『雪を待つ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
〚雪を待つ〛
寒い冬の季節、電車に雪だるまが乗り込んできた
ところどころ溶けていて、かなり疲れているようだった
だが、雪だるまに席を譲る者は誰もいなかった
皆、席が濡れるのを恐れているのだろう
私は周りからの痛い視線を受けながらも勇気を振り絞り、雪だるまに席を譲った
雪だるまは「ありがとう」と私にお礼を言い、ドスンと席に座った
電車から降りる際も同じようにお礼を言われ、私は濡れた席を拭きながら「いいことしたな」と思った
そんな出来事があってから約1年が経つ
今年も雪が降ってきた
またあの雪だるまに会えるといいな
「雪降らないかな…」
君と雪を待っていた遠い昔の記憶
今はもういなけれどきっとどこかで待っている
だから今日も雪を待つ
十二月某日。
空にはどんよりと雲が広がっている。
『寒い……』
白い息を吐きながら、歩いていく。
近くの電光掲示板を見ると、氷点下に近い気温となっていた。そりゃあ寒いわけだ。
頭も寒さでだんだんぼんやりしてきているが、目的地にもまだ着きそうにない。
このままでは凍えてしまうので、温かい飲み物でも買おうかと自販機に立ち寄った。
小銭入れを取り出し、投入口にお金を入れた時にふと記憶が呼び起こされる。
『そういえば、アイツともこうやって飲み物買ってたな。』
お金を入れながら、彼女の太陽のような笑顔、そして優しい声が頭をよぎる。
「キョウくん。」
彼女に名前を呼んで貰うのが、好きだった。
体が弱くて、会うといつも体調を崩していた。
少し散歩するか、家で会うことしか出来なかったけど、それでも彼女と過ごす時間は、かけがえのないものだった。
彼女と話したこと、散歩した場所が頭の中を巡っていく。
幼い頃から顔馴染みではあったものの、きちんと話したのは付き合っていた二年と少しだけ。
顔しか知らないのに付き合ったのは、彼女から告白されたからだ。
全く知らないのに付き合うのはどうかとも思ったが、知っていくうちの好きになることもあるかもしれないと、引き受けた。
多分本当の理由は、告白を断るのが怖かったんだと思う。
でも彼女と付き合った時間はとても幸せだった。
死別してから数年たった今でも、思い出すくらいには。
ガコンッ
無意識にボタンを押した飲み物が落ちてくる音で、我にかえった。
またか……、と思いながら買った飲み物を拾う。
こうして寒い日は、いつも彼女を思い出しているような気がする。
それほど自分にとって、彼女は偉大な存在だったのだろう。
拾った飲み物を開けて飲もうとする。
視界の端に白いヒラヒラとしたものが見えた。
『雪……』
空を見上げると、雪がふわふわと落ちてきている。
そういえば彼女と雪の降る中散歩したこともあったな、と思い出が沢山頭に浮かんでは消えていく。
寒い時期、そして雪が降ると思い出す彼女との記憶。はたから見たらまるで呪いのようだろうが、彼女に囚われるならば正直本望だ。
ここまで心酔している故、思い出すのかもしれないなと呆れから笑みがこぼれる。
再び空を見上げる。
先程よりも雪が本降りになってきていた。
『……おかえり、ゆき。』
そっと呼んだ彼女の名は、雪の降る空に溶けていくような気がした。
#雪を待つ
雪が降ったら、何をしよう。
幼少の頃は、雪が積もった日はひたすら遊ぶことを考えていた。
雪国の実家に帰った日なんてもう大はしゃぎ。
雪だるまからそり遊び、横穴を掘ればかまくらなんてのもできたほどだ。
そんなはしゃいでいたあの家も、もう空き家となっている。
雪を待ち望んでいたのに、今や思い出ごと、雪に押しつぶされそうになっている。
大学の授業が終わった金曜の昼下がり。
