子猫
「わぁ、子猫だ!」
弾んだ子どもの声が聞こえた方に行くと、小さな女の子たちとその親らしき人がいた。
これが、僕と家族の出会いだった。
彼らはご飯をくれて、一緒に遊んでくれた。
しばらくして、僕は彼らの家族になった。
たくさん一緒に遊んでくれて、優しく撫でてくれるこの時間が1番幸せだった。
みんながお休みの朝は、なかなか起きてこなくて起こしにいったこともあった。
テレビに出ている猫を一緒に見た。
寒い日は、お布団の中に入れてくれた。
「温かいね、ありがとう」
温かいのは僕の方だ。大切な思い出をくれたこんなに素敵な家族に出会えたのだから。
僕の家族と出会って、そろそろ20年になる。
僕を愛してくれたみんなには、ずっと幸せでいてほしいな。
また会いましょう
人間界での修行が終わり、私は魔法界に帰らなきゃいけなくなった。来たばかりの頃は失うものはないと思っていた。
でも、今は違う。別れたくない。惜別が辛い。
目の前で泣きじゃくる彼女も同じ想いだろう。
「仲良くなれたのにっ…お別れなんて嫌だよ…!」
彼女と出会った春、思い出をたくさん作った夏、人間界の美しい場所に行った秋、お互いのことを眠くなるまで語り合った冬の夜、たくさんの思い出が駆け抜けていく
「…っ!私もだよ」
しばらく抱きしめ合って2人で泣いた。
あなたが寂しくないように、ささやかな魔法をかけよう
また会いましょう、かけがえのない人。
哀愁をそそる
哀愁と美しさは隣り合わせである
永遠に
私はいつも見送ってばかりだ。
どれだけ愛した人も、友人も、お世話になった人も
先に旅立っていった。
人間より長く生きる私だが、別れの時ほど自らの運命を呪ったことはない。
「永遠に一緒にいたい夢は叶わないのかな」
悲しみは、空へと消えていった
高く高く
周りは、自分より綺麗な人や歌やダンスが上手な人、そこに加えてプラスアルファを持っている人がたくさんいた。
アイドルに向いてないのでは?と悩んだ日々もあった。
それでも、トップアイドルになりたいって夢は諦めきれなかった。
たとえ届かない夢だとしても、叶うわけないと笑われてしまっても…。
小さい頃の自分に元気をくれたあの人たちみたいになりたいて願いは捨てられなかった。
雲を突き抜けるくらい高く高く手を伸ばした。
一番星は遥か遠くにある。それでもいつか誰かを照らすアイドルになろう。