『1つだけ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
1つだけ
1つだけ願いを叶えてもらえるなら魔法使いになりたい。
君は馬鹿らしいと笑うだろうか
魔法が使えたらどんなにいいだろう
ほうきに乗って空も飛べるし、散らかっている部屋だって呪文ひとつで元通り。
時を戻すことだって出来るし、行きたい所へだってすぐに行ける。
そんな世界に私は憧れている。
1度でもいいから魔法を使ってみたい
チンカラホイ!ってね!
1つだけで良かったのに。
そんな我儘さえ許されない。
何もかもを失った私を嘲笑うように時間は進む。
結局何もできないまま、私の時間は減っていく。
どうして私はこんな目に遭わなければいけないのか。
どうしてこんなに涙を流さなくてはいけないのか。
考えたって答えは出ない。
それなのに…縋って、もがいて…偽る余裕もない。
もう、何も残ってない。
こどもの頃、
お菓子売り場で
「ひとつだけ」って言葉を
何度も聞かされた。
大人になった今、
その言葉の意味を知った。
ひとつだけと願えば、ふたつ目が欲しくなるのが
人間の性というもの。
人間はひとつだけでは満足出来ないのかもしれない。
俗に言う“最後のお願い”と言ったところか。
1つだけ
最悪なこと。わたしは何を一番悪いと考えるか?お金を使い過ぎて後悔した時?食べ過ぎ、飲み過ぎで身体を壊した時?思いどおりの1日を過ごせず後悔した時?眠れずにいる時?仕事がうまくいかない時?友達に嫌われた時?彼女に嫌われた時?勉強がうまくいかない時?病気がなかなか治らない時?時間に遅れた時?事故を起した時? いろいろと考える。しかし後悔、先に立たず。覆水、盆にかえらず。悩みは今日1日で十分。自分の運の悪さにため息をする。「若者たち」という歌がある。なのに、なぜ、歯をくいしばり、君はいくのか、あてもないのに。明日はいいことがある。最悪はやはり死ぬこと。生きていればいいこともある。
「一本の薔薇を捧げよう」
そう言って綺麗な薔薇を差し出す貴方は私の嫌いな人。
いつもロマンチストで楽観的な彼は私と全く気が合わない。
私は現実主義でネガティブで一人、だけど彼はいろいろな人から愛されてた。
別に私に何か面白いことがあるわけでもないのに突如として彼が現れて、ずっと絡んできてた。
でも悪くはなかった。
最初は怪しく感じたけど話して行ったらすごく楽しくて、人といる幸せを久々に感じたの。
それに彼が私に何かをプレゼントしようとしたことは何回もあった。
ある時は映画のチケット、ある時はぬいぐるみ、そしてある時はケーキといろいろなものをもらった。
映画はすごく面白かったしぬいぐるみだって今もベッドで一緒に寝るぐらいには気に入ってる。ケーキを二人で食べたあの時間は言葉に表せないくらい最高だった。
だけどある時一緒に花畑に行った時、貴方は私に
「本当に君は最高な友達」
と言ったね。
すごく嬉しくて、悲しかった
私といる時間が楽しいって思われてるのはすごく嬉しかったけど、貴方の一言で私の初恋は呆気なく散っていたことに気がついた。
それからは貴方のプレゼントは貰わなくなっていった
思い出や貴方からの言葉が増えるたび、彼が”好き”と言う気持ちと”恋は叶わない”という現実が大きくなる。
だから嫌いなんだ
私の気持ちも構わずまたプレゼントしにくる貴方が
私の初恋を奪ったくせして責任取らない貴方が
期待させるだけさせて気持ちには応えない貴方が
すごく好きですごくきらい
こんなの八つ当たりなのはわかるけど、でもこう考えなかったら私もどうかしてしまいそうで。
綺麗な薔薇一本を見つめて応える
「薔薇なんていらないよ、特に貴方からなんて」
その返答を聞いた貴方はいつも笑ってる彼とは思えない悲しそうで寂しそうな表情をしてた。
「そうか、すまない
僕の勘違いだったみたい」
彼の悲しそうな表情に耐えかねて私は足早にその場を去った。
しかしなんで私に薔薇一本をあげようとしたのか、
考えても想像がつかなかった。
翌日いつもの場所に行っても彼は私にプレゼントを持ってこなかった。
君が幸せなら私も幸せ。……でも何でだろう、自分の中では幸せだと思っているはずなのにやっぱり心の何処かで悲しい気持ちが残ってる
「お姉ちゃん!そのお菓子、1つだけちょーだい!!」
