ふわり、ふんわり。
　緑あふれる庭に面した窓前に机を置いて本を読む。
　視界の端に揺れる洗いたての白。

　あゝ　気持ち良さそうだ。
　そよそよと頬を撫ぜていくそれに目を瞑った。

　ちょっとだけ寝ちゃおうか。
　いやいや、まだまだ。
　今は読んでいる本は佳境を迎えている。
　しかし、心地良い。ちょっとだけ。
　
　栞を挟み腕を組む。
　頬を乗せるように伏せて、
　瞼を撫ぜる柔らかな風を感じる。

　ふと細く開いた瞳に映るのは、
　風に乗り真っ白なカーテンが楽しげに踊るさま。

　あゝ　心地良い───嗚呼。

　届かないのに　つづる

　届かないのに　おくる

　届かないのに　かける

　届かないのに　のばす

　届かないのに　つむぐ


　いつか届くのかな　どこに届くのかな

　わからないけれど　わたしはおくり続ける

　届かないのに　続けていく───

　きらりと輝いたその瞳に惹きつけられた

　近くて遠い憧れの人が見つめるその先に
　
　その空のように美しい瞳が煌めく“なにか”があるのだろう


　私も見たい　あなたの瞳に映る“なにか”を───