終わらない問い
海は陸より大きいらしい
ならば、彼と私の愛も
狭い陸よりも無限の海の中でなら
許されるのかな
そんな日はくるのかな
愛する、それ故に
本当の俺は、君が思うよりも酷い存在なんだ。
だから、俺は君の未来に寄り添うべき奴ではないんだ。
俺のことは忘れてくれ、君には幸せに生きてほしい
愛してる、だからさようなら
誰か
乙女ゲームの世界に転生したら、誰かと恋に落ちるものだと思っていた。運命が廻り始めると思っていた。
でも、私はヒロインではなかった。
幼馴染である彼も、トリックスターと呼ばれる彼もここにいない誰かを探しているようだった。
違和感があったのが、正規ヒロインがいないのだ。
攻略対象たちに一切絡まずサブキャラクターの少女と駆け落ちしてしまったとのこと。
「どうするのこれ」
攻略対象もヒロインも役割を失った乙女ゲームは、
一体どこへ向かうのだろうか。
時計の針が重なって
時計の針が重なり、あの子の誕生日が来た。
一緒にいた時はごちそうを囲んで笑い合ったわね。
貴方はもう思い出だけど、今年も聴いてくれるかしら。
「お誕生日、おめでとう」
もう二度と祝えないあなたへのハッピーバースデーを毎年毎年、何百年前から空に伝え続けている。
孤独の魔女ソリトゥーディニスは、今年も届くことのない祝福を時計の針が重なるたびに囁くのだった。
彼女の声に応えるように、何処で星が瞬いた。
cloudy
「これは、勿忘草…?どうしてこんな時期に…」
曇り空の日に起きたその失踪事件は、違和感があった。
今は10月、春じゃないのにその部屋の床は勿忘草の花で満たされていたのだ。鑑識係も大変だろうに。
「花屋でこんなに扱っているわけないのに、ここまで用意できるのかね?」
机には、1枚の紙が残されていた。
___ Meril・Myosotis
「先輩、これなんですかね?何かの呪い?人名?」
軽そうに言うが、声に恐怖が隠せていない。
かくいう私もだが。
鍵のかかった部屋、閉まっている窓、床一面の勿忘草、残された財布にスマートフォン…
「彼女は…どこへ?」
大家の男性も呟く。
「昨日の朝挨拶した時には、彼女特に変わった様子はなかったんですけれどね…」
血の痕跡も見当たらない、指紋もない。
この事件、何かがおかしい。
不可解さに頭を抱える私の後ろで、えぇっ!と叫ぶ後輩。
「先輩…!紙に新しい文字が…」
「はあ?文字だと⁉︎」
大家と後輩と3人で紙を覗くと、羽ペンで描かれたような文字が浮かび上がっていた。
___ 愛と狂気は、表裏一体である
やはりこの事件、普通ではない。
普通の事件などないが。