『誰にも言えない秘密』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
この星のためになることは何だろうか?
私の為になることは何だろうか?
人々の苦しみの根元を知っているのに伝えきれない。
歯がゆい気持ち。
それでも希望はある。
自分は何者なのかを知ることが救う手立て。
秘密は終わりに。
『誰にも言えない秘密』
「ただいまー」
暗いアパートの自室に向かって一言。
「あ、帰ってきた」
幼い声がかえってくる。
部屋にある押し入れから、小学生男子が出てきた。
「ほんっと。端から見たらこれ誘拐だぞ」
「そうだね。ところで、晩ご飯に焼きそばある?」
「おーあるある」
買ってきたカップ焼きそばを見せると、ヒカルは満足そうに笑った。
俺はビニル袋から、サンドイッチを取り出し食べはじめる。
「あ、そうそう!今日はあそこだよ、ほら原木さん家近くの公園のさ、ちょっと草とか多く生えてるとこ。」
「あー、マジか。まだ良いカメラ買えてねぇんだけど。勿体ねぇ」
楽しそうに焼きそばを作るヒカルが言う。
本当に勿体ねぇな。折角の機会なのに。ここで嘆いていても仕方ない。見つかる前に撮りに行くか。
サンドイッチを一気に食べ、カメラを手に再び出かける。
「あー原木さん、原木さん、…お!あった」
原木さん家近くの公園。まだ、騒ぎになっていない。ということはまだ見つかってない。草の多く生えた場所、そこに目当ての者はあった。
「玉田カヨ…カヨ…カヨちゃんか」
草の中に転がって動かない少女の名前。まだ小学生なのになぁ。可哀想に。
安心しな。カヨちゃん、君の死は決して無駄じゃなかったよ。
カシャッ。カシャッ。何枚かカヨちゃんの写真を撮りその場を離れる。明日にはきっと見つけてもらえるよ。
「ただいまー」
「どう?上手く撮れた?」
「ん、バッチリ」
返事を適当に返し、撮ったばかりの写真のデータをパソコンに移す。そこから写真をプリントし、プリントした写真を壁に貼る。
「わぁ、最初の頃より撮るの上手くなったね。」
「だろ?今の俺だぶん生きてる奴より、死んだ奴の方が上手く撮れる自信がある。」
「うわぁーサイアクな特技だ」
「人殺しに言われたくねぇよ」
俺は殺人犯の少年を匿っている。そして、その少年ご殺した奴の写真を集めている。これが俺の誰にも言えねぇ秘密。
誰に言えない秘密……
裏の顔がある事かなぁ。
いや、裏の裏の顔がある事かなぁ。
いやいや、裏の裏の裏の顔がある事かなぁ。
そうやってどんどん人格を形成していって……
たっっっくさんの秘密を抱えて生きていく。
そんな私の人生が楽しくて仕方ない。
〜誰にも言えない秘密〜
誰にも言えない秘密
昨日、聞いたよ。告白されたんだって?
あんなに可愛い子、すごいね。
照れんなって。嬉しそうだね、良かったよ。
君のはにかんだ顔を見て、私は奥歯を噛み締める。
今朝まで泣いたことは、誰にも言えない秘密。
さてさて、皆様方は誰にも言えない秘密というのは、お持ちでしょう。
生まれてから死ぬまで、多くのことを経験するでしょう。そして、それ以上に多くのことを秘密にしてるでしょ。
聞こえてきますね。「私には無い」「俺は誰にでも話せる」といえお声が聴こえてきます。
無い・話せる・生まれて短いし経験していない、違いますよ。秘密というのは、人の数ほどあり、大なり小なりとお持ちなのです。
ただ、認めたくないだけなのです。
そう、ただ、認めたくないだけなのです。
お漏らしをした、子供が知らぬ顔をするように、皆様は認めていないだけ。
今回のお話は、そんなお話
人が怖くて学校に行きたくない
でも、先生が家に来るか三者面談は絶対にやだ
だから明日は行く
でも、ほんとは人が怖くて怖くて仕方無い
でも、いい子を演じて我慢して
心配させないようにしてる
これが僕の誰にも言えない秘密、ではないけど
そのうちの一部
誰も自分のほんとの秘密なんて言わないよ
# 24
誰にも言えない秘密、ある?
私にだけ、こっそり教えて?
誰にも言わないから!
