『貝殻』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
わたしたちは同じ貝じゃなかったみたい。だってそうでしょ? 二枚貝になろうとしても、どうしても合わない。でもそれを見て見ぬフリして、「わたしたちって運命だね」なんて笑ってたっけ。今思うとすごくくだらないのに、何故だろうその頃はとても楽しかったんだよ。
#貝殻
僕は海に行った 。
その海は時間帯もあるのか誰もいない 。
静かな海を眺めて 、勝手に足が進む 。
冷たい海 … と思いきや暖かい 。
その暖かさに幸せを感じては大きな波がきて 。
僕は何故か体が動かずそのまま 。
海の中で目を空けられた 。
僕は混乱したがひとつの貝殻を見つけた 。
手を伸ばすとはっとして 、いつの間にか景色は戻った 。
貝殻
病気の牡蠣だけが真珠を作るのです、と半ば泣きながら彼は演説したが、ほとんど誰にも意味がわからなかっただろう。まあ牡蠣もごくたまに真珠を作るんだろうけど、真珠はアコヤガイからとるのよね普通は、と私は思ったけど、そういう問題でもない。あのバカはR・A・ラファティのSF「素顔のユリーマ」から引用したのだ。オリジナルじゃない。あいつは天才だけどオリジナリティはあんまりないのだ。盗みと模倣と推理の天才。そうあいつは天才的なホワイトハッカー。
ホワイトハッカーとして名前だけは有名だった彼が今日はじめて世間に顔を見せ、涙目で演説した。そして閲覧者みんなをドン引きさせた。引退するつもりだと昨日聞かされたとおりにあいつは引退するんだろう。LIVE配信が終わり、彼がいつも使ってた牡蠣殻のロゴだけが画面に映っている。これまで牡蠣殻ってあまり美しいと思わなかったけど、内側が美しい貝殻なのだね。あいつがまだ私と連絡をとってくれるなら牡蠣殻は美しいと伝えることにしよう。
【貝殻】
貝殻は
大きさ、形
すべて違う。
人間と違って
美しい。
朝、犬を連れて散歩に行く。
まだ子犬だった頃は貝殻をくわえて遊んでたな。
成長して貝殻には見向きもしなくなった。
そんなところに時の流れや成長を感じる、今日この頃。
浜辺にて
波の欠片を
拾い上げ
景色を聴こうと
耳に据えれば
『貝殻』といえば、
アフロディテ!
(英名 ヴィーナス)
その誕生は
驚きの話になるが
なにはともあれ
後世のわたしたちに
愛と美を教えてくれた
女神だ
わたしは
この辺りで
貝になろう
まー
一時期貝殻を集めて加工するのにハマっていた
たくさん集めてもうまく加工出来るのは
ほんの少し
汚れが落ちなかったり
かけていたり
加工の途中で割れたり
フリマ等で販売しているハンドメイド作家は本当にすごい
一つ一つ丁寧に心を込めて作っている
きっと労力や制作費も想像以上のものだろう
ハンドメイド作家になることは出来ないが
手作りを誰かにプレゼントするときは
もっと心を込めて、相手の顔を思い浮かべながら作りたい
#貝殻
私は、海が嫌いだ。
海には溢れりほどの水がある。
綺麗すぎるほど。
浜辺の砂は海の水程では無いが沢山ある。
よく見ると一つ一つ形が違う。
海と空は色が似すぎていて境目が分からない
空が夕日になると海も真似してオレンジになる。
この広い広い海には生物がいる。
集まると幻想的だ。
海の貝殻を耳に当てる君は背景にある海がかすれてしまうほど美しい。
私は、海が嫌いだった。
※貝殻
積み上げた貝塚から、ひとつ貝殻を手に取る。
この貝殻の内側は、不思議に輝く層があった。
若い衆に見せると、浮き足立つほどの美しい層。
悲しきはそれを活用する頭がないことだ。
きっと貧しい漁村に恵を与えてくれるだろうに。
いつか、叶うだろうか。
たまに出る、真珠のような、美しきものを。
未来へ。
※主治医は「〜ですな」で喋ってくれます笑
私はとても助けられているんだぜ!驚きでもないな!
