耳を澄ますと
さわさわと流れている風の音が聴こえた。
今日は憎たらしいくらい快晴と呼ぶのにふさわしい青空だ。
周りは空気がすんでいて、自然の音以外なにも聞こえない。
そう、なにも。
今年もこの日がやってきてしまった。
君がここに眠ってから、もう何年経つんだろうね。
ここで耳を澄ませても、なにも、聞こえない。
声がないのは寂しいけど、せめて君がしあわせに過ごしていることを願ってるよ。
じゃあまた来年。
ルールがないと、わたしは生きていけない。
ルールがなくなると、なにをしていいのか、なになら許されるのかが分からなくなってしまう。
よく、ルールってなんのためにあるのって言う人がいるが、わたしは基準だと思う。
ルールはダメなことはダメ、逆にここまでなら許されるのかがわかりやすい。
もちろん、理不尽なルールはあるべきではないが、
それ相応のものには従うべきだ。
「自由」な人からは、とても狭く、檻の中に入っている可哀想な人だと思われるかもしれない。
けれど、基準がない世界の方がわたしにはよっぽど難しそうに見える。
もしかしたら、生まれた時からルールに従っているからこその思考なのかもしれない。また別の国で生まれていたら、もっと「自由」に生きていたのかもしれない。
でも今のわたしにとって、基準のない「自由」な世界とは、分からないという鎖をつけられて歩くようだ。
ルール
雨。
しとしとと降っている。
天気予報は100%間違っていなかった。
今日の天気はこれからも最悪らしい。
カバンを背負って傘をさして歩くと、もうびしょびしょで、ついでに髪もぐしゃぐしゃ。
心模様は最悪だ。
おはよーと挨拶しながら教室に入るが、
雨のせいかクラスメイトはいつもより少なかった。
そんな中、いつもと同じように席に座っている友だちがいた。
今日雨なんて最悪じゃない?
ちょっと冗談まじりで声をかける。
すると友達はにこにこと、
えぇ?そんなことないよ!最高じゃん!
なんて思いもしなかった返事がきた。
なんでなんでと驚きながら聞くと、
だって今日は風が強くないし、日の光もないよ!めちゃ嬉しい!
だって。
そういえば、この子はいつもチートアイテムで来ていた事を思い出した。
もー車いいなぁ。うわ待って、くつ下湿ってんだけど…
雨に対する恨みを呟きながら、急いでくつ下を脱いだ。
けど、いつもより明るくご機嫌な友だちを見たら、今日の雨なんてなんてことないように思えた。
友だちのおかげで今日の心模様は曇りくらいになったかもしれない。
今日の心模様
たとえ間違いだったとしても
僕は君のとなりを選ぶだろう。
君が周りにどれだけ敵を作ろうとも
君がどれだけ人に恨まれても
この選択が僕にとって、人生で最大の間違いだとしても
僕は君の錨にはなれないけれど、
君が辛い道を進むとしても、
僕は必ず君のとなりを選ぶということを
心の隅に置いておいてほしい。
たとえ間違いだったとしても
もしも未来を見れるなら君はどうする?
いつも表情が変わらない君に聞いてみた。
いつもと変わらない一日?
それとも、予想外のことが起こる一日?
好奇心が動き出す。
少し覗いて見たくない?
面白いことになるかもしれないよ
僕はわくわくした声で君に話した。
すると君は少し考える素振りして、
いや、答え合わせは明日にしよう
と言った。僕は予想外の答えに思わずなにか言いそうになったが、堪えて次の言葉を待つ。
だって結末を知っている物語なんて、
面白みがないじゃないか。
そう静かに言った君の横顔は、
いつもより少し口角が上がっている気がした。
僕は思わず、そっか、と一言呟いただけだった。
もしも未来が見れるなら