なんて言ってくる輩に、碌なのはいない。
テーマ「誰にも言えない秘密」
「君ってプライベートの話を全くしないから他の同僚からミステリアスって言われてるらしいね?どんな秘密を抱えているのかな?」
取引先の彼に偶然会ってしまい、問いかけれた質問。仕事外だからと言っても私の秘密なんて答える気はサラサラ無いのだけど。
「秘密って誰にも言わないからこそ美しいものでは無いですか?
それに…私の秘密なんて案外つまらないかもしれませんよ?」
にっこり笑う私を嘲笑う様に彼は口角を上げる。
「それでは…私が君の秘密を剥いでみせよう。どんな君が見れるのか楽しみだ」
静かな部屋で男の笑い声だけが響いていた。
今朝 自慰を致した
気持ちよくは、なかったです
たまには人間味も感じちゃってください
私も生きてるので
みなさんが私という個人に
どんな人間像を浮かべているかは知りません
けど確かに言えるのは
私も欲を持ったひとりの人間という生物である
ということです
需要ゼロの秘密でしたね、ごめんなさいごめんなさい
秘密を持つってのは
嘘つきになり兼ねるってこと、忘れちゃいけません。
_ ₆₈
実はわたし、クローン人間なんだ。
「わたし」がこの町で何もせず穏やかに幼馴染と過ごしていたことを証明するための期間限定の人間。
明日オリジナルの子と入れ替わるの。
大丈夫だよ。オリジナルとわたしはそっくりだから、入れ替わっても誰も気づかない。
現にキミは「わたし」に1年間気がつかなかったでしょう?
なーーーーーんちゃって。ビックリした?
じゃあね、また明日。
#誰にも言えない秘密
墓参りに行く。
あいつはもう居ない。
どうして居なくなったかは
私だけの秘密である。
この秘密は、
私を生かす意味でもあるという事もまた、
私の秘密である。
私は世の理を
幼心から理解していたわ
花が咲き枯れるように
命の芽吹き
その終わり
過去から未来
世の流れ、理が手に取るように分かるの
だから
誰に気づかれることなく
私は私の道を遮るもの全て
取り除くことができたわ
そう
あなたのように感がいい人もいたけど
私を止めることは
できなかった
ふふふ
別にいいのよ
知られたくないとかではないの
だって
知られたところで
この世界から退場してしまえば
この事を知る人はいなくなるでしょう?
さぁ、お話はここまで
大丈夫
怖くないわ
暗くなるだけ
すぐに何も分からなくなるわ
そう、
そこのあなたもすぐ迎えに行くわ
『誰にも言えない秘密』より
『私の秘密』
私には誰にも言えない秘密がある。
そう、誰にも。
私の秘密は私だけのものだから
誰にも教えたりしない。
そこの君にも。
だーれにも言えない秘密なのだから
ここには書かれてなくて当然なんじゃないかしら。
なんてね。
お題:《誰にも言えない秘密》
1度だけ遊んだだけなのに
私を繋ぎ止める
適当なことを言って私を喜ばせる
お世辞でも嬉しくて
寂しさを埋めたいから
付き合ってしまうけど
私にも秘密がある
あなただけじゃない、
いつでも消える準備ができているの
誰にも言えない秘密
でも
あなたもきっと同じだから。
『未来人?(みらいじん?)』
僕はある学校の転校生だった。
最初はやはり転校生という肩書きで人気が出た。
でも、次第に皆僕から離れていった。
それどころか虐められるようにもなった。
話しかけても答えてくれず、あからさまに皆で無視をし、終いには宇宙人だのなんだの言って僕を蹴ってきた。
それでも僕はめげずに話しかけた。
「ここって、天気いいんだね」
「へぇ~花子さんってのがあるんだ」
「テストって紙でやるの面倒だね」
「そういえば、」
……誰に話しても返答なんて、もらえなかった。
それから間もなく僕は転校した。
転校先では虐めなんてされず、寧ろ歓迎された。
逆に僕は人気が出た。
それから数ヶ月がすぎ、ある日歴史の授業でこんなことを習った。
「◯◯県全児童殺害事件」
ーーーー20xx年、日本の◯◯県で全児童が殺害された事件。殺人方法があまりにも酷すぎる為、掲載は禁止されておりーーーーー
あーあ、教えてあげようとしていたのに。
まぁ、お陰で僕は人気が出て今や学校のマドンナと付き合っているよ。
君達が言っていたこの「宇宙人」と言われるような容姿。
君達がなる日もそう遠くはないよ。
その後、僕は事故で亡くなった。
お題『誰にも言えない秘密』
誰にも言えない秘密・・
今ここで言ったら、秘密じゃない
