『蝶よ花よ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
僕は彼女を蝶よ花よと育てる。
彼女が両親から受け取れなかったものを、僕が、全部あげるんだから。
「──むかしいた国がさぁ。この国より暖かくて、草や木が年中元気に育ってたんだけど」
「アン? テメェの生まれ故郷の話か?」
「そんなわけないだろ。あの国には虫も草もない、雪と氷だけだ。そんな国に嫌気がさしたおれはある日そこを飛び出したわけだけど、その後しばらくはいろんな国を転々としてた。そうやって南へ降っていって、とある豊かな国にたどり着いた。夏場は雨が多くて空気がベタベタして嫌いだったけど、それを除けばまぁ随分といい国だったよ。豊かで、平和で」
「……なぜそこを出た。ならずっとその国にいりゃよかったろ」
「あはぁ、いろいろあったのさ。確かにあそこもよかったけどね、雪と氷だらけの国で生まれたおれには、ちょっとばかし暖かすぎたかな。それにおれは元々この神秘の国を目指してた」
「そォかよ。それで? 結局ナニが言いたい。テメェはワケもなく昔話をするタチじゃねェだろ」
「あはぁ、いちいちそうケンカ腰になるなよ。ただちょっと思い出してさぁ。緑豊かなその国には、『蝶よ花よ』って表現があった。この国も花は咲くけど、蝶ってあんまり見ないよね」
「王都は人の街だからな。ちょっと離れりゃいっぱいいる」
「へぇ、そりゃ知らなかった。で、おれはきみと話していて思ったわけだよ。聞いたときにはいまいちピンときていなかったけれど、『蝶よ花よ』ってのはこういう意味かと」
「……どォいう意味なンだよ、その『蝶よ花よ』ってのは」
「女の子を可愛がって甘やかして育てる、っていう意味だったよ。ほら、イル、きみの妹の可愛がり方を見てるとぴったり」
今週分の妹への仕送りを詰めていたイルは、手を止めてそうだろうかと首を傾げた。
出演:「ライラプス王国記」より アルコル、イル
20240808.NO.16.「蝶よ花よ」
題 花よ蝶よ
私は生まれ持って何でも持ってるわ。
私の美しい容姿にはみんなため息をつくし、私が何かしようとすると、周りの殿方が替わりにやってくれようとするから、何もしなくていい。
お母様もお父様も私のこととても大事にしてくれているし、私が欲しいものはなんでもくれる。
友達も私の服装をいつも褒めてくれる。そんなに言うならとお下がりを上げると、凄く喜んでくれる。
勉学もクラスで一番。
そうなのよ、私には何も不足はないの。
何もかも兼ね備えてる私だけど・・・あの人だけは私にそっけない。
私が困ってても助けてくれない。
理解できない人種なの。
周りの人がなんて言っても甘やかすなって。
甘やかしって何?当然の権利じゃない。
私はその言葉を聞いて、いつもむすーっと彼を睨む。
彼は何も考えてないような涼しい顔をしている。
くやしい。
こんな人初めて出会った。
どうして私みたいな完全な人間の前で膝まづかないんだろう。
どうして。私の能力を認めて私に好かれたがらないんだろう。
「興味ないから」
ある日、どうしても知りたくて、私は彼を捕まえて考えてたことを問い詰めた。
つまり、なぜ、私のようになんでもできる人間を無視するのか、価値があると思わないのか、と。
彼はじーっと私を見てからそう言ったんだ。
「な、興味ない?!この私に」
私は衝撃で彼に聞き返す。
「うん、思いっきり興味ない。どんなに能力あろうが、成績や容姿がよかろうが、それが僕に何の関係があるの?僕は僕の力で人生をいきていくし、僕に相応しい友人も人間関係も自分で決めるから」
「は・・・?」
思わず間抜けな声が出た。
だって・・・何その考え方?
