『高く高く』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
高く高く。もっと高く。追いつかれないように、追いつくように。この高い山を登るんだ。後から大変になることはもう、知っている。頂上に着いた時に後悔なく飛び立てるように。この山に下り道なんてない。ただ、休憩所はある。沢山のことを達成して、高く高く登った山の頂上からの景色を見たい。
朝起きたら庭に大きな大きな木が育っていた。
雲の上まで高く高く伸びているその木はまだ育っているようで軋む音と共に樹皮が上へと上がっていく。
周りの土の栄養と、水分が心配だ。
近所の人も何事かと集まりだしている。
訳を話し近所中の除草剤を掻き集めてもらった。
協力して撒き終えると徐々に成長が止まっていき、急激に茶色く枯れだした。
支えが効かなくなったのかその木はゆっくりと傾き出している。倒れたら甚大な被害が出るだろう。
除草剤の代金も、被害への損害賠償も考えるだけでも高く高く想像できない額だろう。
(高く高く)
ジャックと豆の木のオマージュ、登らなかった場合
貴女の魂は、どこまでも、高く高く昇ってゆきます。
今世の命を生きている間も、その身体が朽ちた後も、その魂は美しく輝き、人を魅了するでしょう。
だからどうか、その魂を不安の殻に閉じ込めないでください。
貴女は、どこまでも行ける。どこへでも行けるのです。
高く高く
秋の空
ピーヒョロローピーヒョロロー
遥か彼方から声だけが落ちて来る
高く高く
どの場所から高く
どの場所から低く
基準になるのは足場かな
この高さが値段だと困るけど
買えないものは買わない
勝てないものは勝てないが
戦う場所を同じにしないでいいし
何処まで行こうとも場所は異なってる
色々な物を同じ様にしても
仕方がないと思う
同じだとしてもほんの一部だけ
同じにするから
違いを気にするんだと考えたり
そのままを受け取れなくても
そのままでいいんだよ
そこにあるんだからいいんじゃない
高く見えるのなら割と近いのかもしれない
子供の頃
霧雨が気持ちいい季節に峡谷に行ったことがある
たまたま持っていたシャボン玉を飛ばしたら
舞うように高く高く飛んでいった
霧雨の峡谷
空に渡るシャボン玉
優しい風
子供ながらに美しい光景を見たと感動した
高く高く上っていく煙は空に溶けて
風になってみんなの周りにいるよね。
寂しくないよね!
【高く高く】
高く高く飛びたいもんだ。
空飛ぶ箒に乗りたいし、魔法の絨毯にも乗りたい。
メリー・ポピンズみたいに傘で空を飛べたら楽しいだろうな。
大天使みたいな大きな羽を生やすのもいいな。
ハウルみたいに空を散歩するのもいい。
ま、高所恐怖症だから多分叶わないけどね。
へへっ。
僕は高いところが好きだ
山頂や地上から何百メートルの高さの建物の頂上に立って、周りの風景を見ると世界が大きく見える
そばで見ると大きな建物でも、高いところから見るととてもちっぽけなものに見える
自分の悩みも大きなものに見えたけど本当はちっぽけなもので、ただ大きな悩みと思ってるだけなのかなという考えが浮かんでくる
もっと高く…高くへ行きたい
本当に自分が思ってるよりも世界は大きくて自分の悩みなんてちっぽけなものなんだという確信が欲しい
死に関わるような悩みから夜ご飯についてなど…悩みは大小様々ある。何であれ人はずっと悩むもの
僕はずっと大きな悩みを持ち続けている
世界はこんなに広いんだから悩んでても仕方がないよと思うしかこの先生きていける自信が無い
「高く高く」
何もない所で躓く。
人によって高さは
違うだろう。
私にとってそこは
高い場所だったのか。
解せぬ。
「高く高く」
翼がある人なんてひと握り
みんな必死で飛んでんだ
助走をつけて思いっきり
飛べ。高く高く...
人がどんだけ飛んだかなんか
そんなの全く関係ない
自分史上最高の高みを目指すんだ!!
