金木犀

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7/11/2023, 12:34:00 PM

1件のLINE

 朝起きると、一件のLINEが来ていた。

「さようなら」

 親友のさよちゃんから、一言だけのメッセージ。

 上の方にスクロールすると、いつもの普通の会話が履歴に残っているのに、

 一番下のさようならという文章は、地味に違和感を感じた。

「どうしたの?なにかあった?」

 可愛いスタンプと一緒に聞いてみたが、返事がない。

 どうしたんだろう。


 
 本日のニュースです。

 ○○県○○市の、田中小夜ちゃん16歳が、学校の屋上から身を投げ、死亡しました。

 学校側は、いじめなどは無かったと明言し__

7/10/2023, 11:37:03 AM

目が覚めると

 目が覚めると、いつもわくわくする。

 今日は何があるかな。

 今日は何が起きるかな。

 楽しいことがいっぱいだ。


 目が覚めると、いつも絶望する。

 今日はどんな嫌なことがあるだろう。

 今日はどんな不幸が待っているだろう。

 いつも朝、目覚めないことを祈る。


 目覚めると、朝だった。

 朝は全生物に、平等にやってくる。

 その朝が、希望に満ち溢れていようが、絶望に苛まれていようが。

 ……ね。

7/9/2023, 10:19:42 PM

私の当たり前

 私は毎日自炊している。

 朝も、昼も、夜も。

 時々忙しくて冷凍食品を使うことがあるが、

 それは夜遅くまで残業して、帰ったのが20時になってしまった、みたいなときだけだ。

 私の母は、料理をしなかった。

 毎日冷凍食品や、カップラーメンなどで済ましていた。

 私はいつかできる子供に、絶対にこんなものを食べさせないと決めた。

 いつかできる子供には、手作りの料理ですくすく育ってほしい。

 そのためには今から練習しておかないと。

7/8/2023, 11:56:10 AM

街の明かり

 夜の街を歩くと、ネオンライトや車のヘッドライトが、私の眼球を突き刺す。

 眩しくて目を細めている私を気にせず、すれ違い、歩いていく人たち。

 あの人たちは眩しくないのだろうか。

 この人工的な、目に悪い光が。

 私は、最近田舎から引っ越してきたばかりで、都会に来たのは初めてだ。

 田舎の夜は街灯しか明かりがなかった。

 少し暗いと思ってはいたが、ここは明るすぎる。

 私もしばらくすれば、この人工的な光に慣れてしまうのだろうか。

 道行く人々は、自分のことに夢中になっている。

 道が眩しかろうが、暗かろうが、どうでもいいみたいだ。

 私は道が眩しいと歩けない。

 自分のことに集中出来ない。

 やっぱり苦手だ。

 いや、嫌いだ。

 この人工的な光も、

 弱い私も。