『閉ざされた日記』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『読みかけの本』
ブックエンドに寄りかかって見る星は サンテグジュペリの苦悩の色だ 斜塔のように積み上げた読みかけの本たちが 新刊の本に嫉妬する 私のちょっとした気まぐれが 本の世界を駄目にする
#103 閉ざされた日記
一生目にしたくない
同じ目標をもって、
同じ方向を向いて、
同じ歩調で歩いて、
私にはもう
情熱がないのだから
《閉ざされた日記》
僕は毎日起こることを1秒足りとも忘れたくなかった
だから日記を書くことにした
毎日ちゃんと書いて、見返す度に記憶が戻ってきていた
ある日突然見返しても記憶が戻らなかった
それを毎日続けるといつしか自分のこともわからなくなってしまった
それからというもの誰もその日記の在処を知らず
閉ざされたのであった
閉ざされた日記
「よいしょっ…と。おばあちゃん、だいぶ片付いてきたね」
部屋の棚に最後の1つの物を入れて、祖母に話しかけた。
「そうだね。来てくれたおかげで早く掃除が終わったね。ありがとう」
嬉しそうに笑う祖母を見て、私も嬉しくなる。
私と祖母が掃除していた部屋は、旅行が趣味の祖父母が色々な地域から購入した思い出の品でいっぱいだった。
日本のくまの木彫りや日本人形もあれば、海外で手に入れた絨毯や綺麗なブローチがあった。
地元にいながら色々な世界を旅した気分に浸れるのは、この部屋のおかげだった。
ふと、さっき片付けた棚に目をやると鍵付きの日記帳があるのに気づいた。
「おばあちゃん、こんなところに鍵付きの日記帳てあったんだね。これおばあちゃんが書いていたの?」
「ああ、この日記帳はねずっと昔に大切な友人からもらったのよ。私が困ったら、開いてねって」
不思議な模様が描かれた表紙を、祖母は優しい眼差しで見つめていた。きっと大切なものなんだろう。
「そうか、おばあちゃんにとってお守りみたいな日記帳なんだね。」
閉ざされた日記帳には何が書いてあるかは、祖母とその友人にしかわからない。けれど、2人にとってかけがえのないものであることが伝わってきた。
🍀閉ざされた日記
切に願う、「あの頃に戻りたい」と。
楽しい日々を忘れぬ様にと綴った日記。
今は悲しく辛く寂しく開くことさえ難しい。
戻りたいけど戻れない。その現実がただ襲いかかる。
でも、記憶だけでも戻りたいと、恐る恐る思い出を開く。
あぁ、楽しかったな。充実してたな。
笑みと涙が溢れ出る。
楽しかった思い出を楽しいままに
幸せだったあの頃の日々がこれからも色褪せぬように
これからは何度も開いて読み続けるんだ。
「まだ着かないのか?」
「もう少しですよ」
俺たちは、男の案内によってとある建物にきていた。
入ってから随分と歩いた気がするが、まだ着かないようだ。
「ここでないよね」
幽霊が苦手な魔法使いが俺に聞こえるように囁く。
長い間使われたいないのだろう。
魔法使いの言う通り、暗くて埃っぽいのでいかにも『出そう』な雰囲気だ。
「大丈夫です。雰囲気だけですから」
案内の男にも聞こえていたらしく、安心させるように大きな声で答える。
だが魔法使いはそれでも怖いらしく、周りをきょろきょろしていた。
「たしかここを曲がれば――あっ、あれです」
男が指を差したのは、巨大な何の変哲もない氷の塊だった。
溶ける様子がないことをのぞけば……
おそらく魔法で作られた氷なのだろう。
そしてその氷の中心には一冊の薄い本が浮かぶように佇んでいた。
「あの氷に閉ざされた日記が、あの人の隠していたものです」
「それを手に入れれば、アイツを説得できるんだな」
「おそらく……」
男は自信なさげに答える。
始めに自信満々に言ったのは何だったのか。
まあ、いい。
どちらにせよ、俺たちにはほかに出来る事なんて無いのだから。
□ □ □
俺たちは魔王城に向かうため、この町を訪れた。
この町は魔王軍からの防衛に作られた町で、通り抜けるには許可が必要だった。
だが、ここの治安を任されているという役人が頑なにこの街を通り抜けることを許さなかったのだ。
王の命令書を見せても、『規則で駄目』『前例がない』と言って、この町を通り抜ける許可を出さない。
どんな説得にも耳を貸さず、俺たちは結局おめおめと宿屋に帰ってきた。
部屋に入って仲間の魔法使いと、今後の相談をする。
明日どうやって説得するか話し合い、最終的には暴力で脅すことも視野に入れて結論が出た時のことである。