私のなかにはない。
人間って容姿とか勉強できるとか、何かあった方が良いに決まってるじゃない。
それ以外なんてないじゃない。
って伝えると、彼は呆れたような顔で私を見つめた。
「そっか、それが君の世界なんだね。頭がいい人、なにもかも持っている人、その人だけが優れてて、他の人はそうじゃないって。僕はね、僕の趣味の話し出来たり、いつも僕の心配してくれたり、助けてくれる優しい友人がいるから、それで充分なんだ。そこに、頭いいとか他の条件はないんだよ」
彼の優しい微笑みを見ながら私は声を出せなかった。
彼の考え方が理解できない、それでも、彼から目が離せなかった。
私にはない、そんなこと・・・。
考え込んでいると、彼はそれじゃあ・・・と去っていこうとする。
「待って!」
私は思わず彼の服の袖を掴んでいた。
「なに?」
怪訝そうな彼の顔に、私は自分でも何でそんな行動をしたのか分からずに止まってしまう。
・・・でも
・・・・・・でも。
「・・・なのね?」
私が言葉にしたのが聞き取れなかったらしい。
彼が私に聞き返す。
「何て言った?」
「私が、あなたにとって友達になりたいって思うような人間なら、条件なんて関係ないのよね?」
・・・何を言ってるんだろう、と思う。
彼もぽかんとした顔で私を見ていた。
でも、すぐににっこりした。
「もちろん。ま、でも、道のりは長いかもな」
「はっ、そんな、頭脳明晰な私なら、すぐにあなたが友達にしたくなるような友人になってみせるわっ」
「うーん、がんばるものでもないような、そのままでいいんだって」
「そのまま?」
彼の服を掴んだままだった事にはたと気づいて、あわてて手を離す。
「そう。何かあるからじゃなくて。何もなくても、だ、だ、その人のままでいいんだよ。君は、何かあるから好きか嫌いか決めてるだろ?そうじゃなく、何もなかったとしても、君は価値があるんだよ」
「何もなくても・・・」
「だから、そんな風に人を判断しなくなったら、いつでも君と友達になるよ」
あったかい気持ち。
おかしい。そんな気持ち初めてだ。
「あ・・・」
私は静かに頷いていた。
言葉が詰まってしまうのも初めてだ。
どうしたんだろう。自分がおかしい。
「じゃあね」
彼が去っていってしまっても、私はずっとその場を動けなかった。
衝撃と何だかあたたかい気持ち。
そのままでいい、何もなくてもいいんだって。
私、本当は頑張ってた。
勉強も、何もかも、みんながあなたならできる、あなたなら完璧だから、あなたなら美しいから。
だからこそ、その期待を裏切れなかった。
だから頑張った。
美しくあるよう、スマートな私、勉強のできる私、何でも完璧な私。
それじゃなきゃ好かれないと思ってたの。
それをあの人はそうじゃないって言ってくれた。
もしかして、そんな無理してる私のこと、最初から分かっていたのかもしれない。
私は自分の価値観が根底から揺らぐのを感じながら。それでもそれを不快どころか幸せの扉を開いたような気持ちに包まれていたんだ。
花は、とても綺麗に咲き誇り
蝶は、美しく羽ばたく
花は、植物の命
蝶は、昆虫の命
2つとも、色形違えどどちらとも小さい命を持っている
蝶よ花よ
空に美しく、風に乗って世界を色鮮やかにしてくれる
蝶よ花よ、四季が毎年変わろうとも災害が来ようとも、その綺麗さ美しさは変わることなど決してないだろう
蝶よ花よ 命絶えようとも、枯れようとも、
長く生きた証を必ず残し、また誕生し続けるだろう
蝶よ花よ。
愛でられて然るべきと微笑みを受ける者たちよ。
美しさ故に奪われ、飾られ、短い者たちよ。
奮い立て。
醜き芋虫、試練の蛹。
誰もが美しく羽化するわけではないのを奴らは知らない。
暗き土中、渇く熱気。
誰もが豊かに育つわけではないのを奴らは知らない。
奮い立て。
蝶らしからぬと言われども。
花らしからぬと言われども。
我々はただ、生きている。
芋虫のまま巨大になり、日陰に隠れようとも。
しなびて枯れ、つぼみすら付けられずにいようとも。
蝶よ花よ。
私が私を認めるの。
《蝶よ花よ》
自分では
しっかりしてるつもりだけど…
周りからしてみたら違うらしい
そんなにいいものじゃないのに、な
わかば
━━━
《蝶よ花よ》
箱入り娘
そう言われ続けた
だから
自分のことは話さなくなった
あなたのことは信じていたのに…
離れていってしまった…
これもある意味
自分の思い込みがもたらした
結果なのかな?
悲しいなぁ
あおば
一人っ子に憧れた幼少期
「まだ新しいでしょ?」とお下がりの文具を持たされ、
姉が乗らなくなった自転車を乗り回す。
姉二人にテレビのチャンネル権を明け渡し、
『りぼん』と『別冊マーガレット』(注:少女向け雑誌)は
二人が読み終わってから。
ときどき、こっそりと
妹に対して 姉の特権を発動させてみるものの
あっさり告げ口をされては
「お姉ちゃんなんだから」と親につっこまれ。
一人っ子の苦労や寂しさなんてものを
まるで知らなかったから
“なんでも新品、部屋は一人部屋、自分で選ぶ楽しみに溢れてる”
そんな 蝶よ花よの一人っ子 という存在に
憧れを募らせていた。
無い物ねだりとはいうけれど、
やっぱり 一度は 味わってみたかったかな
128:蝶よ花よ
私はなんでも与えられた
蝶よ花よと育てられて
でも、そこに愛は無くて
私は愛を知らない
愛ってなに?必要なものなの?
