『香水』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
―香水―
香水は自分の為だけにつける
残り香なんて虚しいじゃん
お題「香水」
そばにいて気づいた優しい匂い。
柑橘ではない、かと言って甘ったるいしつこい匂いでもない。
ただ優しく、甘いのだ。なんとも言えない匂い。
「何か香水つけてる?」と聞いたけれど、何もつけていないという。
「じゃあシャンプーかなぁ」という所作からも、ふわっと優しく風に乗ってきた。
香水ではないなら探しても無意味だろうと思いつつ、その日以来、私は香水コーナーを通るたび、
あの人に似た香りを探している。
妙に安心する、あの香りを。
たかがバイトにSHIROの香水。
好きな人がいるなら、どこだって自分史上最高に。
香水の甘い香りにふっと包まれる。
部屋の片付けをしていたら引き出しの奥底に、何故か隠されるように仕舞われていた箱に興味が湧いて開いてみればそれは香水だった。ほとんど使われていないようにも思えるが一応開封済みらしく、首を傾げながらも手に取った。こんなもの買ったっけ?正直記憶に無い。好奇心から手首に一度吹きかけた。
その途端胸いっぱいに広がる甘い香り。前触れもなく涙がぼろぼろと零れては頬を伝って落ちていく。これは確かに君の、君が着けていた香り。その香りが好きだと、お揃いになりたいと言ったら誕生日にくれたもの。初めてこれをつけてデートに向かったらいつまで経っても君は来なくて、諦めて帰ったら君が事故に遭った、と。二度と会えない君のことを何故忘れていたのか。
いや、違う。思い出したら遣る瀬無くて辛くて愛おしくて泣いてしまうから記憶の奥底に封じ込めたのだ。手放すことが出来ない君の香りと共に。
香水は、香りは記憶と結ばれているから、と。
[香水]
この匂いを嗅ぐとあなたのことを思い出す。
あなたとの大切な思い出が詰まった思い出の香り。
久し振りに会った彼からは、すっきりとした鈴蘭のような香りがした。
どうやら仕事先で貰った香水を付けてみたらしい。
無意識に薄い反応を返していたのだろうか、
「香水は苦手でしたか?」と心配されてしまった。
鈴蘭の香りは好きだ。
その甘ったるさのない香りは彼にも合っている。
ただ、少し寂しかったのだ。
いつも彼からする古い紙と珈琲と煙草が混ざったほろ苦い匂いが、どこか落ち着くあの香りが消えてしまったのが、少し。
【香水】
お題「香水」
昔通っていたピアノ教室の先生。教室に入ると、ふわりと花のにおいがする。
もう昔のとこでうろ覚えだが、とても心地良い香りだったのを覚えている。先生によく似合う香水だった。
もうすこし大人になれば、私に似合う合う香水に出会える日がくるのかな?
失恋したらその髪を頂戴よ、突き返された愛情とおんなじくらいの
君の眦に泣き跡が染みていたのが憎らしくて、苦しくって痛くて
君の内蔵やら身体やら空っぽになったあとに呼んだくせに、卑怯なくせに、怯んでるの
君に刻み込まれた人、傷を残した人、ひとりひとり呪ってやりたいくらいなの
忘れてしまえよ、今宵くらいは哀れな罰を
嫌になったらその切れ味のいい鋏でばっさり断ってしまえばいいんだ
『香水』
金木犀の香水。
ラベンダーの香水。
鈴蘭の香水。
桜の香水。
わたしはお花の香水が好き。
気分に合わせて香水を選ぶ。
あなたがわたしを抱きしめる。
あなたが言う。
「〇〇はいつも優しい
お花の香りがするね。
香水を付けていても
付けていなくても大好きだよ」
そして、
優しくて明るい笑顔を
向けてくれる。
その笑顔が、
あなたの笑顔が。
一番大好き。
026【香水】2022.08.30
さようなら、あなた。もう二度と、会うことはありませんね。だから、あなたからもらったこの香水も、捨ててしまいます。