私は「明後日 天気」とスマホに打ち込み、検索をかけていた。自分は根っからのインドア派なので、普段はあまり天気を気にしておらず、イベント前日でもなければ予報を確認するなんてことは滅多にない。
ではなぜこんなレアな行動をしているのかというと、今年の冬は今までと全く違う点があるからだ。
これは気候が変わったとかでもないし、急にデートの予定ができたわけでもない。
私は、今年から大学に通うために新潟に越してきた。
去年のニュースでチラと見ていたが、どうやらその年は相当酷い雪の降りようだったらしい。
スマホに、明後日の大雪警報が届いた。
地元じゃ雪は珍しいとまで行かないが、積もることはほとんどないという感じだった。あたり一面真っ白だなんて経験は、数年前の大雪の時くらいのものだ。ここ新潟とは訳が違いすぎる。しかも私の大学は、新潟県の中でも降雪量が多いとされている地域にある。近くのお店で可愛げのある浅めのブーツを買おうとしたら、スタッフさんがそれだと埋まりますねとやんわり教えてくれた。
明後日から急に雪で埋もれて家から出れなくなるなんてこと、全く経験したことがない。想像がつかない。
でも明日からそれが本当に起きるかもしれない。
自然への畏怖と好奇心が混じった今日の午後。
...明後日友達とイベント行く約束してたのになあ。
単発バイト時給3000円。
1日で30000円可!
あたしは迷わず応募した。
面接に行くと即採用され
契約書にサイン
そのまま説明会がおこなわれる
講堂に案内された。
壇上に長いひげを生やした
優しげなおじいさんが現れ、
話し始める。
えー、本日はクリスマスプレゼント配達員に
ご応募いただき誠にありがとうございます。
えー、さっそくですが
仕事の内容をご説明いたします。
えー、と言っても簡単な仕事で、
12月24日の夜8時から翌25日の朝6時までに
えー、お子様のいる各家庭へ
プレゼントを配達するというものです。
えー、気をつける点としては
配達時にお子さんに見つからないようにする
といったことくらいでございます。
おとなには見つかっていいんだ。
あたしは思った。
えー、ただ、最近はちょっと大変な点が
3点ほどございます。
えー、一つめといたしましては
1人あたりの配達区域が広範になったという点。
配達員1人につき100人のお子様に
プレゼントを渡していただくのですが、
えー、少子化のためお子様のいるご家庭が
減少したためです。
えー、二つめは
世界的なインフレと長引く景気後退によって
予算が不足ぎみという点でございます。
えー、バブル期のような高価なプレゼントは
現在お取り扱いできないため頑張って配達していただいてもお子様があまり喜ばないことがございます。
えー、現在企画部が経理部と交渉中ですが
おそらく予算アップはむずかしいかと。
えー、三つめといたしましては
えー、地球温暖化によって
雪が降らないという点です。
えー、皆さんにはトナカイが引く
ソリに乗って配達していただくことになっておりまして
通例では時間的に余裕があるのですが
ここ数年雪が降らないことが多くなりまして
えー、そうなりますとソリが使用できません。
えー、したがいまして、その場合には
えー、徒歩での配達となります。
会場がざわつく。
100個の荷物を
10時間で
広範囲に
徒歩で。。
一人が手を挙げて
質問をした。
もし時間内に配達できそうにない場合には
どうしたらいいですか。
えー、その場合には早めに
本部にご連絡ください。
ベテラン配達員が即座に
お手伝いに向かいます。
えー、ただ、その場合には
プレゼント1つにつき
500円の減給となりますことを
ご了承ください。
説明会終了後
応募キャンセルしにいった。
キャンセルはできない旨
契約書に書いてあります
と言われた。
優しげな顔をした
