『1つだけ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
よくある定番の質問で、
「もしも、無人島へ行くとして、持って行けるものを1つ選ぶなら何が良いですか?」
というのがある。
ここで重要なのは、その無人島には、本当に自分1人だけなのか?他に誰かが存在するのか?である。
映画やドラマで「無人島もの」はいろいろあるが、誰か他の人が多勢いるパターンがたくさんある。
それは、どれも面白いストーリーになるのだけれど、他に誰かがいる時点でもう、無人島とは言えないと思うから、それは無し、本当に本当の1人暮しを想定して、
さて、1つ選ぶなら何だろう?
私なら、あんがい聖書かも知れないと思っている。私はクリスチャンではないし、ブッタが好きなのだが、聖書は単純に読み物として面白いと思うし、厚みがあるし、想像力を刺激してくれるからだ。いろいろな読み方が出来るから飽きないだろう。
まあ、良く切れるナイフというのも便利そうだし、ライターが1個あればそれも捨て難いのだが。…
自然の豊かな島であれば、何とかサバイバル出来そうな自信はあるのだが。
あの、持ち物を何も捨てない みうらじゅんだったら何を選ぶだろうかと一瞬考えたが、すぐに分かった。
たぶん、ラブドールだろう。いつも隣にはべらせている、等身大の、若い女性の人形だ。
それは20万円くらいする(今はもっと高いかも?)ソフトビニール製の人形で、人形だもの、と言うより、もう、ほぼ人間だものと評して良い代物らしい。
これがあれば(いや、居ればか?)もう、無人島も寂しくない。
いや、冗談でなく。トム・ハンクス主演の映画『キャスト・アゥエイ』は、主人公が、飛行機事故により、たった1人で無人島生活を送る設定だが、
ここで主人公は、何とかサバイバルに成功するけれども、どうにもならないのが人恋しさなのだ。
寂しさのあまり、バレーボールに血で顔を描いて、名前を付けて話しをして、必死に紛らわそうとするのである。
だから、ラブドールはぜんぜん有りの選択肢である。
聖書と、ナイフと、ラブドール……
うーん、
ラブドールだよな、やっぱし。
一つだけの輝く星。遠くに在りし夢の跡。
深く胸に刻み込む、希望の煌めき。
一つだけだけど、輝きは満ち溢れている。
#12
「1つだけ」と聞くと、教科書に載っていた「一輪の花」
を思い出す。初めて読む、戦時中を舞台にした話。今では、「1個ちょうだい」なんて簡単に言えるけれど、時代によってはその1個でさえ贅沢だったりするということを学んだ。みんなあの話は印象的だったのか、一時期はおにぎりを「おじぎり」とみんなで呼んでいた。『一つだけちょうだい。おじぎり、一つだけちょうだい。』話にでてきた女の子の言葉は何故かいつまでも覚えている。
(テーマ:1つだけ/コンルリ)
1つだけ
生まれてきて良かったと
思える日は 何日あるだろうか
今でさえ
涙が止まらず 心の弱さと
戦っている
誰もが持つストレスに
強い人も沢山いるのに
どうして自分は
こんなにも弱いのか
叶うなら
1つだけ 願いたい
しなやかな心を
作るだけの強さを 持ちたい
この広い世界において、単体での強さに比肩するもののない生物が、竜である。
人が容易に立ち入れぬ深い樹海を抜け、今まで誰も橋をかけることの出来ていない深く長い断崖の向こう、世の誰もが霊峰と呼ぶひときわ高い山のどこかに、竜とそのつがいの集落があると言われている。
(眉唾ものだ、と思っている者もいるが、三つのキャラバンと四人の優秀な護衛を失い、自らも片足を失いながらも孵る前の竜の卵をその集落から盗み出した富豪がおり、持ち帰って三日の後、竜の怒りによって富豪の住む街は半壊の憂き目に遭ったという歴史からその集落の存在を信ずる者は多いという)
その、存在が御伽噺のような竜の集落の中、小さな小屋の中で、人に化けた一匹の竜と、ひとりの人の子が向かい合っていた。
柔らかな午後の陽射しが簡素なつくりの窓から差し込み、香草茶の湯気を照らしている。優しい、けれど独特の香りを立ち上らせるそれを一口飲んで、竜は少しだけ目を細めた。
「……苦い。時間を間違えた」
無理に飲むなと言う竜の言葉を聞いているのかいないのか、人の子が香草茶を飲む。表情を変えぬその様子を見て、竜はゆるやかに口を開く。
「…で、だ。竜種がどうしてこんな集落を、という話だが。端的に言えば竜種以外のつがいのためだ。我々は肉体も精神も強靭だ。一匹で永きを生きる為に“そうできている”と言う方が正しいだろう。だが、竜種以外の生き物はそうではない。つがいとだけ過ごす永きに耐えうる精神がない」
エルフなぞの長命の種は別だろうが、と竜が続ける。人の子が、その碧眼を瞬かせた。
