未来の記憶
未来の記憶は見えるのに過去がもやがかかって見えてこない。ただ一つだけ覚えているのは、君だけは逃げるんだって叫ぶ青年らしき人物のシルエットだけだった。
私は過去のことがあまりわからない。
どこの誰なのかわからない。
それを今お世話になっている旅芸団の仲間の1人に話した。
「わからないなら、わからないままでいいんじゃないかな?もしかしたら、君にとって辛くて悲しいことが多い可能性もあるかもしれないよ。だから無理に急いで思い出さない方がいいかも」
それに、未来をどうしていくかの方が大事かな私は。と最後に私に笑いかけた。
過去のことはやっぱりわからない。
けど、今目の前にいる仲間たちのことは大切にしたい。
自分の未来を作っていくために。
ココロ
私は自分の物も含めて人の心からの感情を垣間見るのが苦手かもしれない
その感情を自分のものとして受け入れたくない
その感情をまっすぐに受け止めるのが怖い
そう悩むこと自体疲れてしまった
終わらない物語
「オレたちSeven×Paletteの物語はまだまだ終わりません。これからも皆さんに素敵な色を見せられるように頑張っていくので着いてきてくれたら嬉しいです。本日は本当にありがとうございました!」
最後のパフォーマンスが終わり、ファンのみんなに挨拶をする。ファンの子たちは、オレたちの笑顔や歌で元気や幸せをもらっているってSNSや手紙で教えてくれるけれど、それだけじゃない。
オレたち自身も、ファンのみんなの笑顔や応援があるおかげで前を向こうもっとワクワクする夢を届けようと思えるんだ。
歓声とペンライトの海を後にして、裏に戻って行く瞬間は名残惜しくなる。
次はどんなファンに会えるかな。って考える。
それくらいオレはライブが大好きだ。
まだまだSeven×Paletteの物語は終わらない。
やさしい嘘
「悪いのは全部私だ。その人間は悪くない。私の実験台になってもらうために連れてきたのさ。」
魔法警察に尋問されそうになる私の前に彼は立ち塞がった。
「何いってるの…?」
何もわからなくなった私のそばにいて支えてくれたのは彼なのに。
手を握られると、脳内に彼の言葉が響く。
「君だけは逃げるんだ。なぁに大丈夫さ、私もすぐ追いつく」
さいごはいつもの朗らかな彼だったけど、どこか悲しく聞こえた。
彼に転移魔法をかけられたわたしは外をひたすら走って逃げていた。
記憶を完全に抹殺する魔法は禁術とされている。
それはわたしも薄々わかっていた。
最も重い罰にならなかったとしても、彼と私はもう2度と会えないかもしれない。
「わたしはずっと一緒にいられたらそれでよかったのに。逃がすための優しい嘘なんかいらなかったよ」
優しい嘘は、誰かの幸せを守るとは限らない。
だけど,彼のことも自分がどこの誰かも忘れることを
今の私はまだ知らない
瞳をとじて
瞳をとじても、うかんでくるのはしろいもや。
わたしはいったいだれなのかなあ