クソじじいだった。
配達区域は抽選で決まった。
雪国の人はガッツポーズ
南国の人はガックリとかたを落としていた。
あたしは
北関東の群馬県渋川市。
ビミョーだ。
あとは天の神様に祈るだけだ。
あたしも
神様なのに。
テーマ : 雪を待つ
雪が降っても、そんなに積もらない県民の僕にとっては
雪が降ってる時に
「今年の雪は積もるかなー♪」って
大人になってもワクワクしているわけですが
果たして今、書こうとしてる事が
今回のテーマにふさわしいかわからないけど
ふさわしくなかろうが無理やり押し付けていきたいと思います( •̀ω•́ )
で、今回の結論から書くと価値観の相違なんだよね
同じ価値観の人ならね
その人の考えてる事も理解しやすいから
話も早く進むのに
違う価値観の人だと
何言ってるか理解できないし
まず、理解しようとしたって考え方が180℃違うから
少なからず批判的になってしまう事だってある
ただ、それに関して僕が不思議に思ってるのは
価値観の違う人が
「わかりやすく話すと…」って具体的に話してくれる時があるんだけど
まったく何言ってるかわからないんだよね
まぁ、これに関しては
もう僕が理解しようとするのを辞めるてか
相手が説明下手のどちらかなんだけど
ここまで何言ってるかわからないのは逆に面白いなって
思う時はあるね
だけど、価値観の違う友達だってもちろんいるわけで
愚痴とか聞いてもらいたい時だってあるわけで
僕が愚痴を聞く時は
多少思うところはあろうとも
基本、口出しはせずに共感をメインにしてさ
本人が落ち着くまで待ったり
「どう思う?」って聞かれた時のみ自分の考えを話したりしてるんだけど
僕が愚痴を話す時は
共感おろか口出ししかしないな、こいつって
思う時がよくあった
まず愚痴を話しきれないしね
アドバイスなんか求めないのに
「こうしたら?」「それは勘違いじゃない?」とか
もう聞く気すらないんだろうなみたいなね
まずさ、僕は聞いてほしい時は
「ただ、聞いててほしいんだけどさ」って最初に言う
他人の考えがほしい時は
「ちょっと相談があるんだけど」って最初に言う
まず、それが伝わってないなって感じた
もちろん、価値観は違う
相手の思考回路なんてまったくわかるはずもない
ちゃんと理解してる
期待して信頼してたからこそ諦めも悪かった
でも、まぁ、人の話なんて聞きたくないよね
自分の話、聞いてほしいよね
そんな自分勝手な人の思考回路なんて
僕がわかるはずもないしな
それから、その友達には愚痴を話さなくなったんだけど
とういか、自分の話自体話さなくなったな
相手の話しか聞かなくなった
たまーにね
「RNL、愚痴とか言わなくなったねー」って
言われるんだけど
言わなくなったんじゃないんだ
お前に言ったって仕方ないから話さないんだよ
話したって気分悪くなるから
そう、これがある意味割り切ったってやつだ( ˙▿˙ )
ギブアンドテイクができない関係は続かないからね
友達だってメリットがあるから仲良くするのに
なかったら、むしろデメリットしかなかったら
仲良くする意味なんてないに等しいしな
僕は、損得勘定でしか人と付き合えな人間だからな
そうだなぁ
価値観とは言えど相手の性格も関係してくるから
一概に全部、価値観とは言えないけど
その人に諦めがついちゃえば価値観なんて
関係ない事がわかったよねww
と、まぁ、こんなところで
愚痴を書いて
友達の悪口書いてる僕の方が
よっぽど性格悪いよな
これで、テーマの「雪を待つ」どうやって押し付けようかな
んー…難しいなぁ
よーし!こうしよう!
さて、いろいろ書いたところでね
書きながらも考えたんだけどね
テーマの「雪を待つ」どこに行ってしまったんだろうね
長らく書いてたから雪だったし溶けたんだろうね!
