『飛べない翼』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
中学のころ、美術の授業で月を描いた。
私はもともと絵が好きで、
正直周りと比べて出来は良かったと思う。
ある子が、その絵をほしいと言ってくれた。
赤い空に白い月がぽっかりと浮かぶキャンバス。
誰かに絵をプレゼントしたのは、それが最初で最後だ。
数年ののち、彼女が藝大にすすんだと聞いた。
同窓会でちらっと見た彼女は
昔と違い短い髪とラフな服装が印象的だった。
あの日、絵がほしいと言われて、
本当に本当に嬉しかった。
私は何者でもないけど
白い月だけは彼女の翼にのって
遠い空を一緒に渡っていたらいいなと思う。
飛べない翼
いいえ、私は違う
飛べるのに飛ばないだけ
でも、貴方は
飛びたいのに飛べない
どうしてかしら
死にたい私が今日も生きて
生きたい貴方は明日が分からない
世界は残酷ね
『飛べない翼』
硬く重い鉛のように
ボクを囚えて離さない
自由も愛も明日もキミも
何処にも行けない
何処にも行かない
099【飛べない翼】2022.11.11
飛べない翼って、そりゃあ、風切羽を切られた翼だろ?
たしか「シートン動物記」で、つかまえた野生のガンの風切羽を切って、飛べないようにして飼育した話があったはずだ。結局、羽根の生えかわりにあわせて新しい風切が生えてきて、それを失念していた主人公が、うっかり大空に羽ばたかせてしまった、というストーリーだった。ただただ、野生すげー、人間がいくら小賢しく羽根を切っても、飛ぶ力は再生するんだ、と感動したのを覚えている。
「大造じいさんとガン」を読んだのは、「シートン動物記」よりも後だった。野生の再生力を甘くみていた「シートン動物記」の主人公とちがい、果てしない知恵比べの末に捕獲したガンの残雪を野に返す決断を、みずから下した大造じいさんの姿に、この物語、シートンに勝ったな、とおもった。おもったどころか、ほくそ笑んでたな。あらためて国語の教科書で再会したとき、そりゃ、載るだろう、だって魂の高貴さが違うからね、大造じいさんはガンが人間より下位の生物だなんてあなどったことは、一回もないもんね、と私が内心でこっそり自慢してたっけ。
ということで、私の対自然の倫理観の基盤のかなりの部分は、いまだに大造じいさんの高貴な魂がになってる。絶対に、教科書から消さないでくれ、とこの場をかりて訴える。
――自分もそっちに行きたい。
――何故みんな簡単に飛んで行くの?
諦めてからどれくらい経ったのだろうか。
追い越される事にも慣れてきた。
嬉しそうで誇らしげな笑顔。
自分だけが取り残されている。
ふと横を見る。
――ああ、あの子もダメだったんだ。
――仲間だね。
声をかけようと側へ行く。
その子は強い眼差しで歩き始めた。
「待って君、どこへ行くの?」
「あっち側へ行くに決まっているじゃないですか。」
「やめておきな、僕はもう何度も挑戦しているけど無理だったんだ。」
「何度も?」
「そう。みんなと同じようにやっているのに僕はできなかったんだ。だから君も無駄足になるからやめておきな。だって君も僕と同じで――」
「違います。僕にこれは向いていない。だから別の方法で行きます。僕にあるのはこれだけではありませんから。あなたもそうでしょう?」
その子はそう言って進んで行く。
――そうか、これでなくても良かったのか。
浮かび上がる笑顔、軽くなった身体で走り出す。
『飛べない翼』
飛べない翼。
飛べなくったって。
きっとそれはきれいで。
1枚の羽だけでも。
きれいに揃った羽先も。
色だって様々で。
もしかしたら。
いつか飛べるかもしれなくて。
その時は、もっと輝いて見えるんだろう。
見る角度を変えてみれば。
違う世界が見えるもの。
うーむ…悩んでいる。
塩コショウか、甘酢ダレか。
メインディッシュか、酒のアテか。
唐揚げか、串焼きか。
え?何の話かって?
飛べない翼、手羽先のことですが何か?