だけど、ずっと黙っていても辛い
いつか、話せるようになったら
君に打ち明けるよ
それまでは、もう少しだけ
誰にも言えない秘密
「今日もありがと、じゃ、また来週。」
いつものように欲を吐き出して直ぐに帰る。
僕には待ってる愛おしい人が居るから。
愛しているからこそ、大切にしたい。
僕が手を出して縛りたく無い。そんな気持ちで他の女にこの行き場のない欲を吐き出し始めてもう2年が経つ。
そして、今日もまた。繰り返す。
“朔さんも酷い人ですね。奥さんいるんでしょう?浮気されて私ばかりこうやって愛されちゃうの、知ったら悲しむだろうなぁ笑”
は?何言ってるんだ。これは浮気じゃない。
隠れてしてはいるが、彼女を大切にしたいからやってるんだ。誰にも言えない事でも良い。
こんなの愛情の塊じゃないか。
絶対に、ばれることも無い。この努力は僕だけが知っていたらいいんだ。
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いつまで続くだろうか。彼の正当化された浮気は。
本気でばれないと思ってるなんて。哀れな人ね。
#誰にも言えない秘密
誰にも言えない秘密
秘密だから、誰にも言えないんだよ。
口に出せば秘密が破綻してしまう。
秘密は、出来ればない方が良い。
隠し事とも、嘘とも違うけれど…
秘密なんて
無い方がいいんだ。
【お題:誰にも言えない秘密】
【誰にも言えない秘密】
ここだけの話、誰にも言えない秘密ある。
誰にも、なのでもちろんここで明かしたりはしない。
誰にでもあるだろう?
隠したい事の一つや二つ。
自分の知られていいと思う事、
言ってもいいかなと感じる事。
その反対に絶対に知られたくない事、言いたくない事。
感情が思考があるからこそ、そう思う事。
言えない秘密だからね。
文字通り墓場まで持っていくよ。
人間とは嘘をつく生き物である。
嘘をついたことのない人間など居ない。
嘘をつくこととは、自分を守ることであり、人を守ることである。
もちろん、僕もその嘘つきの1人である。
誰にだって、誰にも言えない秘密があるだろう。
僕にだってあるのだ。
この秘密は墓場まで持っていくと決めた。
ただ、ずっと心の中だけに留めておくというのは、なかなかにしんどいものなのだ。
だから、僕は、この子達に秘密を託した。
今日も今日とて、可愛い我が子を大事に持ち、病室の前に立つ。
ひとつ、深呼吸をし、扉を3回ノックしてから、扉を開ける。
病室の主は、ベットの上からこちらを見た。
そして、僕の顔をじっくりと見ると、微笑んだ。
「こんにちは。初めまして。」
僕もそんな彼に微笑み返した。
「初めまして。」
1回目。
僕は、後ろ手で扉を閉め、病室に入った。
彼は少し戸惑った様子で、僕の顔色を伺う。
初対面の奴が断りもなしに自分のテリトリーに入ってきたのだ。
僕だったらキレる。
ただ、彼は優しい人だった。
「えっと、実は僕、記憶が1週間しか持たないらしくて...今日がちょうど記憶を失ってから1日目というか、何もかも分からない日なんですけど」
あなたは僕のお知り合いですか?
彼は少しバツが悪そうにこちらに聞いてきた。
そんな顔をする必要なんてないのに。
僕はそれに肯定を示した。
彼はそれだけで更に顔色を悪くし、「すみません」と謝った。
「僕を心配して、お見舞いまでしてくれる人を忘れてしまうなんて...ほんとに、なんでこんな...」
泣きこそしてない無かったが、泣きそうな顔ではあった。
僕は努めて冷静に彼をなだめた。
「覚えてないのも無理はありません。実は、知り合いといっても、僕はただの店員なんです。」
花屋の。
と僕は付け加える。
彼はこちらをぽかんと見ている。
そりゃそうだろう。
なぜ、知り合いというか、顔見知り程度の奴が、見舞いに来てるのか。
もし、僕が同じような状況になったら普通に恐怖である。
ここで不審者扱いをされて、追い出されては堪らないので、僕は続けて話し出す。
「あなたの恋人が僕に依頼してくれまして。1週間ほど出張があって、あなたのお見舞いに行けないので、1週間だけ、あなたに花を届けて欲しいと。」
そう言って、僕は手元にある花を彼に見せた。
これで2回目。
「来週の今日、あなたの記憶がまた無くなった際には、恋人の方がきちんと貴方に会いに来るそうです。」
彼は心底驚いたようだった。
「僕、に...恋人がいるんですか...?」
しかも、花を届けてくれる...?