……んねっ!(・∀・)
子供頃雪が降るのを待っていると
サンタの季節だ
あまり降らない雪。
降っても年明けに降る雪
12月中にはめったに降らない
それでも子供頃はずっと待っていた。
雪を待つ
せっかく冬になったのに、雪が降らないのはもったいない…
雪が積もって白銀の世界が広がってしまえばとても綺麗で何も考えなくていいような気分になる
雪を待つ
どうせ寒いなら、雪が降って欲しい。寒いだけだと冬は嫌い。だけど雪が降ると気分が上がるのは本能な気がする。だからこのくらいの時期になると寒いのは耐えられないから、いっそ雪の降る気温まで下がって欲しい。
どうせ結ばれないのなら、会わないでいたい。だけど会うと嬉しい。それは矛盾かもしれない。結ばれることはないのだから悲しいことに変わりはないけど、それでもいいからやっぱり会いたいし、話したい。私の中でこの恋は結ばれることが到達点ではないから。今、幸せならそれでいい。
会いたい人と雪を見る幸せはきっと最高なんだろうな。
私は雪を待つだけじゃなく、その人も待たなくちゃいけないから、その幸せはだいぶ"待ち遠しい“な。
「北東北と北海道はもう降ってて、今20℃超えしてる地域でも、これから降雪の可能性アリな県が一応あるんだっけ?」
南西が夏、中央が多分晩秋か冬、北東が真冬。
どこ基準で「雪を待つ」かで、意味合いが違ってくるんだろうな。某所在住物書きはスマホで調べ物をしながら、ぽつり。
積雪多い雪国は(丁度そこ出身の設定にしているキャラが持ちネタに居るのだが)、毎年毎年の雪片付けで、いっそ目の敵にすらしている方々も居そうだ。
彼らに「雪を待つ」気持ちは有るだろうか。
「……今年は待ってる人も居るんだろうな」
ぽつり。物書きは再度呟く。
なんといっても今年は猛暑で、今月も温暖である。
――――――
とうとう12月も中頃。
ホットココアが……美味しいんだか、暑くてまだアイスでも良いくらいだか、なんなら鍋すらまだ遠いのか、分からない昨今いかがお過ごしでしょうか。
「雪を待つ」がお題とのことで、こんなおはなしをご用意しました。
最近最近の都内某所、某稲荷神社は、不思議な不思議な化け狐の一家が仲良く暮らす、不思議な神社。
引くおみくじは、そこそこよく当たり、買うお守りも少しご利益多めです。
そんな稲荷神社には、善き化け狐、偉大な御狐となるべく絶賛修行中の、末っ子子狐がおりまして、
ぺったんぺったん、週1〜2回、不思議なお餅を作って売って、人間を学んでおったのでした。
そんなコンコン子狐は、ひとりだけですが、人間のお得意様がおりました。
雪国出身、メタい話をすると過去3月3日投稿分でファーストコンタクト、藤森という人間です。
子狐の作る餅は不思議なお餅、心の傷も毒も疲れも、ぺったり絡め取って癒やしてくれるので、
この藤森、コンコン子狐のリピーターなのです。
そのお得意様、藤森が、このたび神社にお参りに来て、こんなことを言いました。
「子狐。おまえ、リンゴは食えるのか」
コンコン子狐、まんまるおめめを輝かせました。
果物です。お供え物です。
狐はああ見えて雑食性でして、お肉の他に、タケノコも果物も大好きなのです。
「リンゴ、りんご!たべる!」
「待て。今じゃない。待て、待……、……ステイ!」
藤森いわく、それは、「雪室リンゴ」、あるいは「雪中リンゴ」なるもののことでした。
「最大産地の青森はじめ、秋田や山形、長野でも、つまり複数の積雪地域で作られているものだ」
尻尾ブンブン、おめめキラキラで突撃してくる子狐を、藤森なんとか押さえながら言いました。
「雪が降って、積もってからの話になるが、その中にリンゴを埋めて冬の終わりに掘り出すと、埋める前とまた違った甘さのリンゴになる。
実家の母が、今年自家製に挑戦するらしくてな。日頃餅で世話になっているから、どうだと思って」
「雪!いつふるの?いつ、つもるの?」
雪も大好きなコンコン子狐。振ってる尻尾が完全に扇風機かハイスピードメトロノームです。