そういや、最近は海に行ってないなあ。貝殻拾い、昔はよくやっていたんだけど。砂場にも貝殻があったから、近くの公園にも行って……
貝殻なんてものに、もう何年も触れていない。あの公園にも、引っ越してからは行っていない。結局、貝殻だって僕にとっては思い出にしかならない。ここらへんでは凄くデカい公園と、砂浜が近くにある。観光客だって来るような。幸い、環境にも恵まれている訳だし、高校に入ったら、寄ってみるのも、アリかも。
夏も終わったし、貝殻拾いは来年に持ち越し。ただ、連日、真夏日なので、まだ熱中症に気をつけて2学期も、頑張ろう。
貝殻
海の音を閉じ込めた鉱物。
海の匂いが染み付いた殻。
貝殻を見つけた
きらきらして小さくて御伽噺に出てくるような貝殻を
それを空に翳して写真を撮った
この一葉で喜ぶ私は
多分小さな幸せを見つけるのが得意だ
貝殻から何も思い浮かばない。
子供の頃に貝殻を見つけるとテンション上がったっけかな。
「貝殻」
校庭の砂に混じる小さな貝殻は、どこからきたんだろう
貝殻
砂浜で
きらきら
光る
貝殻
拾う
いつか価値ある
貝殻
拾いたい
なな🐶
2024年9月5日2070
「貝殻」とかけまして
「某海賊の航海士がうるさい」と解きます。
その心は「波の音/ナミの音」が聞こえます。
貝殻
家の片付けをしていたら貝殻が出てきた。
昔、海で拾った物だ。
耳に当てると波の音が聞こえる。
正確には波の音ではないらしいが、それでも拾った時の事を思い出す。
私にとっては大切な思い出だ。
海には長らく行っていないが、今度の休みに行ってみようか。
「貝殻」
君が、海に行ったらしい。そう聞いたのはいつだったか。
海はどんなところなのだろう。青くて、広くて、綺麗で。
誰かから、どれだけきいても、不思議と想像ができなかった。
ただ、そんな話を聞いて、ぼんやりと、いつもと変わらない景色を眺めていた。
僕は、家から出たことがない。小さい頃からだ。
出た記憶は、ほとんどない。
病院に行ったことがない。学校に行ったことさえ。
近所の人の名前も、顔も知らないし、会ったこともない。
僕は、足に障害がある。歩けない。走れない。学校にも行ったことがない。どこかに、行けたことが、ない。
見たことのあるのは、会ったことがあるのは君と、家族だけ。そんな生活を、何年も、何十年も過ごしてきた。
とうの昔に慣れてしまっていた。
最近聞いた話だ。君が海に行ったと。
海は画像で見たことがある。青くて、広くて、キラキラとしていて。
それでも、空とは全く別の綺麗さ。不思議さ。そんなものがその画像から伝わってくるようだった。
どんな感じなんだろうか。海は本当に青いのか? 砂浜は暑いのか? 広いのか? 水平線なんてものも、見えるのか?