私は、香りをつけるのはあまり好きではなかった。ただ、あなたがリクエストするからまとっていただけ。あなたとの縁が切れるいま、私は無香無臭の私にもどります。
香水は瓶の半分より下に減っています。それほど長かったえにしでした。だけど残りのそれもティッシュにぜんぶ染み込ませて、燃えるゴミの日に。サンキャッチャーのようにきらきらしたこの瓶も……お気に入りだったけど、燃えないゴミの日に。
香りの微粒子すら、一切残さずに。さようなら。
君に意識して欲しくて
いい香りのする香水を買おうとしたけど
なんだか躊躇ってしまって
たった一歩、今日も踏み出せない
香水をつけたことがない。
そんな勇気がなかったのです。
「香水」
鼻がむず痒くなる人口的な香りで
あなた本来の香りを誤魔化さないで
あなたの香りが追えなくなるから
香水は嫌いなの
急に香水をつけはじめたのは
いったい誰のせいなのかしら
やめて 香水をつけないで
あの子好みの香水をつける
あなたは嫌い
あなたが見知らぬ人になる
私が好きだった
あなた本来の香りが薄らいでいく
「香水」
その香水いい匂いだね あなたに似合ってるよ 私もその香水使おうかな? 私が付けてあなたといたら 私達カップルみたいだね 素敵だね なんちゃって
君の香りがする香水。
初めて買ってみたんだよ。
わたしにはちょっと大人っぽすぎかな。
でも、君の香りに包まれたかったの。
君はわたしの世界にはいない人だから。
だから君がこの世界に来てくれますようにって、願掛けの気持ちも込めて買ってみたんだ。
ラストノートは君の肌の温もりをイメージしているんだって。
毎日わたしを抱きしめてね。
お題:香水
その人の香り
あなたの香り
私の香り
私はあなた自身の香りがすき
大好きなの。
あの日につけていた香水。
私はあれから付けられていません。
そこに貴方が居る気がして。今も手を広げて待っている気がして。
その代わりに私は新しい香水を付けるようになりました。
前に進むために。
今では新しい人を見つけてやっと心を取り戻した気がしています。
片想いだけれど私なりに頑張っています。
貴方は随分幼稚な人だった。自分に自信がなくてすぐ拗ねる。
その身体には似合わない程の子供心を抱えていたね。
結局はそれが原因で別れてしまったのだけどきっとそれも可愛く思っていた私がいたのかな。
私は随分大人になってしまいました。表向きだけは。
貴方のように自分の感情を素直に表すことが段々苦手と感じるようになりました。それが今は悲しくも嬉しくもあり、淋しいです。
この際だから言いますが、貴方はそのままでは誰の事もしあわせに出来ません。だからといって貴方の全てが悪い訳ではありません。貴方の良い所は沢山知っているつもりです。なんたって出会って3日で好きになった人だから。だけど貴方はもう少し自分に自信を持っていいと思います。そうでないと他の人なんて愛せる訳が無いです。
大丈夫。貴方は素敵だよ。
貴方の7番目の元恋人より。
香水。
あんまり馴染みはない。
ちょっと憧れて、手を伸ばしたこともあったけど。
使い方もわからずに、机の上に置いたまま。
なんだか自分に合わない気がして。
時々取り出して。
甘い香りに癒やされる。
香りはとってもすきなんだ。
かわいいガラス瓶に。
大人っぽいグラデーション。
ずっしり豪華な大きなものから。
シンプルにスッキリしたもの。
カラフルに形を型どったものまで。
売り場に並ぶ、沢山の香水は。
やっぱり憧れて、いつかって思うけど。
きっと机の上に並ぶだけ。
【香水】
昔は香水を つけていた
今は香水を 着ている
香水ってすごいんだよ
あの人が 私の匂いを
覚えている
フェラガモは
私の香り
香水____
匂いを嗅ぐと記憶が蘇るとはよく言います。
確かにそうだと思う。
金木犀の香り。
この匂いが近づくと思い出す。
君の笑顔、君の泣き顔、君の怒り顔、君の幸せそうな顔。
そう、
思い出してしまう。