同情
あなたの影が
いつもより長く伸びていることに
気づいてしまった夕方
私はそっと歩幅を合わせた
言葉は要らない
胸の奥で沈んだ石の重さは
触れれば崩れてしまいそうで
触れなければ届かないままで
ただ、
あなたの痛みが
あなた一人のものだと
決めつけたくなかっただけ
寄り添うことは
救うことじゃない
けれど
孤独の形を
二人で見つめ直すことなら
できる気がした
眞白あげは
枯葉
ひとひらの枯葉が
風にゆだねて落ちていく
役目を終えたはずなのに
その色はどこかあたたかく
夕暮れの光をそっと抱いていた
踏まれても 砕けても
音を立てて語りかける
「終わりは 静かな始まりだ」と
枝を離れたその瞬間から
自由と孤独は同じ重さで
葉脈の奥にしみこんでいく
それでも枯葉は
最後の旅路を誇らしく舞う
自分の季節を生ききった証のように
眞白あげは
今日にさよなら
夕暮れが そっと背中を押す
もう戻れない一日の端っこで
私は小さく息を吐く
言えなかったこと
笑いきれなかったこと
胸の奥でまだざわついているけれど
それでも
今日という名前の舟は
静かに岸を離れていく
手を振るみたいに
まぶたを閉じて
そっと呟く
――今日に、さよなら。
明日が来ることを
まだ信じきれなくても
夜のやわらかさだけは
確かにここにある
眞白あげは
お気に入り
ひとつ そっと
胸の奥にしまってあるものがある
朝の光に似た
やわらかな気配で
名前を呼ばずとも寄り添ってくる
誰にも見せなくても
消えずに灯る小さな灯火
触れれば 昨日の続きのように
静かに微笑みを返してくれる
世界がざわめく日にも
そのひとつがあるだけで
呼吸がふっと軽くなる
お気に入りとは
選んだものではなく
いつのまにか
心が選んでいたもの
眞白あげは
誰よりも
誰よりも
静かに歩いてきた道がある
誰にも見えないところで
そっと積み重ねてきた日々がある
声にしなかった想いも
涙にしなかった痛みも
すべてがあなたの輪郭を
やわらかく、強く、形づくっていく
誰よりも
あなたはあなたを知っている
迷いながらも
それでも前へ進んできたことを
だからもう
比べなくていい
追いかけなくていい
あなたの歩幅で進むその一歩が
誰よりも美しい
眞白あげは