宿に俺たちに用があるという男がやってきたのだ。
その男は頑固な役人の部下だと名乗った。
俺たちは警戒したが、男は力になりたいと言うので話を聞くことにした。
男は、その俺たちが役人と言い争いになってる場面を目撃していた。
その役人はもともと柔軟な人間であり、最近の頑なな上司の様子に心を痛めていた。
どうにかしたいが、自分だけでは何もできない。
その時にやってきたのが俺たちと言うことらしい。
また男は、役人がなぜ頑なになった原因の過去を話していたが、興味ないので聞き流した。
大事なのは、この町をどうやって通り抜けるか、である。
□ □ □
俺は氷の塊を叩いてみる。
返ってくる感触は固く、力で壊すには難しそうだった。
「私もハンマーで壊そうと思ったのですが、思ったより硬く……
かといって魔法も使えませんし、困っていたんです」
「なるほどな、しかしなぜ氷漬けに?」
「過去を忘れないためと、さっきも言った気がするのですが?」
「魔法使い。壊せるか?」
「魔法使い、この氷を溶かせるか?」
男の追及が来る前にとっとと解決することにする。
魔法使いは俺の言葉を聞いて、ニヤッと笑う。
「当ー然。いい腕してるけど、僕にかかればいちころさ」
そういって、魔法使いは何かを呟くと、見る見るうちに氷は溶けていった。
短い間に氷は全て溶け、後には日記だけが残った。
俺はそれを拾い上げて、中身を読んでみる。
だが、日記は数ページしか書かれておらず白紙だった。
「うーん。何も書いていないな。特に重要なことも書かれていない。無駄足だったな」
「いいえ、これでいいんです」
「どういうことだ?」
男の言葉に信じられず、質問を投げる。
「本当に聞いていなかったのですね……。
まあいいでしょう。
あの人は、規則にうるさく中途半端なことを嫌う。
あなた方もご存じですよね」
「そうだな。そういった印象を受けた。
だがそれには何も書かれていない」
「だからこそ、この日記が役に立ちます。
この三日坊主の日記で交渉すればいいんですよ
彼の完璧主義にとって、許しがたいものですからね」
夢を見た。誰かのことを覗き見ている。
仄暗いという言葉で形容できない、重苦しい情欲が降り注ぐ。心に落ちては傷となり、止むことのない雨に削り落とされる。
手招きされて、脚を絡め取られて。
陸から引き剥がされた身体は、肺に水を貯めることなく変化した。
心地よい揺れだったけど欺瞞で。
列車の揺れはいつか寝台が軋む音に変わって、神前に誓いを立てる儀式が始まろうとしていた。
吹雪の中、彼女の目からは絶えず涙が流れていた。
「いやだ、おいていかないで……」
心の支えは戦場で折れ、残されたのは一振りの太刀と、いつか消えてしまう記憶だけ。
世界は無情なもので、彼女の傷が癒えるのを待たず動き出す。
人知の及ばぬ怪物は目を覚まし、封じられた扉が開く。
「……!」
金縛り。兎の耳の少女は、剣を構え、こちらに突進してくる。
緩みきった加速の後、意識を失うほどの痛みが襲う。ぶつり、意識と接続が切れた後、覗き見る視点へ戻る。
刺された彼女は、心臓を貫かれていた。
見開かれた眼は閉ざされることなく、死してなお少女を見据えていた。
景色が歪み、再び意識が途切れる。
胸の痛みがして、意識は浮上する。
「……ある、じ」
口の中がカラカラに渇いている。
飛び起きた衝撃で、横で眠っていた彼女も起こしてしまった。
「ん……むつ?」
薄っすらと目を開けたところで、手を握った。突然のことに困惑しながらも、真っ青な陸奥守の顔に彼女は察した。
抱きしめれば、温かくて柔らかな感触がする。
無意識とはいえ、彼女が封じた記憶の中に迷い込んでしまった。
そう、審神者になる前の、ドクターと呼ばれていた彼女の闇を垣間見てしまった。
「わしがそばにおるぜよ。今度こそ、離さんき」
刀でありながら、神として、人の器を得た。
あの時とは違う。己の意志で動ける。
夢の迷い路、刀の誓い(刀剣乱舞×明日方舟)
自分が書き記した言葉
振り返りたくないこともある
書くことでその時はスッキリしても
また思い出してしまうから
でも、
それを書いた時の自分を
日記と共に
まるッと受け止めてみよう
その時の気持ちも
全部残らず
みんな
そして
そっと手放していこう
これから先は
今いる私で
歩んでいくと心に決めて
レースカーテン越しに
街頭の白い光が畳を照らしていた。
ぐったりとして、ただそれを見つめていた。
#閉ざされた日記
◯月✕日
明日は待ちに待った家族旅行!初めての飛行機だからちょっと緊張しちゃう!
