最近は蒸し暑い。
まだ5月だというのに、毎日暑苦しくて嫌気がさしてしまう。
制服だと衣替えの期間があり、めんどくさく感じながら、シャツの手首のボタンを外した。
ふと見ると、あそこに半袖で登校してる子がいた。
完全なる校則違反だよ。ってちょっとこころで呟いてみたりする。
ほんとは自分も半袖になりたい。だって年がら年中動いていた代謝のいい運動部は、すぐに汗をかくのだ。
部活ももうすぐ終わるし、なんだかんだ3年間はあっという間だなぁと感慨深くなりながら、今度は首元の第1ボタンを外した。
さすがに3年生にもなって先生に服装で注意されたくないし、進路にも関わってきそうで、校則違反はしたくない。あまり心地の良い暑さとは言えないが、まだ耐えられるものなのでここは衣替え期間になるまで大人しく長袖のシャツの袖をめくって過ごすのが無難だろう。
こうして進路のことを考えたりしていると、もうすぐ自分の青い春は終わりを迎えてしまうのだなと思いながら、タオルで汗を拭った。
半袖
ザー・…ザザー‥ザーザー・・ー
鳴り止まない。
降り止まない。
雨の音が聞こえる。
僕は意味もなく宙を見上げていた。
ザー・ザザー・…ザーー・…
鳴り止まない。
降り止まない。のかもしれない。
わからない。
ザザー・…ザー・ー……ザザ…
雨が、解らない。
目を閉じる。
喉が渇いたのかもしれない。力が湧かない。
その辺にあったコードを首にぶっ刺した。
雨、が止んだ。
また明日、また明日って
あと何回唱えれば
わたしは現実に戻れるのだろうか
わたしの理想のあなたは、
勉強ができて、スポーツも万能で、スマートにエスコートしてくれる人。
でも、あなたはその逆。
勉強なんかいつも赤点で、スポーツしてるとすぐ転ぶくらいどんくさい。その上エスコートなんてされたことない。
でも、勉強を教えると必ず「ありがとう」って言ってくるし、転んだあとに「またやっちゃった」ってヘラって眉を下げてこっちに向けて笑うのがどうしようもなく好きだ。
エスコートじゃなくても、落ち込んでる時に声をかけてくれるあなたを心から愛してしまっているんだ。
こんな世界なんて終わってしまえ!!!
カバンをベッドに叩きつけながら叫んだ。
着いているキーホルダーはすごい音を立てて飛んで行った。
あぁクソ、なんでこんなことになったんだ。
わたしはただ、「普通」の人のように「普通」に生きたかっただけなのに。
わたしは昔から浮いていた。
わたしがなにかを発言しては「それは変だよ。」ってみんな顔を見合わせる。
ふざけんなよ。わたしの「普通」はこれなのに、なんであんたらに馬鹿にされなきゃいけないんだ。
自分の意見も人に貶されるこんな馬鹿でクソみたいな世界なんて今すぐ終わってしまえばいいんだ。
明日は世界が終わっていますように、なんてありえないことを空に向かって3回つぶやく。別に流れ星なんて流れている訳でもないのに、意味もなくつぶやく。
ただ、もしかしたら明日は人に認めてもらえるかな、なんて馬鹿みたいな期待をする。
明日になったら自分も変われるんだろうか。
そんな他力本願で行動を起こさないわたしがいやだ。
ああやっぱり明日世界が終わればいいのに。