今日もちゃんと出来なかったからバツ。
わたしはバツが嫌い。
だって今までテストでバツがついたことないの!
わたしはマルがつくと思って、おかあさんに百点満点のテストを見せた。
褒めてくれた!!マルがつく!
でも、バツがついてた。
どうしてだろう。何がだめだったんだろう。
ほめてくれたのにマルがつかなかった。
まだ、ダメなところがあるんだ。
頑張らなきゃ
バツ、バツ、バツ、バツがいっぱい。
わたしは出来ない悪い子なのかな。
でも頑張ればマルはつく!
バツ、バツ、バツ、バツ。
私は出来ない子。
何も上手にできない。
私が駄目だからバツがつくんだ。
もっと、認めてもらえるように、
今日もバツ。
社会人になった今でも、私はバツをつけている。
私は決めたのだ。最期まで生きたら『カレンダー』にちゃんと出来たよって、丸をつけると。
喪失感
どうして、いっちゃったの。
一緒に、くらげ降らせるって、約束したじゃん。
あんなに、強くて、明るくて、元気だったあの子が
どうして病気で死ななきゃいけないの!!
どうしてこんなにも早くいってしまったの、?
最後にあの子と図鑑で見たミズクラゲ。
「ミズクラゲきれいだね。降ってくるとこ一緒に見ようね!!」
お願いします神様。
あの子のために、クラゲを降らしてください。
この理不尽な世界にクラゲを降らしてください、
そうしないと、私はもう壊れてしまいそうです。
私は強く願った。
ボトッ
足元にミズクラゲがいた。
今日、大量のミズクラゲが世界中に降った。
世界に一つだけのたんぽぽ
世界に一つだけの空
世界に一つだけの落書き
世界に一つだけの使いかけの鉛筆
どれもピッタリ同じじゃない。
どれも世界に一つだけのもの。
人だってそう、同じ人なんていないんだ。
「〇〇ちゃんはみんなと違う。」
その"みんな"もひとりひとり違う。
だから、その子だけが違うわけじゃない。
それぞれが世界に一つだけの大切な人間だ。
『世界に一つだけ』
『踊るように』
私はダンス部の部長だ!
音楽もダンスも大好きで今とっても幸せだった。
県大会に向けて練習をしているところだ。
私はダンス部の部長だった。
事故にあい、耳が聞こえなくなった。
もう、踊れない。
大好きだった音楽も聴こえない。
聞こえないなんて嘘だ!
認めたくない、嫌だ嫌だ、
私は手話なんてなくても喋れるし、
音だって少しは聞こえる
だから、踊らせてよ、
『時を告げる』
ようやく楽になれるんだ。
痛くて痛くて、苦しかったことも、明日できっと終わるんだ。
別に明日で終わると言われたわけではない。
もうなんとなく分かるんだ。
自分のことは自分が一番わかっている。
でも、楽になれるはずなのに、僕は泣いてしまう。
悔しい。
この世界で弱く生まれた僕が。
それでも、周りの人たちは僕に暖かい光をくれた。
だから、僕は、少しでも生きたいと思えるようになった。
治療は頑張ったし、痛い注射だって我慢した。
苦しくなる薬だって、にがい薬だって、頑張って飲んだ。
それだけ頑張ったけど、僕はもう、その時が来てしまったようだ。
今日が明けないでほしい。
でも、それは叶わず、僕は段々と意識が遠のいて、あたたかい光に包まれていく。