ食材を薄衣と厚衣で提供される。衣という装いを変えた食材たちの異なる味わいは、いずれも滋味深いと評判を呼んでいる。
電話番号なし、予約不可。
屋台ののぼりを見かけたら、即来店が望ましい。
テーマ; 衣替え
→答えのない問い
声が枯れるまで泣いて
本当に僕の声が枯れたら
ちょっとばっかり、
あなたの笑顔を曇らせることはできますか?
急に別れたいと言われた僕は
そんなことを思わずにいられないのです。
これは未練でしょうか?
それとも怨嗟でしょうか?
テーマ; 声が枯れるまで
→毎晩のことなんてすけどね、
始まりはいつも
『→
テーマ; 〜〜〜 』
―と書くところから。
そんで始まる七転八倒からの七転び八起き。
出来が良ければ舞い上がり、
たとえ悪くとも喉元過ぎれば何とやら。
青いハートに感無量。
終わり良ければ全て善し。
テーマ; 始まりはいつも
→短編・天気予報
商店街で夏とすれ違い、思わず声をかけた。
「もう10月だけど、今年の南半球行きはどうしたの?」
「たまには秋の味覚を味わいたくて」と、夏は新米を片手に、魚屋で秋刀魚を買っていた。
平日狙いでホテルのスイーツビュッフェにも行くらしいので、まだもう少しこちらに滞在予定だそうです。
テーマ; すれ違い