小学校1年年くらいの時の妹はすんごく可愛かった。ちょっと舌っ足らずな言葉で、両手を前に出して欲しいアピールして。中々あげないと、うるうるした瞳で見上げてきて。そんな姿に愛おしさを感じて、自分が一番大好きなお菓子だったけど、あげていた。まぁ、私の方がお姉さんだったしね。
でも。
「お姉ちゃん、お姉ちゃんが持っているものぜーんぶちょうだい?」
私の好きなバッグ、友達、恋人……その他諸々。
高校に入ってから、可愛いなんてちっとも思わなくなった。私の大切なものを奪い取るように持っていく。なかなか手に入らない時は、ワントーン高い声を出す。そして甘えるように私に言い寄っては、直接ターゲットに這い寄る。……なんでこんなやつの姉なんだろう。
〜1つだけ〜
1つだけお願い
あなたに抱きしめて欲しい
骨が折れるくらい強く 強く
あなたにはもう会うことはないだろうけど
叶うことはないだろうけど
思うだけそして忘れて消えるだけ それだけの事だ
子どものころは
きちんと選ばないといけなかった。
大人になってからは
選ばなくても手に入れられるようになった。
でもどうしてだか
1つだけ選んでいたあの頃のほうが
世界が鮮やかだった気がする。
<お題:1つだけ>
【1つだけ】
真面目だとしても勉強が出来るわけじゃない。好きな子もいなければ、あいつらだってそうだ。話を聞いても惚れた腫れたの話も全くない、気がする。そんな日々が桜色に近づいたからかもしれない。
「一つだけ、お願い聞いて欲しいの。」
そこからさらに付け足して
「今は一つだけ。」
こんな、二人きりの場所に呼び出されてこんなことを言われるのもこの世に生を受けて17年。一度だってなかった。こういうとき、なんて言えばいいんだっけ。
「えっと、とりあえず聞くだけ聞く。」
これで、正解なんだろうか。分からないけれど。今はこれが正解な気がする。
「私とデートに行って欲しい。そこで、告白したいの。」
デートって付き合ってる男女がするものだと思ってた。だから、驚いただけ。特段嫌いでもなければどちらかといえば話しやすいし面白いからいっか、そう思っただけ。
「わかった、日時は?」
「今週でもいいなら今週の土曜日。午前十時に、場所は連絡するから。」
携帯を取り出して予定を確認する。ちょうど何も無い日だし天気予報は晴れだった。
「分かった、楽しみにしてる。」
これで、合ってるんだろうか。告白したことはあった、一度だけ。中学の頃、これも話しやすくて優しかった子。まぁ、振られてあいつらに笑われたけど。笑われるくらいがちょうどよかった。彼氏いたらしいし。幸い、その後も話せたのが救いかもしれない。でも、告白されたのは初めてだ。なんか、顔赤かったな。なんて、今になって少しだけ小っ恥ずかしくなる。あいつらにはまだ言わないでおこう。付き合えるかも分かんないんだし。
「お前、告白されたんだってな。」
さっき、そう思ってジュース買って帰ったらこれだ。
「俺が見てたの。たまたまトイレの帰りにさ。」
まぁ、人も通る場所だったしありえない話じゃない。そう思うとよくあそこであれ言ったな。感心してしまう。
「告白されたってか、お願いされた。」
自分でもよく分からないけど多分これで合ってる。告白する予定があるって言われただけだし何も、俺に対してなんて一言も言ってなかった。だから、違うと思う。でも、少しだけあの子の顔を思い出して期待してしまう。
「お前、ふざける時はふざけるのに真面目だからな。」
「勉強は出来ないけどな!」
ふざけんなよ、と笑いながら少しだけ小突くと俺も勉強出来ねぇからと笑い返してくれた。
「まぁでも、楽しんでこいよ。」
この反応はされると思ってなかった。でも、それだけ仲良くしてくれてる証なのかもしれない。
「ん、楽しむわ。」
本心。きっと今週は上の空で授業受けるからまた点数落ちて怒られるかもな、なんて。笑えない。あの子、頭良かったっけ。告白されるとは限らないのにもう今から頭があの子のことでいっぱいになってきた。
「今日、小テスト午後あったっけ。」
ふと思い出して呟いてみる。どうやら、当たりだったらしい。
「マジじゃん、笑えねぇわ。勉強とかしたくないけど。」
そんなこんなで、小テストやら授業やらが過ぎてすぐに週末なんて来てしまった。気合いの入ってるような、だけど結構前に話した時好きって言ってた格好。
「可愛いね、格好。前、言ってたやつだ。」