東京から一歩も出たことがない子狐、雪国の雪がいつ降るか、いつ積もるのか、さっぱり分かりません。
でも、雪が降れば、どうやらセッチューリンゴなるものが、どっさり食べられるようです。
「雪自体は、もう降っている。必要量積もるのも、時間の問題だろう」
藤森は言いました。
「雪中リンゴを取り出すのは、まだまだ先の話だ。
……ともかく、食えるんだな。分かった」
スマホをポケットから取り出して、ポンポン何かメモをして、数度頷いてまたポケットにしまって。
「期待はするなよ」
藤森、お賽銭して帰る前に、ぽつり言いました。
「なにせ、今年は暖冬だ」
コンコン子狐、子供なのでダントーを知りません。
でも、ともかく、「雪が降ればセッチューリンゴが食える」と、しっかりガッツリ学習したようです。
「雪、ゆき!」
子狐コンコン、セッチューリンゴを食べたことがありません。東京に雪降らぬ今から既に、楽しみで、楽しみで仕方ないのです。
「雪、まだかなぁ、明日かなぁ!」
尻尾をブンブン振りながら、なんならぴょんぴょん跳ねながら、気持ちがフライング気味な子狐は、雪国の雪を待つのでした。
おしまい、おしまい。
『雪待ち』
吐く息の白 ほっと胸を撫で下ろす ベッドタウンは冬のお洒落を楽しんでいる 私はペットボトルの紅茶を持ってまた歩く こんな日は雪の結晶が見たいなと
吐息の雲を作ってる 家に帰ればあなたがいる
雪といえば
バスが遅れる、電車が遅れる。
早く出なきゃ遅刻、早く出ても遅刻。
滑らないよう、歩みを慎重に。
つまらないことしか思いつかない。
雪の大変さも恐ろしさも知らないが
多分雪の有り難みも分からない。
雪景色を見てるだけなら
いいんだけどね。キレイだね。
(雪を待つ)
空を見上げ、まだ降って来ない雪を待つ。この世界が真っ白にその色を変える姿を夢想しながら全てを覆い隠して欲しいとそう願った。
自分でそれを見てしまう前に。それに気がついてしまう前に。この世界の色が全て白に塗り変われば、直視する前に忘れられる気がしたんだ。
罪も証拠も何もかもから目を逸らし、ただ安寧とした泥の中に沈んでいたい
雪を待つ。大人になってからは雪なんてうっとおしいだけだからふらないほうがいい。
ただ雪がふらないくらいの暖冬だとちょっと寂しいというのがわかった今年。
12月も半ばまで来たけど全然実感がないな。冬が終わりそうなのも今年が終わりそうなのも。
あの凍えるような寒さがないと冬が来た気がしない。冬が来ないと一年が終わる気がしない。
だけどそれでも冬が終わって春が来る。新しく年が始まる。
寒いのは嫌いなのになんだか寂しさを感じるのはなんでだろう。
雪よりも 待つはこちとら 除雪車じゃ
風情バイバイ 雪国育ち
朝。ワクワクとソワソワとドキドキを抱えながらカーテンを開く。
「だめかあ」
いつもの見慣れた街の景色が広がっていた。そんなに簡単に降るもんじゃないって分かってる。大気の温度差とか、雲の都合とか、色々な奇跡が重なって雪は降るんだそうだ。そのミラクルが起きないものかと、最近の私は朝一番に外を見る時思っている。
雪は、好きかと聞かれれば実際はどちらでもないのかもしれない。あたり一面が真っ白く染まった景色は見ていて綺麗だと思うけど、雪が降れば、体感気温は一気に下がるし交通機関は麻痺する。良いことばかりじゃないのはよく知っている。
だけどあの、儚くて弱々しく落ちてくる白いほわほわした塊を見ていると不思議と心が落ち着くのだ。ひと粒だけじゃ一瞬にで溶けてしまうのに、時間をかけて雪たちは積もり積もって白い世界を生み出す。それを見るのはなんだか好きだったりする。
だから明日からもこっそり雪が降らないかな、なんて期待を秘めながら過ごすことにする。まるで空からのサプライズみたいに、朝目が覚めて銀世界が広がっていたらすごくワクワクしそうだな。
雪を待つ
暗くなった窓の外、雨が降っている。
テレビの天気予報、明日の朝は冷え込むらしい。
この雨は明日まで降っているだろうか?