「気が触れたり、石のように眠るつがいに悩む竜たちに、ある時、人の世の観察が趣味であった竜が提案したそうだ。『竜種以外のつがいを持つもので集落を作ればいい』と」
「…それは、すんなりいった?」
「どの程度をそう言うのかは知らんが。まぁ、家を建てる以外は案外すんなり行ったのではないか?」
言いながら、竜は外を見る。人の子もつられて外に視線を向けた。陽の光の中、きゃあきゃあと嬌声を上げながら、小さな竜と二つ足で駆ける獣の子がじゃれあっている。その向こうでは、人に化けた竜の娘と人の娘が香りの強い花を麻布の上に広げて干している。野良仕事を終えた獣人は木陰に座って駆け回る我が子を眺めていた。
──窓の外には、日常生活が広がっている。何者かがそれを脅かす可能性など誰も考えてない、穏やかな光景だ。
「…そう。きっと、そうなんだろうね」
人の子が、香草茶の入ったカップをそっと机に置く。
「竜は、何でも持ってるね」
今日の天気が晴れであることを告げるのと同じ響きで、人の子が言う。
窓の外を見ていた竜は、人の子を見た後、香草茶を飲み干してからカップを机に置いた。
「何でもは持っていない。我々には、生まれてから永らくの間、与えられぬものがひとつだけある。お前たち、か弱き短命のものはほとんどが母の手を離れられぬうちに与えられるのに、だ」
「…そんなものが、あるの?」
「ある」
人の子の碧眼、感情の見えない目が真っ直ぐに竜を見ていた。竜は、氷のような薄い青でそれを受け止める。口の端に、僅かに笑みを張り付けて。
「名前だ」
「名前?」
そんなものが?と人の子が首を傾げる。同じく名のないお前にはわからないだろうが、と竜の笑みが深くなる。
「名前とは命の輪郭だ。形のない魂に与えられる形、世界に存在を縫いとめる為の楔、そして、命をわかつたったひとりと己を繋ぎ止める鎖。名によって魂や命を縛られる、などというのはよくある話だろう?」
言われて、人の子は己の居た場所を思い出す。そういった例もあったな、と。
「竜種もまた、名を奪われれば魂を縛られる。…この辺りは神の敷いた法なのだろう。名がある以上、逃れられぬ定めだ。よって竜は、竜との間に生まれた我が子に名付けを行わない。故に名前がない」
「不便だね」
「人であればそうだろうな。おまえたちは弱い。形なき魂は歪みやすく傷つきやすい。竜であればこそ取れる暴挙だろうよ」
──何でも持っているはずの竜にも、与えられないものがある。持たざるものがある。
力なく、捨て駒として生き、命だけを本能が繋ぐ無味乾燥の生。力を持ち、誰にも縛られず、世界を悠々と生きる竜とはあまりにも違ういきものである己との意外な共通点を見つけて、人の子は胸の奥の疼きに気付く。けれどそれをどう呼称するかも知らないまま、人の子は再び香草茶に手を伸ばして飲む。
名のない者たちの、午後の一幕である。
【ひとつだけ】 名前のないものたち
…どうぞ
いえいえ どうぞ、召し上がって
あら じゃ、半分こにしましょ
そうね うふふ…
遠慮のかたまりは美味しいわね
…ほんとね
#1つだけ
1つだけ未来をあげよう。この広い世界1度だけ必ず会えるという未来を。だから大丈夫、行ってくる。
1つだけ
願うのならば、1つだけ。
どうかあなたの旅路が、良いものでありますように。
【1つだけ】
「無人島に1つだけ持っていくなら?」
「そー」
定番のやつ。俺は正直、この手のやつは面倒なんだが、こいつに訊かれたら仕方なく答えるしかない。
「ナイフとか、火つけられるのとか定番じゃね?」
「面白くないー」
棒状のお菓子を咥えてふくれっ面になるこいつ。俺に面白味を求めるな。
「オリジナリティが欲しいわけ俺は」
「んなら、お前はどうなんだよ」
こいつの手元から、同じお菓子を無断で奪う。あー、とか聞こえたけど気にしない。
「俺ねえ…」
考え出す。学校のとはいえ、俺の机に座るの止めろ、と言おうとしたら、
「んじゃお前で」
「…はあ?」
「お前いたら楽しそーじゃね?」
「俺は物じゃねーよ。後机に座るな」
わりーわりーって、軽く謝るけど机から退かない。また、お菓子を口に運ぶ。ボリボリ。
(確かに)
「まあ、二人なら楽しいかもな」
「でしょ!」
笑顔に絆されて、そんなのも悪くないかも知れない。
どんなものであれ大切なものに感謝を、その意思1つだけで私は立ち上がることも立ち向かうこともできる。私に光をありがとう、これからもよろしく。
僕の命はもうおしまいだ。
けれど実は1つだけ、助かる方法があるんだ。
……どうして笑うんだ、こっちはこんなに真剣なのに。
さあ、ダーリン。僕にキスをして。
僕の命を助けておくれ。
“1つだけ”
#2『1つだけ』
無人島に1つだけ持って行くなら何にする?