僕も、行きたい。そんなことが一瞬頭によぎる。けれどそれは、学校にも行けない僕には、無理なことで。どうあがいても一人で行けない僕には、無謀な考えで。
窓の外を見る。何もない景色を、雨が濡らしていく。日もない、月もない。ただ、暗い空だった。
数日後、君が家にやって来た。海に行ったよと話すつもりなのだろう。顔はいつもより自信自慢に満ち溢れて見えた。
『貝殻を拾ったんだ』
君は開口一番に、そういった。
「海に行ったんだ」「最近、どこに行ったと思う?」そんな言葉よりも、先に。
そのあと、海に行ったんだよね、と呟くようにして付け足した。
貝殻は綺麗だった。色々な種類の貝殻を拾ってきたらしく、全てが違う色、違う形だった。僕には見たことのないものばかりで。
君はわざとらしく、一つの貝殻を手に乗せ、僕に差し出した。どう? と聞くように。
白色の貝殻だった。平べったくて、小さめな。
『綺麗だよ』ため息を吐きながら、そう誉める。すると、君はふて腐れたようにして僕を見つめた。
なんだろうか。分からなかった。
しばらくの間、無音の押し問答が続いたが、静かに君は笑った。
『これ、耳に当ててみて』
そう言って、きみは物を耳に当てるジェスチャーをした。
不思議に思った。だが、恐るおそる君の手に手を伸ばし、貝殻を取る。
そして、耳に静かに当てた。
君は、面白おかしそうに、笑っていた。
海の、音がした。聞いたことも、見たこともないけれど、瞬間それが海の音だと分かった。
スー、ザザザ。スー、ザザザ。繰り返されるような音がどうして鳴るのか、なんてそんなことはどうでも良かった。
そこには、海が広がっていた。
静かに太陽に照りつけられ、それを跳ね返す海。
白く泡立ち、波がその泡を砂浜に打ち付ける。
そんな情景。そんな景色。ここにはないはずなのに、はっきり、くっきり認識できた。
『どう? その貝殻』
不意に声がした。その声が波紋のように広がり、見えていた風景はさざ波のように消えていった。
不思議と欲は湧かなかった。
素晴らしかった。
こんな貝殻でも、僕が知らないことを教えてくれるなんて。
こんな綺麗なものがあるなんて。
窓の外を見つめる。相変わらずの雨だ。
変わらない景色。変わらない毎日。
一つ。変えてみたかった。
でも。それよりも。
海が、見たかった。経験したかった。
たとえ、入れなくても。歩けなくても。
『君と、海に行きたい』
微かに、潮の匂いがした。
「日本死神洞窟、水生生物課へようこそ!」
テーマパーク並みの明るい出迎えを受け、思わず苦笑してしまった。「こちらへどうぞ!」と、にこやかに案内され、砂浜の先にあるエレベーターのようなカゴに乗り込む。スルスルと音もなく下へ降りて行く。
この課の死神がつけている面は鬼だ。カゴの中から辺りを見回すと、複数の死神がいて、それぞれが赤鬼、青鬼、緑鬼などの様々な色の鬼の面をしている。
さっきまで居た動物園水族館課では死神が1人だったのに対し、この課には大勢の死神がいることに驚いた。だが、更なる驚きはこの洞窟が途方もない広さであるということだ。端が全く見えない。
動物園水族館課の洞窟は広かったが端は見えた。だがこの課の洞窟は、左右どちらに顔を向けても端が見えない。呆気に取られていると「ああ、ここかなり広いですよね。死神の数も多いですし」と、こちらの様子に気付いた死神が言う。「その名の通り海、川、湖などのありとあらゆる水の生き物の蝋燭がここにあります。なので、規模がかなり大きいんですよ」なるほど、と返事をしながら様々な生き物の形をした蝋燭を、スルスルと下り続けるカゴの中から見送る。
ウミガメ、サメ、マンボウ、クジラ。多種多様な海の生き物の蝋燭が見えた。そうか、ここは海か。川や湖はまた別なのかな?そう独りごちると「そうですね。繋がってはいますが、淡水の生き物はここにはいません」と死神が答えてくれた。
不意にカゴが停まった。「ここは海部、深海エリア。この下もまだまだずっと続いていますが、まだ行かれますか?」どんな生き物がいるのか見てみたい気もしたが、ずっと続く膨大な数の小さいキラキラした物で、目眩がし始めたことを伝えると「ああ、プランクトンの蝋燭ですよ。これで具合が悪くなる人、珍しくないです」と笑いながら言われた。「では上に戻りましょう」
上るカゴの中から、下を覗き込む。深い。蝋燭の光が果てしなく続いているため暗くはないが、とにかく深く、やはり底は見えない。「そちらには "深淵を覗くものは…" なんて言葉があるそうですね」と、背後から死神に言われ、背筋が寒くなるのを覚え覗くのをやめた。振り返ると死神がこちらをじっと見ていた。鬼の面の向こうの表情はどうだったのだろう。
上に戻ると「お疲れ様でした!またのお越しをお待ちしてます!」と、またテーマパークさながらに見送られ、短く礼を言うと砂浜を歩き始めた。
ふと足元をみると、ちいさな貝殻が現れ、またすぐに消えていった。
―――死神洞窟ツアー [水生生物課篇]
#63【きらめき】【貝殻】