踊りませんか?と
毎夜手を取るのは
不安や 恐怖や 孤独であった
逃れようのない手に任せ
踊り 踊らされ
踊り疲れてやっと眠る
そんなのを繰り返すうちに
すっかり 彼らの友となった
そうして私は今や
こちらから手を差し出すのだ
不安や 恐怖や 孤独に向けて
踊りませんか?と
窓から見える景色が、好きだった。
窓を額縁に、自然が描き出すものを楽しむ事ができた。
隣の公園の桜が、二階にある私の部屋とちょうど同じくらいの高さだったので、春には満開の桜が額から溢れんばかりに見えていた。
のほほんとして、全てを否応なしに穏やかにしてしまうような春は少し嫌いだった。でも、空気に溶けそうな淡いピンク色で、しあわせをそのまま絵に描いたような桜がふわふわと揺れているのを見ると、春も悪くないと思えた。
夏が近づくと山の竹林がさわさわと音を立て、夜には蛍が飛んだ。より夏が深まれば、濃いみどり色の空気を蝉時雨が震わせた。
紅葉の色が変わっていくのを眺め、金木犀のかおりで秋の訪れを知った。遠くには、彼岸花が畦道を赤く染めているのが見えた。
たまに夜中まで眠れずにいると、絹を裂くような音が聞こえた。うつくしい、鹿の鳴き声だった。
冬になると辺りを真っ白にするほど雪が積もる。
もう何ヶ月もすればかわいい花を咲かせる桜も、この時は水墨画のような幹に雪を乗せ、重たそうにして耐えていた。
日が昇る時の曖昧な空の色も、日没の強い色彩も、全てを描き出す窓だった。
わたしと共に育った窓。
これからもわたしの心に、生きていく窓。
声が聞こえる
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大事にしたい と 思う
心から
でも 大事にするって なに?
どんなに愛しても
どんなに慈しんでも
どんなに大事にしていても
自己満足では意味がない
伝わらないのは 無いのと一緒
受け止めきれない愛は
時に脅威で
予期せぬ愛は
時として暴力的で 恐怖だ
大事にしたい と 思う
あたたかな愛を伝えたい
あなたに
それに わたしにも
夜景がうつくしいのは
その ひとつひとつの光の中に
生きている人間がいるからで
その人間の
醜さや つらさや 恐ろしさ 悲しさは
光の中に溶けてしまって
見ている者の目には届かない
だから夜景は
今日もうつくしく
あなたの目に
輝いて見えるのです