もし1つだけを一生食べるなら何がいい?
欲しいもの1つだけ選んで。
好きなもの1つだけ教えて。
そうやって話のネタとして聞いてくれたことにも
私は真剣に考えてしまい、なかなか答えが出せない。
私は面倒くさいやつなのだ。
でも、相手にはそう思われたくないし
いつまでも待たせてしまう訳にはいかない。
だから私はいつも思い浮かんだことを適当に話す。
1つだけ私の性格を言うなら、
私は嘘つきだ。
1つだけ。数字に変換するのめんどかったぞ。一つだけでいいよね。どうでもいいけど。
最近やる気が出ないな。まぁ最近というかずっとだけど。やっぱり立ち退きの一件が進まないと心穏やかに日々を過ごすことができない。
さっさと話を進めて欲しいのに一向に連絡がこない。二月の始めに交渉を始めたのにもう四月だぞ。なんで二ヶ月もかかんだよ。
文字通り話にならないわ。怒りと不安だけがつのる毎日だ。こっちはさっさと終わらせて引っ越したいのに。
ここまでふざけた対応をされるとこっちも裁判ありありで交渉する覚悟でいたほうがよさそうだ。あー、めんどくさ。
your my sunshine my only sunshine
一つだけ忘れることができるならあなたのいない世界を選ぶ
1つだけの石
今日も石は1人で山を登ってます。
山を登っている最中キジが[何してるの]と不思議そうに言いました。
石は[山を登っているの]と答えました、
キジは意味がわからなそうに[なんで山なんか登るの?]と聞きました。
石は[山を登って一番高いとこから水に流されるのが僕たち石の楽しみなのさ]と得意げに言いました。
キジは[変わった楽しみだね、じゃまたね]と言い走って林の中に消えていきました。
1つだけ夢が叶うとしたら、君は何がしたい?
ある掲示板で、僕はそれを見つけた。無我夢中でキーボードを叩く、
僕は、、、お父さんに会いたい、
僕が6歳の時に亡くなった、お父さんに、
正直、あまり父のことは覚えていないけれど、
僕の頭を撫でてくれた手だけは今でもしっかり覚えている。
海で溺れた子を助けて、死んでしまった父に一つ言いたい。
どうしてお父さんは僕たちのために、生きてくれなかったのですか?子供を助けるというのは素晴らしいと思うけど、僕と母のことはどう考えているのですか?僕たちを残して、死なないでよ
書ききってスッキリした僕は、別に、それを掲示板にアップすることなく、パソコンを閉じた
「1つだけ」
私は、1つだけ願い事が叶うなら、これしかない。
20歳若返りたい。何故なら今の彼氏は19歳の差なんで
まじで若返りたい。見た目が30前半に見られてる。
肌は、赤ちゃん並だし、行動が今の子たちに合わせることは
得意。機械は得意、スマホ設定も、流行り物大好き、
なんか若い子たちより。前にUSJでハーマイオニーのコスプレ
して、ハリー・ポッターエリアで遊んでます。
学生に見られた。スッピンで(眉かいて、口紅して)行くからね。
マジ、若返りたい。
あの人から、あの人がいるあの場所から逃げさせて
声が出なくなって、あの人が視界に入るだけで身体が強ばって
無理してあの人が楽しそうに言う誰かの悪口に一緒に笑って…
もう、限界なんです
仲のいい貴方に、あの子に
「お前がいなくなったらどうするの」と言われたって
転職を経験してまたあの場所へと帰ってきた上司に
「次がここよりマシとは限らないぞ」って言われたって
もう、嫌なんだよ
わたしが、こわれそうなんだよ
あの人の帰りが遅い。繁忙期というやつだ。今の仕事は天職だと何度か口にしていた。やりたいことをやれているなら何も言うことはないが、それにしたって既に夜が深い。夕食は冷蔵庫に用意がある。風呂もすぐ沸かせる。この場に欠けているのはあと一つ。いつ帰るのか、何時になるか連絡くらい寄越せと今日一番の気持ちを込めてメッセージを送信。
(題:1つだけ)