鋭い眼差し
高校最後の部活の試合。
決勝戦の相手をまっすぐに見つめる。
いつかお互いがそれぞれの学校で活躍しようと約束した親友が目の前にいる。
絶対に負けられない試合。それは彼女も同じだろう。
「お互い手加減なしだからね」
「もちろん。私も負けたくないからね」
互いの鋭い眼差しがぶつかり合う。
3年間の全てを賭けた熱い戦いが今幕を上げる…!
さあ、勝利の女神はどちらに微笑むだろう?
高く高く
大空に憧れて、高く高くジャンプしたあの頃。
楽しいことも夢もいっぱいだったあの頃。
どこまでもいける、そんな気がした。
でも今はどうだろう。自分から心の翼を折り
どこにも行けずにいる。
そんな自分を見てあの頃の私は嘆くかい?
子供のように
自分のことをまだちゃんとした大人とは言い切れない。
でも、子供のように思いのまま夢を描けなくなってしまったのはいつからだろう。
理屈なしで恋ができなくなってしまったのはいつからだろう。
世間のしがらみから逃げられなくなってしまったのはいつからだろう。
考えてもどのタイミングかはわからない。
知らず知らずに絡みついた価値観や人から言われた無数の否定。夢を追うな、普通はそんなことしない、できるわけない…
そして普通から外れただけで冷たくされる世界を見てしまったからかもしれない。
過去ってある意味呪いなのだろう。無垢な子供時代に受けたものは無くすのは難しいからだ。
子供のようにまっすぐ希望を描く力を取り戻しにいけたらと何度も願った。今はまだ取り戻している最中だ。
放課後
学校終わりに喋りながら帰る、こんな日々も今では尊い時間だった。
カーテン
カーテン。それは、部屋のプライバシーを守ってくれるのと同時に、1日という舞台の幕の役割もあるのかもしれない。
朝起きて、カーテンを開いて、シャッターも開く。
朝日が空に広がり始めた頃だ。
新鮮な日差しをいっぱいに浴びるのはなんて幸せなんだろう。
さぁ今日も1日が始まる。私は着替えてリビングに向かった。
夜になって、濃紺の空を見上げ涼しい風を浴びる。
今日もよく頑張った。夜空はまるでカーテンコールの客席。
シャッターを閉めて、カーテンも閉める。
明日はどんな物語が幕を上げるのだろう。
不安と期待をかかえ布団に入った。