彼は自分で言っておいて、自分の言葉を理解出来てないようだった。
僕が「はい。」と返事をすると、じわじわと顔を赤くし、キラキラと目を輝かせた。
「僕の恋人、僕の理想そのまんまだな!!!!」
かなり喜んでいるようである。
まぁいつものことだが。
「その方は、あなたの悪口をいつも言っていましたが、決まって最後にはあなたに渡す花を真剣に選ぶんです。」
僕の話を、彼は真剣に、とても嬉しそうに聞いていた。
見たことも会ったこともない、今の彼からしてみれば、赤の他人である恋人に、よくもまぁそんな熱量を向けられるものだ。
単純に尊敬する。
「『あいつは、いつもぽけ〜っとしてる』だとか、『あいつほどのバカはいねぇ』とか、『顔がいいだけで他はクソ。』だとか色々おっしゃってましたが」
かなりの悪口である。
というか、他人が聞いたら、ほんとに恋人かを疑問に思うだろう。
それでも、そんな恋人を持つ彼は、キラキラとした瞳を更にキラキラとさせ、周りに花が飛んでいそうなほど幸せそうだった。
悪趣味なやつだな、と思いながらも言葉を続ける。
「『ぜってぇあいつに俺の存在刻みつけてやる。』と最後にいつも宣言して帰るんです。」
3回目。
僕は、彼の恋人について語る上で、とんでもない爆弾を落としてやった。
彼の恋人の一人称が、"俺"である、ということだ。
これについては、嘘でもなんでもなく事実である。
先に言っておくが、俺っ子女の子な訳では無い。
だが、彼は聞こえてなかったのか気にすることでもなかったのか、先程と変わらず幸せオーラを出し続けている。
彼は馬鹿で優しいやつなので、前者も後者も有り得るのが怖い。
僕はひっそりと後者であれば良いなと思っていた。
「口が少し悪くて、一人称が俺!!!高圧的でプライドが高いけれども、僕のことは愛している!!すごい!!!!僕の理想すぎてすごい!!!!!よくやった昔の僕!!!!!!!!」
後者であるどころか、もはやヤバいやつである。
強すぎる熱意に僕は若干引いていた。
ここが個室じゃなかったら大問題になってたな。
よかった、ここが個室で。
それはともかく、普通に怖いので、これはさっさと帰るに限るだろう。
僕は営業スマイルを崩さないようにしながら、窓際の花瓶に近づいた。
その間も彼は、最初のあの態度はどうしたと思うほどの興奮具合で自分の恋人に想いを馳せている。
それを尻目に、僕は花瓶の前に立ち、今日持ってきた花だけを入れるために、元々入っていた花を取り出そうとした。それらの花達は、枯れている様子がなく、元気に咲いていたが、今日はこの花だけを入れたいのだ。僕が彼らに手を伸ばした時、
「...え?」
僕の動きが止まった。
おかしい。
足りない。
花の本数が足りない。
僕はいつも、11本ちょうどの花を持ってくる。
持ってくる種類は様々だが、花の本数を変えたことはない。
今日以外は。
今日だけは花を1本しか持ってきていないが、それ以外は必ず11本持ってきていた。
枯れたから先に捨てた?
