4『一年前』
一年前……と言えば、僕がようやく中学三年生という肩書きに慣れた頃だ。
今思えば、あれだけ面倒くさかった中学校生活も「楽しい」と言える範疇にはあった。
毎週の日曜日は、友達と夜遅くまでゲームをしていた。明日学校がある、なんていう現実は無視して。
ところが、高校一年生になった今、そんな日常は大きく移り変わっていた。
周りの友達は、一年前と変わらずゲームを長時間楽しんでいるようだし、僕は進学を目指しているわけだからゲームをするなんて暇は当然ない。
諸行無常という概念をあれほど意識していたというのに、結局後悔を避けることはできなかった……。
六時間授業で死にそうにっていた自分が、今では七限まで余裕ときた。
すべては変わってしまった。
たった一年で、何もかも。
全くもって情けない。
そもそも、僕は小学校六年間と中学校三年間で満足していたのだ。
少しマセたことを言うが、甘酸っぱい青春も、友情の素晴らしさも僕は知った。責任を果たすこと、勉強することの辛さも学んだ。
勿論、本場の社会で生きる人達の辛さは、僕には想像できない。
この世に未練などもうない。叶えたい夢はあるけど、それは将来的に楽であるからに過ぎない。
目前にある希望にすがり溺れるのは、人の常ではあるが、僕にはその希望すら見えないようだ。
鬱になって、けれど社会は僕を待ってくれない。
また一週間もすれば、二度目の考査が始まる。
――おっと、日曜日がもう後数時間で終わってしまう。
まだ勉強をしないとな……。
6/16/2024, 12:49:46 PM