少しだけ照れたように前髪をかき分ける仕草に目を惹かれた。こんな顔は見たこと無かった。待ち合わせの時間より二人とも少しだけ早く着いてしまって。お互いを見て微笑む。なんか、幸せ。勘違いしちゃいけないことは覚えてる。
「そっちも前言ってたみたいな格好だ。でも、アクセサリーのことなんて言ってなかったのに。今日、映画付き合わせる形でごめんね?」
映画ってのは後から連絡を貰った。たまたま気になってたやつだったから二つ返事で承諾した。
「かっこつけ。昔、おじさんが親父の弟が女の子にはかっこつけた方がかっこいいだろって言っててさ。なんか、クサい台詞だなとは思うけどちょっと好きなんだよね。じゃ、行こっか。」
手を引くわけでもなく二人で目的地に歩き出す。映画は思ってたのとは違ったけどいい感じにまとまっててお昼は二人で映画の感想を言い合って白熱した。解釈を言い合って少し声が大きくなりすぎたかな、なんて二人で恥ずかしくなって。そこからはショッピングをして俺もあの子も可愛い物が好きだったから雑貨屋で意気投合してた。あっという間に帰りの時間なんてきちゃって。夜ご飯を食べて少しだけ公園行って久しぶりにブランコ乗ろうよとかはしゃいで。子どもに戻ったみたいだった。
「私と付き合ってください。」
「これさ、受け取って欲しい。」
ほぼ、同時だった。お互いの顔が見れないままどんな顔かなんて想像出来てしまう。
「俺からも一つだけお願い。この返事OKってことでこれと一緒に受け取って欲しい。」
渡したかったものは雑貨屋で見た時にお互いがこれ可愛いって意気投合した物だった。お揃いなんてこの歳になってとか思うけどそれ以上になにか今日を形に残したかったんだと思う。お互いに顔を見合わせて笑う。
「一つだけお願い聞いて欲しい。」
「何、泣いてんの。」
返事はきっとこれで合ってる。なんか、理由とかはなくてただ、そんな気がするから。
「明日、学校で挨拶するから返して欲しい。」
そこからさらに付け足して
「今は一つだけ。」
「今は一つだけのお揃い。可愛いもん好きなんだよね。」
知ってるって笑われた。それくらいがちょうどよかった。
1つだけ
1つだけ何がほしいですかと聞かれたら、、
どこでもドア。
ドラえもんの道具だ。
これ一つあれば、海外にもすぐに行けて、
日本もこれでまわれる凄いな笑
時間短縮できるし、計画もたてられる。
無人島に一つだけ持って行けるなら、何を持っていく?
ありきたりで、何度も擦られた質問。つまらないものなはずなのに、目の前の君があまりにも興味津々にこちらを覗き込んで聞いてくるから、適当な回答は免れない。
「んー、迷うな……君だったら何持ってくの?」
「毛布!」
「いや、もっと実用的な何かがあるだろ」
「だって寒いの無理なんだもん」
君は口を尖らせそう言って、窓の奥に広がる銀世界を見てうんざりしていた。
「大体な、温もりが必要なら俺でいいじゃん。俺を連れて行けばいいよ」
「うわぁ。クサいなあ……いいよいいよ、遠慮しとく。
あー、でも、私1人の島より、君がいてくれた方が楽しそうかも」
大きな瞳がぱちりと瞑られる。
君の眩しい笑みを直に食らった俺は暫く動けないでいた。
掃除も粗方終了し、彼女と別れて1人残された教室。
自分の席から窓の外を眺めていると、校門に彼女を見つけた。
先ほどから落ち着きのない様子で下駄箱と校門を行ったり来たりしていて、挙動不審になっていて面白い。そして腕をかかえて縮こまっている。積雪量の多いこの田舎町でも、今日は決して寒くないと言えないほどの気温だ。このままそこにいたら凍死待った無しだろ。
雪がどんどん激しく降ってきて、彼女の姿すら見えなくなった頃。
俺は彼女の机を漁って、ラブレターを引っ張り出した。しわひとつない封筒から便箋を取り出して内容を読む。
『伝えたいことがあります。 放課後、校門前で待ってます』
これは俺が彼女に宛てて書いたものだ。
しかし、贈り名は俺ではなく、彼女の好きな人の名前を書いた。偽装したのだ。
これなら彼女を放課後留めておくことができるし、寒い中放置することで体も動きにくくなるだろう。
……なんでこんなことをするかって、それは彼女のことが大好きだからだ。
中学の時、いじめを受けていた俺を守ってくれたのが彼女だった。その背中はさながら女神だと思った。
そこから俺が彼女を好きになるのは一瞬だった。
俺がいじめられていたことは天啓で、全部彼女と引き合わせられるためのものだった!
