いつもは満月よりも三日月に魅力を感じる人だ。
ビルの間から見える細い月。夜の静かで澄んだ空気。
何とも言えないそこに漂う雰囲気に包まれるのが好き。
ただ一度だけ、満月にえらく魅了されたことがある。
雲に隠れて微妙に光を残した月。
それは私にとってなぜか絶妙で、
異常なほどに心が惹きつけられた。
そこだけに雲があるのか、
それとも全体が覆われているのか、
真っ暗で全くわからない不思議な空。
どちらともとれる曖昧さの中でただただ光る月。
異様な綺麗さだった。
あじさいだと思っていたあの花はオオデマリだった。
祖母が庭の手入れをしていたあの頃。
腰が痛いと言いながら草取りを永遠とやっている姿を見て
何が楽しいんだろう?と疑問しかなかった。
毎年季節に合わせて綺麗にお花が咲いていた。
祖母が施設に入って、亡くなってしまって、
母が庭の手入れをするようになって5年くらいだろうか。
今では庭が家庭菜園で溢れている。
様々な野菜が植えられて、緑が生い茂っている。
そんな中でも垣間見える祖母の痕跡。
あじさい咲くの早くない?と何の知識もない私に
それオオデマリよ。と母が訂正する。
今もなお祖母の存在を感じれるものの1つだ。
好き嫌いってどんどんなくなっていく気がする。
小さいときは嫌いな食べ物もあったし、
好きな食べ物だってすぐに答えられた。
苦手に思う友達もいたし、特別好きな友達もいた。
今はどんな食べ物も嫌いってことはないし、
これが好き!ってすぐに答えられるものもない。
人間関係ももともと得意じゃないけれど、
そこそこうまくやれてるんじゃないかと思う。
いろんな人や物と触れ合って適応してきた証だろうか。
たくさんのものの中からも選びたくなるような
そんな素敵なものと出会いたい。
選ばれる魅力のある人になりたい。
あの頃の自分にはあの街が都会だと感じていた。
シャッターばかりのただただ長い商店街。
小さいぼろぼろの映画館とゲームセンター。
デパートなんか行った日にはすごいはしゃいでた。
大人になってビルばかりの街に住んで、旅行にも行って、
違う土地を知ってしまうとすごく廃れて感じる。
でも逆にあのとても新鮮だった気持ちは
今の私がどこに行っても感じれないような気がしている。
私には明確に故郷だと言える場所があって、
それがとても幸せなことなんだと思える。
今週末に帰るよ。待っててね。
やりたいことか。
世界一周とか??
とりあえず日本は47都道府県網羅したいな。
いろんな土地に行きたいし住んでみたい。
実家に頻繁に帰れるってだけで決めるんじゃなく、
自分の意思でここに住みたいと思える場所を探したい。
周りの環境も含めて、自分の居場所を見つけたいかな。