もし降っていたらー雪にならないかな。
曇りガラスを見ながら、そう願う。
「あ〜さっむ……」
朝特有のひんやりとした空気を味わいながら、朝食の支度をする。
秋だろう季節と言うのに、もうすぐ傍まで冬が近付いていると感じる。
「腹減った」
後ろから弟に声をかけられた。前から思っていたが、彼は寒くないのだろうか?いつも半袖半ズボンという格好だ。
小学生ならではなのか、反骨精神から来るものなのか。
……わからないな。
「起きれてえらいじゃん」
軽く頭を撫でる。大人しく受け入れるこの子は可愛い。
言ってなどやらないが。言ったら調子に乗ってまた事ある毎に頭を差し出してくる事になるだろう。
他の事が手につかなくなる。可愛すぎて厄介だ。
「ほら、顔洗ったりしておいで」
「うん」
今日も素直で可愛い。いい子だ。
もうじき冬がやってくる。
クリスマス、というイベントも、待ち受けている。
育てるものとしては特に気を使う。
ああ、なにをお願いするのかな。なにを貰えるのだろうか。
「冬が来たら、何がしたい?」
気紛れに聞いてみる。
「え、うーん……雪遊び?」
なるほど。雪か。
「雪は、いいね」
この子が来た日を思い出す。
私とこの子は血の繋がりは無い。赤の他人だ。
私は真っ白な肌だが彼は黄みが強い。
瞳の色も違うし、親子だとはとても言えない。
だから彼を弟にした。
周りには母親が違うのだと言っている。
この地域は治安が良いわけでは無いから、普通に受け入れられている。
それにこんなこと、この辺じゃそんなに特異でもない。
独り凍えていたあの子を連れ帰ったのは何を思ってそうしたんだろうか。もう忘れた。
今はただ守りたいと、そう思っている。
彼が健やかに育ってくれたら、それでいいと。
「雪、降るかな?」
顔を覗き込んで聞いてくる、可愛い弟。
「ああ、きっとね」
去年はこの子と出会った、雪の降るクリスマス。
今年は彼の悲しくひもじい顔ではなく、それを喜ぶ顔へと変える雪を、どうかください。
「ああでも、暖かい格好しないと風邪ひくからね」
「え〜……うん……」
その時はアウターと、マフラーと、手袋と……。
少し嫌そうな顔をしているけれど、どれか2つは着けてくれないと困るね。
彼が冬を嫌いにならないように、生きることを諦めないでいられるよう……
無事に年が明けますように、なんて願うのは少し気が早いだろうか。
「雪を待つ」2023/12/16
『雪を待つ』
北風小僧が便りを持って
山越え 谷越え やって来た
今年モゴチソウ ジュンビハイイカイ?
あのコの好物 沢山作り
「準備はいいよ。いつでもおいで。」
冬待つ 雪待つ あのコを待つ
春の便りが来るまでは
長い長い冬ごもり
ポカポカお部屋で
ごちそう囲み
どんな話をしようかな?