だから今日、こうして引き合わせられるのも、俺が手繰り寄せた運命なんだ!
にやけが止まらずに勢いだけで階段を降りる。
今頃彼女、どうしてるかな。まだ校門にいるのかな?それとももう帰路についてるのかな?どっちにしろ、体が鈍ってるはずだから君を奪うことなんて容易いんだよ。
校門を突破して一つ目の信号を渡ったところに彼女の姿が見えた。僕は笑みを堪えて、後ろからゆっくり近づいた。
無人島に一つだけ持って行けるなら、何を持っていく……か。
無論、君を連れて行くよ。君と俺以外誰もいない世界で、死ぬまで一緒にいれるんだ。命を捨ててでも君といたいに決まってる。
砂漠にあるオアシス。地獄に垂らされた蜘蛛の糸。俺にとっての君。弱いものは窮地に追い込まれた時の甘い蜜にめっぽう弱い。その窮地が苦しければ苦しいほど、逆転の光は強くさす。
だから僕は、君に執着し続けるんだ。
〈1つだけ〉
「人間の体はおおむね『二つ』で構成されている。
たとえば眉、たとえば目、たとえば耳、たとえば腕、たとえば足、たとえば肺、たとえば腎臓。一つの鼻に空いてる穴は二つだし、唇だって上唇と下唇の二つで成っている。脳だって右脳と左脳の二つだ。すべてが二つで構成されているわけではないけど、まあ人間というのはおおむね『二つ』から成っている。
では『人間』という動物の話をしよう。
人間とは、社会的動物である――という話は聞いたことがあるかな? 勉強家の君のことだ、きっとどこそこのいけすかない学者が道端でべらべらとそんな話を口軽くしているのを耳にしたことがあるだろう。
そう、人間というのは社会的動物である、とされている。簡単に言えば、社会を構築し、その中で生きていく生き物だということだね。群れが必要だということだ。
たとえば君、君が一人で孤独に生きているとしよう。あの大きな屋敷の一室に引きこもり、誰とも関わらない日々を送り、静かに命を消費しているとしよう。ではその場合、君は群れの一員ではなく、個人として独立していることになるか? 答えは否だ。君が一人、孤独に慣れ親しむ生活を送り、誰の目にも触れずにいたとしても、それが絶えず他者の手によって成り立っているものであることには変わりない。よって君は未だ群れの一員だ。
人間というのは、他者と在ることにより己と人の境界線を知る。境界線を知ることで『個』と『他』を認識する。他者ありきの存在だ、『一』ではなく『二』でなくてはならない。『二』から始まるんだよ、人間としての『君』は」
「つまり、どういうことですか」
滔々と流れる言葉の合間に少年が問いを差し込めば、魔女は一つ瞬き、ゆっくりと美しい笑みを浮かべた。木漏れ日にきらめく金の双眸には、いついかなるときも変わらない、慈しむ色が湛えられている。
ふふ、と吐息のような笑い声。
白い指先が簡素なガーデンテーブルの上に置かれた小さな焼き菓子をつまんだ。
「つまりね。一つだけ、なんていじらしいことを言わず、二つでも三つでも好きにお食べなさい、ということだよ」
たったそれだけの話なのであった。
(お題:一つだけ)
1つだけ願いが叶うなら
時間を巻き戻して
後悔している選択を直したい
選んだ道で後悔しているけど
選ばなかった道ではどうなっていたのか
知りたいから
#1つだけ
私が書くことに
いつもはーとしてくれる人
ありがとう
毎晩のルーティーンになってるけど
読んでくれてるって分かるから
結構嬉しい
心優しいあったかい人に溢れてるね
このアプリしてる人の共通点って
文章書くのが好き っていう1つは
絶対言い切れるなって思う
だからこそ共感出来たり
なんか続けちゃうんだなって毎回感じる
今日のテーマは なんとなく
めちゃ暗い文章になったから没にした
それでこれを書いてる
思いつかなくて 笑
私は普段の一人称が うち だから
うち って出てきた時は 大体本性出てる
まだ17の未熟な人間だけど
これからも読んでくれると喜ぶ
あとはうちみたいな
性格ひねくれてる人居ないかなって探してる
