「喪中を越える」
今朝も
同じ 日の出
あの日と同じ
陽(ひ)
もう、1年が経ちました
あなたを亡くしてからの年明けは
これが2回目
あっという間の
1年、です
夢を見ていたのでしょうか
いいえ、あなたの遺影を見る度
夢であってくれと
願って
引きずり回していたのは
私の方
今朝も
同じ 日の出
でも、今を照らす
新しい陽
少しずつ前を向くための
新しい
陽
お題:日の出
「大空を想うということ」
俺、つくづく大空に恋をしなくて良かったと思うんだ
寄り添いたい時に遠すぎるし
清々しい表皮を撫でることもできず
寒々しい時分に包んで温めてあげることもできないし
涙が落ちる前に口付けをしてあげることもできない
叶いっこないんだ
ひとつとして
大空はそのまま美しいのに、
俺はどんどん変わっていく
だからかな、夕暮れの
切ない赤が広がる時
俺、苦しくなるんだ
俺、臆病なのかな
恋をすることがなんなのかも、よくわかってないのにな
やっぱり、俺、大空に恋をしなくて良かったと思うんだ
お題:大空
部屋の片隅で息をするということ
昨日、灯した明かりが
消えかかったので
今日、新たな火を
つけに行く
ここは薄ら寒い
どこかにまた穴が空いたのだろう
温もりを帯びた針と
眠りで紡いだ糸で
ゆっくりと
繕う
紅茶の湯気と
本を栄養剤にして
柔らかな腐葉土を
いくつも
作る
鼓動の波打つ音を確かめて
生きる、という言葉を
反芻する
ひとつの心の臓
その小さな隙間すら
まだ
埋められずとも
未だ、そこすら
埋められずとも
お題:部屋の片隅で
真夜中のヒーロー
眠れないほどの空腹に襲われて
ついに頭が覚醒して
布団そっちのけで
身体が起き上がる
そんな僕の目の前で
小さなチョコが
笑って
いる
昼間、
おすそ分けとかなんとかで
もらった
やつ
違う
お前じゃない
ヒーローみたいに笑ってるが
お前じゃない
眠りの選択肢に向かうためには
お前じゃない…
そう思いつつ、
この、空腹というモンスターを鎮められるのは
お前かもしれない
お前だけかもしれない
と、
考えてしまう
たとえ、このあと
カロリーとか食べる時間とか
もっと手強い相手と
戦わないといけなくなっても
お題:眠れないほど
「セーターを着る」
下から被り
目的地を見やる
ふわふわなトンネルの中には
少しの不安と期待が混ざりあっていて
やはり袖を通すのは間違いだったろうかと
一瞬、思い直す
(柔軟剤の香りは取り残されたようだ)
そのうちに、右手が勇気を出し、
左手が真似をして、
ようやく首から上が決意を固める
そんな
朝
お題:セーター