お兄ちゃんは海に帰った。
私のためにきれいな貝殻を見つけてくると言って。
お母さんとお父さんにこのこと言ったら、
ずっと怖い顔で私を見てくる。
あなたのせいよ!!
おまえのせいだ!!
私はぶるぶる震えながらお兄ちゃんが浜辺でくれた
『貝殻』をギュッと握った。
今日も帰りは12時過ぎ。
手を洗ったついでに、鏡を見ると、疲れきってゲッソリした私がいた。
上京してきたばっかの頃は、東京なんて憧れで
全てがきらめいていた。
あの頃が一番楽しかった。
いつから憧れていた東京が、息苦しく感じるようになったのだろう。
今じゃ東京は牢屋のように苦しい。
昔は嫌いだった、田舎の実家に帰りたい、
夜に見たあの星の『きらめき』を見に行きたい、
皆にとっての些細ことは、私には重く感じる。
些細なことでも気にしてしまう。
あなたは「そんな些細なこと気にすんなよ」って言うけど、
私にとっては些細なことではない。
もし、些細なことでも、私はそれだけで落ち込んでしまう時がある。
冗談で「バカじゃん」と言われても私は気にしてしまう。
挨拶することすら、迷惑じゃないかとか、
下の名前で呼んでいいか、
そんなことだけでも私にはとても勇気がいる。
あなたにとって、『些細なことでも』
彼女は太陽のように明るい。
彼女が学校に来るとみんな群がる。
もちろん彼女がおはよう!と言うと
皆ニッコニコの笑顔で「おはよう!」と言う
それに比べて私は陰のオーラを放っている。
私はいつも彼女と一緒に行動している。
いや、むしろ彼女から私の方に来てくれる。
あれだけの友達がいる中、私の方に来てくれたときは、
泣きそうになった、嬉しかった、
常に私といてくれると思うと贅沢な気分だった。
彼女がいるだけで私は救われるのだ。
まるで、彼女は私の『心の灯火』のようだ。
なんだか、疲れてしまって、返信気力が起きない。
仕事のことで、返信しなきゃ、
親に、お金はもう少し待ってって言わなきゃ、
父 金はまだか!!?
上司 返信遅いぞ?サボりか?
嗚呼…もう疲れた。
私は家を出ても縛り続けられて、逃げればいいのに、
やっぱり心配で、
馬鹿みたい…
返信するのが怖くて、私はLINEが開けなかった。
開けないLINE