楽園で泣く蛇がいた
悲しみの渦には欠けた果実
「ああ…この身は背いてしか問えない」
哀れにも試練として造られたんだわ
リリスはしばらく思案して
「できないことは貴方だけのものよ
その不自由が肉体の魅力なの」
泣き止んだが表情なんて読めない
「分かれ道を作ってあげたんでしょ?
運命を染めたなら立派じゃない」
「こんな愚かな結果でも?」
「正解なんて知らないわよ
私浮気性なの
なにがなんでもなんでもいい
起きた全てにキスをするわ」
表情は読めないけど尻尾が揺れてる
「ねえ、ここから一緒に出ない?
飽きちゃった」
リリスは東の夜へ歩いてゆく
「…」
蛇も道草を這いながら進みだした
無色の世界の音は眠たげな鈴のよう
手を伸ばすとピトピトする膜があり
ちょっとわざとらしいお砂糖の匂いがする
小宇宙の飴玉のどこかの高原でひとり
遥かむかしに夢に逃げたはずが
いつからか素敵な星間旅行
同次座標のパニックな私へ
私は確かにここにいる…てんを繋ごう
桜散る川沿い はやあがり
ちょいと暑い昼下がり
ちゃぷちゃぷ足つけコーラ飲み
サンダル流れて石にかかり
立って思いの外 ヌルヌルに
バランスとりながら慎重に
あっ と束の間 水しぶき
やはり冷たく 打ち上がり
仰向けため息 うっとしい友の笑い
桜と葉のモザイク似合う好きな花曇り
物憂げな空の下 汚ねえ残雪
足元濡れてバカムカつく
道路に出たい車のための小走り
少しイラつく
見透かすような鴉 変な鳴き声
変な迷信思い出して舌打ちする
勝手にバッドなもんでごめんね
アガペーとセルフラブと
ため息で散らかってる心境
しんどくなって立ち止まってみても
雨が降るから急いで走り出すことになる
気づいたら家に着いてた それだけ
ずっとこんなんなんだろうね どうせ
太陽のような理想は
近づくほどこの身を焦がす
冥王星のようなコンプレックスが
嫌な笑みを浮かべる
バカな僕は君とのロマンスのため
第三宇宙速度を超えたがるが
それもこれもなにもかも
自分を騙し通すことができれば
気にする必要ないのに