ここは戦場
勝つか、負けるか
言わば白か黒かを決める戦い
お互いの持つ信念を通すための唯一の方法
話し合い?今更すぎる
それで解決出来てたらこんなことにはなっていない
ここにいる時点で殺り合う以外の選択なんて、存在していない
…わかってくれたのなら
いい加減覚悟を決めて踊りましょう
踊って踊って周りのことなんか気にせずに
踊り狂いましょう
どちらかの命が散るまで
【踊りませんか?】
なぁ、覚えているか
冒険者に憧れてその中でも一握りしかなれない英雄になるんだって、そんな夢を見ていたあの頃のこと
何度もギルドに通って
どうにかこうにかお願いして冒険者見習いにしてもらったよな
まぁ子供だからって薬草採取、脱走したペット探し、掃除くらいしかさせてもらえなかったけど
それでも諦めずにせっせと依頼を受けて成人した時にやっと正式に冒険者になれたんだ
あの時は嬉しかったなぁ
今までしてきたことが報われた気がしてさ
いろんなところを冒険して、いろんな経験を積んで、今じゃ英雄だ
ここまで来るのは長いようで意外と短かった気がする
その過程はいいことだけじゃなく悪いこと、嫌なことも沢山あった
何度だって後悔をして、何度だって乗り越えて、そうして今まで生きてきた
だからさ、充分満足してるんだ
自信を持って言えるよ、
さいっっこうな人生だったってこれが歩んできた人生なんだって
な、お前もそう思うだろ?幸せ者だったって
お前と一緒に歩んできた人生は誇りでしかない
しかも最期をお前に看取ってもらえる
これ以上の幸せは天罰がくだっちまうだろうよ
…なぁ泣くな、笑えよ
そんなに泣かれたら心配で逝けないじゃないか
ふいてあげれたらよかったんだけどなぁ、もう、腕も動かせないみたいだ情けねぇ
…あぁありがとうお前が笑っていてくれるのなら安心して逝ける
もしも本当に生まれ変わりがあるんだとしたら
またお前を見つけてみせるよ
今度こそお前に告げるんだ
"◻︎◻︎◻︎◻︎"って
【巡り会えたら】
勉強も運動も嫌いで、毎日がつまらなくて仕方なかったのに
君と出会って
君と一緒に行動するようになってからは
なんでだろう
毎日が楽しく感じるんだ
こう思えたのも、君のおかげなのかな
こんな日々がこれからも続くといいなぁ
【きっと明日も】
君と付き合ってからはじめて行った君の家
付き合う前も何度か行って一緒に遊んでいたはずなのに
なんでかすごく、緊張したんた
その後は何事もなくいつもみたいに遊んで
雨が降りそうだからって帰ろうとしたんだ
そしたら雨が降ってきた
空は晴れていたのに
こういうのを狐の嫁入りっていうんだっけ
あ、話が逸れちゃった
それでさ、その日は傘を持って行ってなかったから君から借りて帰ろうと思ったんだ
そのことを伝えたら君は
少し迷ったような顔をしていたね
それから意を決したように言ったんだ
『…もう少し雨が止むまでここにいない?』
ってさ
驚いたけどそれ以上に嬉しかった
付き合ったのにいつもと同じなだけは味気なかったから
もちろん、楽しかったけど
もう少し、友達以上に君について知りたかったんだ
まぁすぐに止んじゃったんだけどね
結局何が言いたいのかって?
ふふ、ねぇ今日はあの日みたいだと思わない?
あの日みたいに関係を変えるのにもぴったりの日だと思ったんだ
それで何が言いたいかって言うとね、
「指輪、作りに行きませんか?」
…まわりくどいって?
ごめんね、直そうとは思ってるんだけど悪い癖が出ちゃったね
あはは、そんなに泣いてくれると思わなかったなぁ….
それじゃあ早速雨が止んだら作りに行こうか
【通り雨】
余命宣告を受けていた君と二人同じ病室だったよね
窓からは桜の木が見えて
君はよく言っていたね
『あの桜の木に花が咲いても見れないんだろうなぁ』
って
それを聞いた時
言うんだったら、あの桜が散ったら、なんじゃないの
って思ったよ
まぁ単純にあの桜は散ったばっかりだったからそう言ったんだろうけど
どうせなら、この景色も一緒に見たかったな
君に会えるまであと半年ちょっと、か
それまでに色々と土産話を用意しとくよ
【窓から見える景色】