お父様に聞いてみた
答えは返ってこなかった
お母様に聞いてみた
そんなものは必要ないと言われた
、、、愛ってどうやったら手に入るの?
ねぇ、だれか教えて?
お題『蝶よ花よ』
蝶よ花よ。
何をしても、何を言っても
可愛い可愛いと煽てられ
食べたいものはいくつでも
欲しいものはいくつでも
笑顔を見せれば
何もかもが許された。
私は特別なんだと理解した。
東京、一人暮らし。
今の私は、ただの人
食べたいものはいくらまで
欲しいものはいくらまで
誠意を見せろと
何もかもが許されない。
何をしても、何を言っても
誰も私に興味が無い。
蝶よ花よ、コンクリートばかりの
この街で、私は一人枯れ果てて。
誰かの特別を羨んで
あの日の自分に惜別し
それでも生きる
今日もまだ。
蝶よ花よと手塩にかけ丹精込めて温室で、もて傅く。
大事に育てる慣用句をごっそり並べるとかえって本当に育ててる? というちょっと不穏な文章が出来上がる。
なにごともほどほどくらいがちょうどいいのではないだろうか?
蝶よ花よ
花の密は美味しいかい?
水は美味しいかい?陽の光は?
みんな誰かのおかげで生きていける
蝶が生きるのは 花の密などのおかげ
花が実を結ぶのは 蝶などの虫たちが花粉を花に届けてくれるから
お互いがお互いを支え合って 生きていこう
蝶よ花よ
どちらも同じ命だ
蟻も草も自然は命でできている。
だから私は虫を殺さない。
格好いいことを言ったが、たまにブーンというので、パチっと両手で潰して後悔する。
人間の反射だとしたら、反射を憎むね笑
そんな訳あるかいな。
人間も動物も…だから熊を駆除って言葉苦手なんだよな。
熊も命よ。
蟻も駆除?
うーん考えちゃうね。
蜂と熊さんはどこか違う場所で暮らすってことで。
蝶よ花よ
本当に愛されていると
わかっても
同じ熱量で
相手を愛せるかは
わからない
心のどこかで
いつも
カタオモイ
蝶よ私は貴方が嫌い。だが貴方は他のこらとも関係を持たず寄せ付けぬ。私は貴方のこと以外も利用する。他のこらを使って運ばせる。私は貴方を私のものにしない。寿命、種族も違う私達。諦めよう。
花よ私は貴方が好き。だが貴方は他の奴らとも関係を持つし寄せ付ける。私は貴方のところにしか行かない。他の奴らの所へ運びもしない。貴方を私のものにしたい。寿命、種族が違う私達。諦めれない。
お題『蝶よ花よ』
蝶よ花よ
過剰な歪み
猛烈な錯覚
自己から逸脱した投影
それは愛ではない
ただの欲で期待
あなたにはならない
あなたは終わっているから
だから間違えてる
そして期待は裏切られ
やがて絶滅へ変わり
その人を責めては慰められる
ありのままを見れるなら
間違えようがない
始めから違っていると判る
それに強要も出来ない
勝ち負けについて
生まれた時点で
ほぼ全ての人間は負けてるんだよ
負けることは特別ではない
で、あなたは何に勝ちたい
私は勝ち負けに拘らない
勝負になるくらい
そんな相手なら楽しめるはず
特に何もかかってなければ
(蝶よ花よ。)🦜
あのね。
・娘雀しゃん・・は、
どちらかと
いうとね、
(蝶よ花よ。)と、
可愛がれて
育ったからね。🦜
・確かに
綺麗で、可愛いいし
普段は、
とっても
優しい。
(でもね、)
「一度、怒ると
僕が、ブルブル
震える程
怖いんだたよ。」🦜
・でも。
✣僕が、
箸より重い物を
持たない、
甘やかされて
育った
から
【弱虫なのかも・・・ね。】
蝶よ花よ。脚本創作のためのアイディアが全く降りてこないことを嘆いていた私と少しでもマシになればとアプリの入手ボタンに指を押し当てた1分前の私を思い出す。蝶よ花よなどと言われてもなにも思いつかない。不甲斐なさとともに自分のアイディアのなさがより色濃くはっきりとする。しかし練習あるのみなのかもしれない。蝶よ花よ。まともな続きが書けない今日の私をここに刻んでおこう。
【蝶よ花よ】
華やかな君
宙を舞い
旅に出る
またいつか目の前に現れてね
蝶よ花よ
周囲に溢れる酸素を吸って。
燦々と降る雨を浴びて。
私の目を癒してよ。
飛べよ。過去の自分を殺しても。
そう。生きるだけ。生きるだけ。
また次の春まで待ってるよ。
蝶よ花よ
とどけておくれ
このおもい
いつもの日々を
肉の内まで
蝶よ花よ