金木犀

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9/18/2023, 12:10:39 PM

夜景

「綺麗だね。」

「うん。きれい。」

「……。」

「……あのさ___」

「ねえ。」

「……なに?」

「私達、いつまでこんな綺麗な夜景見ていられるかな。」

「……わかんない。」

「来年はさ、私の分も一杯こんな綺麗な夜景見てよね。」

「私の分も、じゃなくて、いっしょに、でしょ?」

「……そうだね。」

 車椅子に乗っているあなたは、寂しそうにそう呟く。

 バカな私だって、ちゃんとわかってる。


 あなたに来年が来ないことくらい。

8/3/2023, 11:20:26 AM

目が覚めるまでに

 ねえ。

 私さ、昼寝したいんだよね。

 買い出し行ってくれない?

 え?嫌?いいじゃん。前は私が行ったじゃん。

 ……うん。よろ〜

 私の目が覚めるまでに買ってきてね。

 いや〜、起きたときに誰もいなかったら寂しいでしょ?

 うん。そういうことで。


 あの日、君が目覚めることは無かった。

 でも、俺は待ち続ける。

 起きたときに寂しくならないように。

 君の目が覚めるまで__

7/14/2023, 12:21:22 PM

手を取り合って

 手を取り合い、見つめ合う二人。

 そんなロマンチックなドラマを横目に、晩御飯を食べていた。

 あの二人はこれからどうなるんだろう。

 結婚?子供?

 嗚呼。

 こんなんだから僕は結婚出来ないんだ。

 後先を考えすぎて、逆に何もできない。

 それで成功したこともあったが、何か足りない。

 僕に足りないものとは何だろう。

 情熱?愛情?


 それとも感情?

7/13/2023, 11:58:40 AM

優越感、劣等感

 優越感は下を見て得られるもの。

 劣等感は上を見て得られるもの。

 下には下が、上には上がいる。

 じゃあ、多分私は中間だな。

 普通の親から、普通に生まれ、普通に生きてきた。

 これほど平均的な人間は居ないだろう。

 無個性な自分は、

 普通にに生きて、普通に働いて、普通に死ぬんだ。

 でも__

 一番嫌なのは、中途半端かも知れない。

 普通過ぎて目立たない。

 自分に、誇れる“何か”があればよかった。

7/12/2023, 12:42:22 PM

これまでずっと

 これまでずっと、耐えてきた。

 これまでずっと、我慢してきた。

 もう諦めてもいいはずだ。

 生きることに。

 ぬるい風が、下から舞い上がってくる。

 僕は、学校の屋上に居た。

 地面を見下ろす。

 下は、めまいがしそうなほど高く、歪んでいた。

 一歩踏み出せば死ぬ。

 そうだ。

 こんなに死を近くに感じたのは、初めてかもしれない。

 そうか。

 死ぬことに勇気なんて必要ない。

 死ぬこと自体が、勇気のない行動だから__

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