お母さんがすごく憧れてた国なんだって。
お父さんも料理が美味しいんだぞって、パンフレットを沢山見せてくれたんだ。
おじいちゃんとおばあちゃんと友達のお土産も今から迷っちゃうね。
早く明日にならないかな!
<閉ざされた日記>
お題 閉ざされた日記
昔はよく書いていた日記。この日記は僕の青春だ。誰にも見せたりしない。
だからこの日記を閉じて封印したんだ。誰にも分からない場所へ。でも僕には分かる場所へ。
日記には楽しかったことばかり書いてきた訳じゃない。見せたくない僕の思いも書いていた。
だから封印するんだ。見られたくないから。
さよなら、僕の日記。もう読み返すことは無いだろう。
さよなら。
そっとひらいた
遠い日の
思い出の日記(きおく)。
今日は君と…
今日は君が…
今日も君に…
ずっと
そんな書き出しから
始まる
まるで君宛てのラブレター。
僕の未来に
君の未来に
君と僕は居なかったけれど
足して
引いて
掛けて
割って…
残った答えみたいな
そんな優しい気持ち
君に恋した
自分を誇らしく思える。
さよなら
あの日の2人へ…
もうひらくことのない日記
最後のページに
手をかける。
- あの日へ… -
もういいや
つかれた
長い年月の記録を書き残してきた日記帳
その言葉を最期に続きが書かれることは一生こなかった
『閉ざされた日記』2024,01,19
『「退化」の進化学―ヒトにのこる進化の足跡』という本を読んでいる。ブルーバックス。
この本によると、長い進化の過程で使われなくなって消えていった器官、今では機能してないけどかろうじて残っている器官、あるいは形を変えてほかの機能を持つようになった器官が、私達の体には無数に残っているらしい。
それらはまるで、地球の各地で発掘される化石のように、今までの人類進化の歴史遺産として、私達に過去を教えてくれる。
体を切り開いて解剖してみたらまぁ見えなくもないわけだけど、これって「閉ざされた日記」みたいじゃない? と思いました。終わり。
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【41】閉ざされた日記
自殺した男の身体の中から鍵が出てきた。
調べた結果、それは几帳面な性格だった男が毎日つけていた日記帳の鍵であった。
鍵は男の遺族のもとに渡ったが、彼は日記帳の中身を調べようとはせず、閉ざされたままの日記帳は男と共に葬られた。
遺族のもとには今もなお、男が記した日記帳のためだけのものが、他になんの役割も持たないままで、ひっそりと佇んでいる。
(閉ざされた日記)
題 閉ざされた日記
……いつからだろう群衆に群れずに一人で進み始めたのは
(しかし最期にこんな事を想うなんてな…)
ふと机の上の日記を手に取る。
もう意識が朦朧としているからか日記をまだ書いていたあの頃を思い出す。
(……も、しも…もしも彼等について行ったらまだ日記を物語を書いていたのだろうか,
そうだったらこんな閉ざされた日記のような人生を送らずに済んだのだろうか)
そんな事を考えながら彼は眠りについた。
〜終〜
閉ざされた日記
閉ざされた日記の中には、
何が書かれているのだろう。
人には知られたくない、
自分の内面。
気に入らない人への直接言えない不満。
もしかしたら、隠し財産の在りか。
昔の罪…。
閉ざされているのだから、
開けない方がいいよね…
paki
お題 閉ざされた日記
俺は相棒と交換絵日記をしている
よく何も無い日が続くから思いつかずに渡せない状況が続く。交換絵日記が相棒が持っている時に喧嘩をした。喧嘩をしたせいで交換絵日記は続かないだろうと少々思った。だけど数日後相棒が謝ってきた。
交換絵日記はもうすぐで終わる。
交換絵日記が終わればまた違うノートで続けるか、大人になるまで見ないかと思い、俺は交換絵日記を閉じた
きょうはいえでおえかきをしたよ。
じょうずにかけたよ。
きょうはおりょうりのおてつだい。
みんなおいしいって、わらってくれた。
きょうはかぞくとおでかけしたよ。
たのしかった。
きょうは……
えいえんとめざめない、わたし。
こどものまま、ずっとずっとずうっと。
たのしかったこと、ほめられたことだけのこして。
あとはすべてけすの。
つごうのいいように、
みにくいおもいではけしちゃうの。
これからも、ね。
〜閉ざされた日記〜
その閉ざされた日記帳が開かれることはなかった
心を、思いを残す
または出来事を残す
買ってみてはみたものの
そんな勇気は出なかったのだ
これらには実際の文字はない
しかし思いは詰まっている、はず
という言い訳を見つけ出し
今年もまた横目でそれを見る
「閉ざされた日記」