【ぬるい炭酸と無口な君】

「今日の君はいつもより口数が少ないから

　持ってきた炭酸がぬるくなってしまった」

なんて言ったって君は

こちらに目を向けることはないんだろうな

【虹のはじまりを探して】

レインコートと長靴はいて

ぼくは雨のまちを歩く

虹はどこから出てくるの？

そんなふしぎを心にいだいて

ぼくは虹のはじまりを探す

【半袖】

のぼせそうな猛暑の中

ひやり、と人工的な風が袖を通り抜けた

鳴り響く扇風機の音と蝉の声を聴いて

すいかでも買おうかと外に出る

半袖とサンダルというラフな服装

紫外線がじりじりと肌を焦がしていく

陽射しが強いし長袖のほうがよかったか

どちらにせよ暑いならどうでもいいか

のぼせた頭でそう考えた

【青い風】

「…なぁ、別に答えなくていいんだけどさ」

「お、君から話しかけてくるなんて珍しいね！」

「……」

「おやおや無視かい。悲しいなー」

「…青い風ってなんだ」

「青い風？」

「そう、青い風」

「あ〜青い風〜♪なら聞いたことあるよ」

「意外だな、お前がそういうの知ってるの」

「母さんがね…ってそれはどうでもいいや」

「何で急に青い風の話してきたんだい？」

「…本で出てきて少し気になっただけだ」

「も〜結局またその本のことか。悔しい…」

「…無機物にムキになって馬鹿みたいだな」

「中間テスト91点」

「…64点」

「ふっはっは〜！これで馬鹿とは言わせないよ！」

「いや学力が全てではないから」

「ぐぬぬ…」

【君だけのメロディ】

誰にだって自分しか持っていない音がある

声　呼吸　心音　足音

全てが合わさって君だけのメロディになる