第十七作「高く高く」
高く昂く描いた夢は今もなお夢のまま。
今もまだ夢への道程の途中。
進行を阻む障害は現在地点の道標。
高き夢が実現する日は来るのであろうか。
食料やガソリン
何もかも高く
税金も高く
家計に響き
理想のために高い壁を作れば
登れなかった時に納得しちまうもんな
ただ昨日を真似るだけの生活も
ふとした瞬間に忙しく感じたりして
無性にやめたくなる
そういう場面はいくつも用意されてて
それでも続けたいらしいから
今日だって必死に抗ってる
今日も月がきれいですね。
もうすぐ満月になる小さな欠けは、輪郭を滲ませ、のんびりとそよいでいる。
もう行くね、と跳ねた向こうに、金の波が広がる。
また会おうね、と手を伸ばす。
【高く高く】
【地の果て】
何でも高ければ良い。
そう思っていたし、そう教えられてきた。
テストの点数が高ければ褒めてもらえるし、
身長が高ければモテる。
志を高く持つことは大事だと言うし、
スペックが高ければ期待も高まる。
何でも高ければ良い。
そう思っていた。
「……」
あるアパートの1室で、俺は寝転がっていた。
大量のゴミ袋は異臭を放ち始め、そこら中に散らかった缶ビールが邪魔くさい。
ハイスペックボーイ(仮)だった俺がなぜこうなってしまったか。
俺は元からハイスペックボーイでは無かったからだ。
周りを見れば、俺より顔が良い奴、俺より成績優秀な奴、俺より要領が良くて上司に気に入ってもらえる奴、俺よりできる奴なんて山ほど居た。
俺は決して、ハイスペックではなかったのだ。
いや、或いは自分の能力が劣ってしまったからかもしれない。
どちらにしろ、他人と比べ始めたのが悪かった。
自分のことが見えてくると、やがて自らに絶望するようになった。
些細なミスが積み重なって、
些細な事で喧嘩して疎遠になって、
些細なすれ違いで嫌われて。
そんな事の繰り返しで自分は堕ちてしまった。
「……」
俺は無気力な手を振り絞ってYoutubeを開き、好きなアーティストの曲を再生した。
部屋中に歌が響き渡る。
結局、高ければ良いもんじゃなかった。
どんなに地の果てだろうが、俺は人間でいることができるのだから。
この人は、そんな歌を歌っている。
〈高く高く〉
産婦人科からの帰り道、小さな駄菓子屋に寄った。
駄菓子が特別好きではないが、気晴らしにひとつやふたつ、懐かしい菓子でも買おうと寄った。
店内はこじんまりしていて、店主と見られる60代後半の男性もぺこりと頭を下げるだけだった。私以外の客は、小学校低学年くらいの男の子3人だけで、大人の客は私以外誰もいなかった。
どの駄菓子も見覚えあるもので、よく食べていたものまであった。
久しぶりに心躍る感覚に驚きつつも、冷静に商品を見ていく。
「ねぇねぇ、シャボン玉飛ばそーぜ!」
店内にいた一人の男の子が急に言いだした。
一瞬、私に向かって言ってるのかと思ったが、隣にいた2人の男の子に対して言っていたようだ。
2人も「いいね」「俺、赤のやつにする」とわいわい騒ぎ始め、各々シャボン玉キットや駄菓子を手に取り会計をしていた。
彼らがいなくなった店内は、同じ店とは思えないほど静かになった。
「何かあったのですか?」
いきなり店主が、声をかけてきた。
私は驚きつつも「少し、身内の不幸で」と簡潔に答えた。店主は顔を変えず、シャボン玉キットを渡した。
私はその意味をすぐに理解した。
お代を払おうとしたら気持ちだけでいいと断れ、体に気をつけてとにっこり微笑む店主がいた。
家に着き、ベランダに向かう。
さっき買ったシャボン玉キットを開け、シャボン玉を飛ばす。
液の香りがつんと鼻を刺激する。
ぽろぽろ涙が溢れ出てくるが、それでもシャボン玉を飛ばし続けた。
シャボン玉は高く、高く飛んで行く。
「高く高く」
僕は鳥になりたかった。
高く高く空を飛ぶ鳥に。
人生がどん底に落ちたあの日。
僕は鳥になりたいと願った。
鳥なら何も考えずに空を飛んでるだけ。
そう思ったから。
でも、君に出会って僕は変わった。
ちゃんと生きようって、幸せになりたいって。
だから、僕は君と高く高く綺麗な空を見ていたい。
鳥にはなれないけど君がいれば大丈夫。
「高く高く」
高く高く。
シャボン玉よ。
飛んでいけ。
『高く高く』
たまには、散歩でもしてみる?
美大の卒業制作を描く合間で、彼女に誘われた。
季節は初夏。
といっても、真夏かと思うぐらい暑くて、空気はじめじめしている。
2人で他愛ない会話をしながら、しばらく歩いた。
日差しが容赦なく肌を焼いて、ぐっしょりと汗で濡れたTシャツが背中に張り付く。
疲れたねー、と彼女が言った。私もそれに疲れたね、と返した。
道端の自販機で、炭酸を買った。
透明な清涼飲料水の中で泳ぐ泡が、きらりと光る。
あー、なんか。
青春だなあ。
ふと、そう思った。
卒業制作で毎日忙しいし、これと言って楽しいこともないけれど。
こういうどうでもいい時間が、青春なのかな。
私は炭酸水の蓋を回す。
プシュッと音をたてて、蓋が外れた。
半分ほど飲み干してから、
真っ青な空に、高く高くそれをかかげた。