飛べない鳥、と自称できるようなおこがましさに月をかざす。深い夜に、溶けていく。
「翼なら持っていたんだ、ずっと昔から」
枯れかけた翼を触る、手は美しく細い。
「空も飛べたんだ、きっと昔なら」
弾んた声は小鳥のように高い。
「飛んだことは無かったけど、
そんな気がする」
言い訳を重ねる様に声は声は落ちる。
「けれど、もう遅い気がする」
翼を撫でる手が震える、
傷のない、柔らかな手が。
「羽も枯れて落ちたんだ、どこに行けると?」
重力に負けたその身では、
余りにも空は遠すぎる。
「それに飛ぶにはもう重すぎるから」
重いのは体か、それとも心か。
「飛べたんだよ、きっと昔なら」
言うその言葉だけが軽かった。
#飛べない翼
"飛べない翼"の天使を見たと
彼女が泣いていた。
それは人間に恋をしてしまった
天使なんだって。
#飛べない翼
待ち合わせはいつもの場所。
彼女の家の近くまで迎えに行き、帰りも同じ場所で別れる。
デートコースはその時の気分。
海を見に行ったり、山道を走らせたり。
変わらないのは運転席の僕と助手席の君。
そして、2人の関係も変わらない。
デートは仕事が終わってからだから、いつも夜。
そう言えば、君と会う日はいつも星がキレイだ。
4月生まれの君の首元にはいつもダイヤのネックレス。
わかってる。あいつにもらったネックレスだよね。
僕の車のキーには歳下のあの子から貰ったキーホルダー。
お互いにパートナーからもらったものを身につけて、過ちが起きないようにお互いを戒める。
あの頃と違って、今の僕にはこの車がある。
これさえあれば、君を連れてどこまででも行ける。
あいつの監視からも連れ出せるだろう。
でもそんな勇気がなかった。
どこまでも飛べる翼を持っていても、飛ぶ勇気がなければ意味がない。
いつまで僕は飛べない翼をたたんだまま、うずくまっているのだろうか。
〜飛べない翼〜
飛べない翼
もし、背中に飛べない翼がついていたら、
どう使おうか考えてみる。
はじめに浮かんだのは洗濯物を干す。
飛べないとしても動かせたとしたら風をおこして乾きが良くなるかもしれない。
ただ、長時間洗濯物を背中に下げるのはカッコ悪い。
次に、ちょっと座りたい時に翼をお尻の下に敷くというのはどうだろう。羽根がクッションになるし、服も汚れない。
ただ、翼が長めじゃないといけない。あと翼が黒なら汚れも目立たないが、もし白かったら服の汚れ以上に気になる。
自転車でスーパーに買い物に行った時、うっかり前カゴに乗り切らないくらい買いこんでしまった上に、トイレットペーパーまで買ってしまった時、翼に買い物袋をぶら下げるというのはなかなかいい。ハンドルを握って両手が塞がっていても翼に荷物を下げていれば安全だ。
ただ、荷物を引っ掛けるためのS字フックか何かを翼につけておかなければならない。ちょっとダサい。
ここまで考えたけど、なんだかどれもイマイチだ。
実は本当に使いたいことがひとつある。
この翼で君を抱きしめてみたい。
面と向かって抱きしめる勇気がないボクは、背中を向いたままで君を抱きしめることができる。
飛べないけど動かせて、君を包めるくらい長い翼。
色はできれば白がいい。なければ黒でもいい。
君を抱きしめた時、カランとS字フックが落ちる音がしても、ボクは背中を向けているので君の表情は見えない。
そんな飛べない翼なら、ぼくは今すぐにでも欲しい。
飛べない翼。
大空に羽ばたけ。
あの日の笑顔のように。
信じる。
信じてみせる。
飛べなくても大丈夫。
絶対できるよ。
飛べない翼
肩こりが酷い夫が、実家からマッサージ器具を借りてきた。肩に乗せてスイッチを入れると指くらいの突起がウィンウィン動くやつ。
夫はそれを肩甲骨あたりから肩にかけて機械の位置を変えながらグリグリとマッサージ。
特に肩甲骨の辺りが凝っているらしく、そんなに強く当てていて大丈夫なのかというくらいグリグリ当てていた。
翌日、夫の白Tの背中に何やら黄色いシミができている。なしたのこれ?と指摘するとなんかヒリヒリするという。そっとめくってみると…なんと背骨に近い肩甲骨周りの2ヶ所の皮がむけていたのだ!
コナンに登場してもらうまでもなく理由はわかった。犯人はマッサージ器!(をグリグリ当てていた夫)
皮むけてるわーと伝えると、え?どんな感じ?写真撮って、と言うのでスマホでパシャリ。
それを見た夫の一言「羽がもがれた!」
オイ。君はいつ堕天したんだい。それとも私は鳥人間と連れ添ったのか?
そんな沈黙の私をよそに、羽が無くなった、地上に降りたという話をする夫の背中を消毒し、ガーゼを当てるのでした。
ちなみに全治1週間。今もうっすら跡が残ってます。
ご利用は計画的に、というか正しく使用して!
かなで
飛べない翼ぁ?
ハハ ァ ... なんか俺の事みたい。
飛べちゃ困んだよ コマンダヨ コマンド ... 始まっちゃうでしょ ... 突きつけられちゃうでしょ
あ〜、めんどくさ。
わざわざ、敢えて、飛べない翼を持つ悲しげな鳥に選んで生まれて来たんだよ同情してもらって餌食わしてもらいながらラクして生涯を全うしようと思ってぇ〜たら人間のエサにされちまったよバイナラ。
温かくて優しいから、飛べることを知りたくないの。
飛べない翼
私には翼がない。
飛べる翼も、
飛べない翼もない。
でも私には足がある。
前に歩ける足がある。
後ろに下がったり、
動けなくなったりする時もある。
でも私は地面の上にいる。
−飛べない翼−
飛べない翼は飛べない。当たり前
みんなそう思ってると思う。そうだから。
でも飛べない翼って言うのは、人間でいうと
障害者って事だとおもう。飛べない翼は放って置かれるけど障害者は大事に扱われる。生き物でも分類するって、人間まだまだだな。
「飛べない翼なんて意味がない」
誰かが言った
でもあなただけは
そんな私でさえ
「美しい」
って言ってくれたの
本当には飛べなくても
わたしたちは想像力という
心の翼を持っている。