5『未来』
遠い未来はどんな状況になっているだろう。
百年、千年、万年も後。当然僕は生きていないけど、どうしても気になって想像してしまう。
未来のことなんてわからない。
数々の失敗を経て、その過ちから学ぶことしかできない。
だが、人は思っているよりも愚かだ。
あの世界大戦を終えて尚、現代でも戦争は消えていない。
それもそうだ、この世から争いが無くならない限りはずっと起こり続ける。
どんな善人でも悪の心はある。
正義の為に振るう行為が、悪を不幸にさせるのなら、それは善行なのか。
――歴史は繰り返される。
古代ギリシャのツキジデスも、またそれを研究した、とある博士もこう言う。
焼け野原にも草木は芽吹く。そして新たな文明が生まれる。
未来は繰り返されているのだ。
4『一年前』
一年前……と言えば、僕がようやく中学三年生という肩書きに慣れた頃だ。
今思えば、あれだけ面倒くさかった中学校生活も「楽しい」と言える範疇にはあった。
毎週の日曜日は、友達と夜遅くまでゲームをしていた。明日学校がある、なんていう現実は無視して。
ところが、高校一年生になった今、そんな日常は大きく移り変わっていた。
周りの友達は、一年前と変わらずゲームを長時間楽しんでいるようだし、僕は進学を目指しているわけだからゲームをするなんて暇は当然ない。
諸行無常という概念をあれほど意識していたというのに、結局後悔を避けることはできなかった……。
六時間授業で死にそうにっていた自分が、今では七限まで余裕ときた。
すべては変わってしまった。
たった一年で、何もかも。
全くもって情けない。
そもそも、僕は小学校六年間と中学校三年間で満足していたのだ。
少しマセたことを言うが、甘酸っぱい青春も、友情の素晴らしさも僕は知った。責任を果たすこと、勉強することの辛さも学んだ。
勿論、本場の社会で生きる人達の辛さは、僕には想像できない。
この世に未練などもうない。叶えたい夢はあるけど、それは将来的に楽であるからに過ぎない。
目前にある希望にすがり溺れるのは、人の常ではあるが、僕にはその希望すら見えないようだ。
鬱になって、けれど社会は僕を待ってくれない。
また一週間もすれば、二度目の考査が始まる。
――おっと、日曜日がもう後数時間で終わってしまう。
まだ勉強をしないとな……。
3『好きな本』
好きな本はアーサー王物語。
すべてはあの日から始まった。
幼き少年が選定の剣を抜いてしまったが為に、将来の破滅が定められた悲劇の物語。
アーサーを囲った屈強な円卓の騎士達でさえ、己の欲望にいとも容易く溺れてしまうのだ。
不倫と勇気が込められた、西洋の騎士道物語こそが、このアーサーにまつわる伝説だ。
この本を読もうと思ったのは、某アニメに登場する、アーサー王を美少女化したキャラクターに魅力を感じたからだ……。
――他愛もない話だが、偉人を女体化するという文化自体は江戸の時代からあるらしい。
これについては個人的に、「新たな文化をつくっている」と解釈している。
2『好き嫌い』
善行と悪行。
おそらく世間一般的には、善行が好まれ悪行が嫌われることだろう。
これは、『好き嫌い』というお題に関しては少し逸れている内容なのかもしれない。
――人には必ず『好き嫌い』がある。
好きな食べ物、嫌いな他人、あるいは苦手な教科……。
嫌いなものが一つもないと言う人間はこの世にはいない。
苦手なものが一つもないと言う人間はこの世にはいない。
誰だって好きなものはあるし、嫌いなものもある。
であれば、心が善で染まりきった人間もまたいない。
善良な者が気まぐれに起こす悪行。
邪悪な者が戯れに起こす善行。
この矛盾こそが、人を人たらしめるのだ。
『やりたいこと』
僕がやりたいことはただ一つ。
それは寝ること。
夢の中だけは、勉強も責任も問われない。
現実から逃げているってのは自覚してる。
でもそれでいい。
偽りだっていい。
仮に辿り着けぬ理想郷だとしても、僕は必ずそこを目指す。
やりたいことをするために、僕はやらないといけないことをするんだ。