「読まずの手紙」
いつかのお前の命日に読もうと思って
手紙をしたためた
改めて、お前との日々を思い起こしたからか
なかなかに、なかなかな
文面になった
さぁ読もうか
いや、まだ早い、と出し渋るうちに
手紙は波にさらわれていった
それから幾星霜
見知らぬ土地と
見知らぬ河原に
立ち
お前が対岸で手を降っている
渡ろうとした矢先
見ると、水面に何か浮かんでいる
あぁ、思い出した
これは
いつかのお前の命日に読むはずで
封を切るものかと決めた
手紙
お題:波にさらわれた手紙
※難しかったぁぁぁああ!!!!!
「空恋」
ガラス越しのあなたが
漂っている
揺れている
翻って
通り過ぎる
その度に、私は ざわついて
手足に目を向ける
だめ
たとえ、足を切り落としても
あなたと一緒には
泳げない
だめ
たとえ、陸地へと手を取っても
あなたはきっと
息ができない
それでも、空だった金魚鉢には
使い道のない
水が
溜まっていって…
…
明日も 明後日も
ガラス越しのあなたは
漂っている
揺れている
翻って
通り過ぎる
手を伸ばしても掴めない
赤だけを
残して
お題:空恋
※うぉぉぉぉ難しかったー…………………
「青になる」
きみ、
青になるのは実に楽しいぞ
そこいらの看板
道路上の矢印
バス停の案内板
走り抜ける車体の側面
道端に咲いている花々
なんにだって同化して
どこへだって行けるだろう
人間の体から飛び出して
血液も唾液もおしっこだって
青くなっちまうさ
涙だっていくら流しても
バレやしない
そして、見ててご覧
いつか、一面の空と一体になって
風になる
俺は
青い風になる
生き物だった頃のことを忘れて
飛び回る
だからね、きみ、
青になるのは
実に楽しいことさ
お題:青い風
「緑のひととき」
風が吹き
君は笑った
明日切り倒される命とも限らないのに
今、この刻
木漏れ日のように
お題:木漏れ日
「待ちぼうけの合間に」
地べたを見る代わりに
僕は、空に向かって
頭を上げて
手を伸ばし
無限に想像してみることにした
それで、明日への
続報を掴み取れやしないかと
願ったりして
お題:空に向かって