だが、残っている花はこんなにも元気に咲いているし、何より、いつも入荷しても間もない新しい花を持ってきていた。
1週間は必ず持つように、花瓶の水も毎日取り替えている。
1週間以内に枯れるはずがない。
ならばなぜ。
「探し物はこれですか?」
さっきまでの興奮状態はどうしたのか、病室に入る瞬間よりも少し柔らかな態度で、彼は僕に微笑んだ。
彼の手には栞のようなものがあった。
そしてその栞には、濃いピンク色の花が挟まっていた。
押し花だ。
だが、なんだが不格好で、見た目としては悪い。
恐らく、何本かを無理矢理使ったものなのだろう。
なんだか花びらがごちゃごちゃと固まっていて、綺麗とは言い難い。
だが、その花は昨日まで、この花瓶にあった花だった。
「...押し花ですか。いいですね。あなたの恋人も、プレゼントした花を大切に思ってくれているようで、きっと喜びますよ。」
4回目。
じわりと変な汗が出る。
なんで、よりにもよって今日なのだ。
自分の運のなさを呪う。
「これ、4本の花で作ったんです。1本でやった方が、綺麗に作れるみたいなんですけど、どうしても4本が良くて。」
彼は微笑みを崩さずに続ける。
「知ってますか?花言葉って花の本数でも変わるらしいんです。詳しくは知らないんですけど...昨日急に思い出して。それで、どうしても4本で押し花を作りたくなったんです。」
でも、花屋の店員さんなら知ってるか。
彼は、少し冷たいような、そんな声色で僕にこの言葉を吐いた。
もちろん、花屋の店員であるからには知っている。
各々の花の花言葉とは別に、花の本数で花言葉が決まるのだ。
だから、プロポーズではバラの本数を気にする人が多い。
バラの花言葉とは別に、伝えたい言葉をそうやって表すのだ。
「...いいえ。初めて知りました。僕は店員と言っても、ただのバイトなので。」
5回目。
これは僕を、彼を守るための嘘。
この嘘は何がなんでも通さなければならない。
この嘘を墓場まで持っていくと決めたのだ。
彼を襲ったこの不幸は、彼にとってのチャンスなのだ。
何としてでもあの事実は隠し通さねば。
「そうなんですね...でも、おかしいな。」
先程までベットの上にいた彼は、いつの間にか、病室の扉の前に立っていた。
彼は冷たい声色のまま、こちらに微笑んだ。
「これを教えてくれたのは君なのに。」
心臓が爆発したかと思った。
汗が滝のように流れた。
頭が真っ白になった。
そうだ、彼は言った。
「昨日急に思い出して。」と。
彼は今日、昨日のことを思い出せないはずだ。
なぜなら彼は、たったの1週間しか、覚えていられないから。
彼の思い出は、1週間ごとで、リセットされてしまうから。
可能性はひとつ。
彼は思い出した。
彼は"俺"を思い出してしまった。
その答えに至った時にはもう遅かった。
彼に出口を塞がれていた。
もう逃げられない。
神様は、なんて残酷なのだろうか。
今日で最後にしようと思ったのに。
彼を幸せにしようと思ったのに。
震えを抑えるように拳を作る。
手に持っていた黒い花の茎が少し曲がってしまった。
「言ってたよね。4本の花束の花言葉は、『一生愛し続ける』だって。だから、僕は、栞を作る時に、どうしても4本の花で作りたかったんだ。」
彼はこちらをじっと見つめていた。
蛇に睨まれたカエルのように、俺は動けなかった。
「今日の朝、いきなり今までの記憶が戻って驚いたよ。...ただ、記憶を失うようになってからの記憶は戻らなかったんだ。」
彼は続けた。
「何かないかと思って、探してみたら、枕の下に日記があってさ。」
そう言って、彼は栞を持っていない方の手にある日記らしきものを見せてきた。
油断した。
棚や引き出しはいつも確認していたが、枕の下とは。
「そしたらその日記には、『僕の恋人に会いたい』ってことと、『花屋の店員さんの持ってきてくれた花』についてしか書かれてなかったんだ。」
まさか、僕の恋人がその花屋の店員さんだとは思わなかったようだね。
口の中が砂漠のようだった。
墓場まで持っていくはずだった嘘が暴かれていく。
罪を告げられているような状況にいる俺は、まるで処刑台にいる囚人のような気分だった。
今日だけで、5回も嘘をついた。
今までの彼についた嘘を合わせたら、信じられない程の数になるだろう。
こんなにも頑張ったのに、こんなところでバレてしまうのか。
最後の最後で欲をかいてしまった、俺への罰なのだろうか。
「僕は、全部の花言葉を調べてたみたいだね。」
あなたの幸せを願っています。
私はあなたと出会えて幸せです。
今までずっとありがとう。
あなたを忘れない。
そして、11本の花言葉は『最愛』
「色々あったけど、この栞の花言葉は」
変わらぬ心、途絶えぬ記憶。
「どうやら、プロポーズにも使われるようだ。」
彼は愛おしそうにその栞の花を見た。
誰にも言えない秘密