幕間のあと
昨日の
夢のような時間から覚めて
ベッドの中、
顔を横に向けると
干からびたティッシュが
転がっていた
そう、
友人の結婚式にて
喜びの涙をいっぱい吸って
たしかに、丸めた
紙の
塊
その
隙間には、日常は
どこにも入り込む隙
など
なかった
もう、戻れないから、代わりに
「終わっちゃったね」
と、口に出してみる
そうして、わずかな隙を拵えて
いつもの、
日常
を
始めていく
お題:終わり、また始まる
「断ち切り」
バイバイ
って言わないと
あなたにわかってもらえないみたいなので
あえて、はっきりと
申し上げておきます
ここでは、もう
「さようなら」
という丸み
とか
「じゃあね、またね」
という親しさ
とか
「さらば」
という礼節
とかは
なしにしましょう
そうでないと
あなたは
決して聞いてはくれませんから
そうでしょう?
グッバイ
や
フェアウェル
も なし
ですよ
今更あなたにおしゃれな言葉のひとつも
いらない
でしょう?
ねえ、気付いてますか?
バイバイってお別れの挨拶の中でも
1番残酷なんです
だって、敢えて2回繰り返してるんですもの
2回、も
徹底してます
よね
引きずり
引きずられあった
私たちに、ぴったり
さあ、そろそろ
同じ言葉で
2回
切られる
覚悟は、できてますか
お題:バイバイ
「喪中を越える」
今朝も
同じ 日の出
あの日と同じ
陽(ひ)
もう、1年が経ちました
あなたを亡くしてからの年明けは
これが2回目
あっという間の
1年、です
夢を見ていたのでしょうか
いいえ、あなたの遺影を見る度
夢であってくれと
願って
引きずり回していたのは
私の方
今朝も
同じ 日の出
でも、今を照らす
新しい陽
少しずつ前を向くための
新しい
陽
お題:日の出
「大空を想うということ」
俺、つくづく大空に恋をしなくて良かったと思うんだ
寄り添いたい時に遠すぎるし
清々しい表皮を撫でることもできず
寒々しい時分に包んで温めてあげることもできないし
涙が落ちる前に口付けをしてあげることもできない
叶いっこないんだ
ひとつとして
大空はそのまま美しいのに、
俺はどんどん変わっていく
だからかな、夕暮れの
切ない赤が広がる時
俺、苦しくなるんだ
俺、臆病なのかな
恋をすることがなんなのかも、よくわかってないのにな
やっぱり、俺、大空に恋をしなくて良かったと思うんだ
お題:大空
部屋の片隅で息をするということ
昨日、灯した明かりが
消えかかったので
今日、新たな火を
つけに行く
ここは薄ら寒い
どこかにまた穴が空いたのだろう
温もりを帯びた針と
眠りで紡いだ糸で
ゆっくりと
繕う
紅茶の湯気と
本を栄養剤にして
柔らかな腐葉土を
いくつも
作る
鼓動の波打つ音を確かめて
生きる、という言葉を
反芻する
ひとつの心の臓
その小さな隙間すら
まだ
埋められずとも
未だ、そこすら
埋められずとも
お題:部屋の片隅で