お誕生日おめでとう、と言われて
うん、としか返事しなかった
産んでくれてありがとう、とは言えなかった
母親が難病を患って30年
介護という親子関係に
私はくたびれている
一番もどかしい思いをしているのは母親なのに
私は不機嫌な日々
元気だった頃は、
私の誕生日には赤飯を炊いてくれたり
ケーキやお御馳走を用意してくれていた
今はもう、全てがままならない
そんな母親がくれた、誕生日おめでとう
母親がいてくれたから、
私は今生きています
例え幸せでなくても
病気一つありません
母親がいてくれて、私がいる
いつか私も母親になれたら、
子供の誕生日だけは大切に覚えていたい
荷物まで持ってくれて
私の肩が濡れないように
傘をさしてくれて
そして、
危なくないように車道を歩いてくれる貴方
でも、
私はそんな可愛らしい女じゃないのよね
貴方がいない時は、
米30キロを2袋持って駐車場の端まで歩くし
土砂降りの中走ってアイス欲しさにコンビニに行く
貴方の優しさに甘えたくて
か弱いふりをしているだけ
傘に隠れて抱き寄せてくれる悪戯な笑顔に
あぁ私、女なんだなぁと満たされている
あの落下していく、なんとも言えない気持ちよさは
今でも覚えている
小学4年生の時、
高さ5メートル程の遊具から落ちた
あの浮遊感
風圧の重み
あぁ空を飛んでいるんだな
という錯覚が起きた
それからの地面に叩き落される、
いきなりの衝撃波
おかげで、唇の下を
8針縫った
まわりの大人達の慌てようで
冷静を保つ私は
いっさい泣かなかったが
血は溢れるように流れ落ちていた
ちなみに、その遊具は姉も落ちていた
私も落ちて、使用禁止になった
今は取り壊されて、
可愛い遊具が置いてある
この怪我で得た空中をまさしく落下していく快感は
その時以来体験したことがない
まず真っ先に来る明日は、ため息しかない
1週間後も、ため息
1ヶ月後は、諦めている
1年後は、ため息と諦めで開き直っている
その繰り返しの未来がある
何故、分かるか
その繰り返しを過ごして
10年以上経っているからだ
未来は変われるが、
大前提は自分がその場から動ける
勇気と度胸があるかが必要だ
私にはない
しがらみから自ら離れていく強さがない
しがらみが私を必要としているから、
私の意思は責任感に潰される
今より、いい状況だったな
姉は生きていたし
母親はまだ健康だった
今はというと、
給料が上がったとしても
ストレス倍増して
他人も自分にも
無関心になった