なんか 日記みたいになってしまったな
これからも、楽しく続けさせてもらいます
ほんとにありがとう。
_ ₁₅
1つだけ
僕の生きる世界には
たぶん,ひとつだけで溢れている。
きっとここには
描ききれないくらい
ひとつだけが溢れている。
でも,たくさんのものを大切にするのは
僕には__。
1つだけ
お願いがあるんだ
︎︎“明日”を止めてくれ
ある少年は言った
出口のない迷宮を彷徨うより
終点のある線路を歩きたい
“明日”がなければそれも可能になる
僕は“明日”が怖いんだ
それなのに僕は
夢を見ようとするたび
“明日”を失う恐怖に魘される
人生とは後悔であると思っていた
だが、“明日”という存在の連続が人生であるとも思った
後悔=人生=“明日”
という方程式は成り立つのだろうか
成り立つのだとしたら
後悔=“明日”
が成り立つということである
後悔と“明日”は=で繋がるのか
答えは1つだけではないようだ。
一つの願い
神様は言いました。
「何でも一つだけ願いを叶えよう」と。
あなたは何を願いますか?
『お金がほしい』
『彼氏がほしい』
『歌が上手くなりたい』
人それぞれ。
私は、自分がどうあがいてもできないことを願います。
だって、頑張ったら出来ちゃうようなことだったらわざわざ神様に頼らなくてもいいから。
相手は神様だ。
どんな無茶な願いでも聞いてくれるはず。
だから、願います。
『過去の自分に、今の毎日はとても幸せなものだと伝えてほしい』と。
<1つだけ>
「Registerのお兄さん」
「はい?」
「生徒1人を失うのって、こんなに寂しいんですね」
日本が人口の減少により、衰退の一途を辿る今、「Register」と呼ばれる日本国保存機関がUNESCOより発足し、派遣された社員たちが日本を訪れ、残り少ない日本人との会話、記憶、情景までをも保存していた。そして、Register社員である僕は今回、ある図書館を訪れていた。
宵ノ図書館。夜、宵の時間にだけ開館する、天井がガラス張りになった図書館である。そこにいた日本人はたったの2人。館長と、若い女の子。その若い女の子は、今回Registerの社員として採用されることが決まっていた。
図書館に到着すると、館長が中を案内してくれると言うので、僕は録音と録画を開始した。館長がゆっくりと歩き出す。天井がガラス張りなので、ふと上を見上げると、満天の星空が広がっていた。館内に照明はなく、月の光だけを灯とするそのテイストに、僕はこっそり日本人の儚さを感じていた。
「本、読み切れないほどたくさんあるんですね」
「ええ。だからきっと、あの子が居なくなっても、暇を感じることはないんじゃないかな。…あの、あの子は、Registerで上手くやっていけそうですか?」
「はい、大丈夫だと思いますよ。笑顔が多いし明るいし、きっと皆に愛されると思いますよ」
「それは良かった」
「…寂しくは、ないんですか?あの子は、今となってはたった一人の心を許せる人でしょう?」
「そうですね。…でも、生徒の卒業ほど、嬉しいことはありませんから」
そう言って笑った館長さんは、どこか無理をしている気がした。1人になったら、こっそり泣いてしまいそうな、そんな気がした。
「Registerのお兄さん」
「はい?」
「生徒1人を失うのって、こんなに寂しいんですね。…やっぱり、寂しい。星はこんなに輝いているのに、本は読み切れないほどたくさんあると言うのに。生徒をたった一人失うだけで、こんなにも心に穴が空いてしまう」
「…」
「でも、良いんです。寂しい分だけ、あの子を思い出せるから」
どこか遠くを見つめる館長さんの目には、きっとあの子の背中が映っているのだろう。
「そうですね。きっと、寂しさと寄り添うことも出来ると、僕は思いますから」
「…はい」
次に笑った館長さんの瞳には、涙が溜まっていたけれど、きっそれは悲しい色をした涙じゃなくて、生徒の門出を祝う、桜色の涙だったのだろう。
♯1つだけ