『胸が高鳴る』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
くしゃくしゃの1万円札。煙草くさい待合室。握る番号札。誰かの呼ぶ声。胸が高鳴る。
胸が高鳴るのって、死にゲーのボス戦やってるときぐらいかな。
それでいいし、それ以外も結局は虚構で、そのうち味気なく醒めていくんだし。
声が聞こえるだけで嬉しくて。
授業のない日もたまに話しかけてくれたり、
貴方に少しでも近付きたくて始めたゲームの話で盛り上がったり。
頑張った分沢山褒めてもらえると、その度に胸が高鳴る。
その分他の子とも楽しそうに話してるのが聞こえてくるとモヤモヤしたり。
ダメなことはわかってるけど
私、先生に恋してるんだ
『胸が高鳴る』
勝手に期待して
勝手に裏切られて。
その繰り返しは大嫌いだ。
でも
どうしても
期待して胸が高鳴る。
このループはもう
どうにもできない。
胸が高鳴る。とは言ったものの今の私の顔はそんな可愛らしいものではないと断言できた。
一言で言えば高揚感。
自分がレーシングカーであれば大きなエンジン音がしているくらいに興奮を隠せないのだ。
胸が高鳴る
私とあなたのかけがえのない宝を産んでから1年。
私は出産、育児という大仕事で体型が大きく変わってしまった。
努力ではどうしようもない、崩れるのは仕方の無いこと。
わかっていたけど女性としては少々ショック。
「ごめんね、スタイル崩れちゃった」
私のスタイルが大好きと言ってくれていたあなた。
嫌われないか不安で、報告することで予防線を張ろうとする私。
「君は君でしょ、昔も今もずっとかわいいよ」
この胸の高鳴りはあなたが私の告白の返事をくれた日と何も変わらない。
出会って10年。
もう恋する乙女なんて言葉は似合わないけれど、
おばあさんになってもあなたに恋していたいのです。
“胸の高鳴り”
「母さん、私の眼鏡知らないか?」リビングでオロオロとメガネを探す私を見て家内はクスッと笑う。
「あらあら、またですか。」そう言いながら君は自分の頭を指す。その通りに頭に手を置けばそこには探していた眼鏡だった。眼鏡を手に取り君の顔を見ればあの頃と変わらない笑顔で「見つかって良かったですね」と微笑んだ。私もつられて笑ってしまう。
あの頃と変わらない君とのたわいもない会話に胸が高鳴る。今年で結婚して40年。
胸 が 高 鳴 る
君 か ら の 「 好 き 」 に 胸 が 高 鳴 っ て 、
で も 君 の 「 好 き 」 は 「 友 達 」 の 関 係
だ か ら で 、 恋 愛 の 意 味 で は 無 い ん だ ね
は ぁ ,,,,,,
そ ん な 事 軽 々 し く 言 わ ん で や
14 作 目
今日はついに推しの誕生日。自分の誕生日ではないのに、自分まで嬉しくなって《胸が高鳴る。》今まで集めてきた推しのグッズを机に綺麗に並べて、写真を撮る。こうして眺めていると、推し初めてから色々あったなぁ、と思って、呟いてしまう。親には何も思われていないが、思わず推しに反応してしまうと、つい声に出てしまうのだ。そのせいでたまに変な目で見られる。色々考えてたら、涙が出てきた。すぐ涙を拭いて、写真を加工してSNSに投稿する。すぐにいいねがついて、とても嬉しい。ふと時間をみると、もう2時間もたっている。今日は凄くいい1日だった。来年はどんな推しの誕生日にしよう。𝐇𝐀𝐏𝐏𝐘𝐁𝐈𝐑𝐓𝐇𝐃𝐀𝐘。
【胸が高鳴る】
君を一目見て胸が高鳴った事を今でも覚えている。
ふわっと風に舞う髪。花が咲き誇るような愛らしい笑顔。外見だけじゃない…
君を知れば知るほど愛おしく想える。小柄だけれど、責任感が強くしっかり者。困っている人を放っておけない優しさ。誰とも仲良くなれる太陽のような明るい人柄。
君と過ごしてなにげないことでも胸が高鳴る瞬間を積み重ねてきたから恋が生まれたのだろうか?
いつからかは分からないけれど、この気持ちは確かに君への愛おしい恋心。
君に伝える瞬間まで 後…何秒。
【胸が高鳴る】
それは色んなシーンで起こること。
例えば…楽しみにしていたこと
夢中になり興奮し始めること
何だかわからないできごと
人間の本能で起きること
酔いにより起きること
妄想に没頭したこと
危険を感じたこと
何か知ったこと
癒されたこと
嬉しいこと…のように
我々は今日もココロを弾ませながら旅だって行った。
……可愛いお洋服、綺麗な宝石、美味しいプチガトー。私の心を彩る魔法のアイテム。今日もMILKBOYで買ったお気に入りのスカートを履いて外に出よう。お店のショーウィンドウで着飾った私を見ると胸が高鳴る。
今日も私が世界一可愛い
はぁ「胸が高鳴る」
新しい会社、良い職場だといいな
これ以上自分を嫌いになる前に
辞められてよかった
仕事ってやらなければいけないけれど
それで悩まされたくないもの
もういいんだ、やった、嬉しい
楽しみすぎる
胸が高鳴る
ついさっき、彼から一言だけ
「〇〇、ごめん」とLINEにメッセージがきていた
今日のお題は「胸が高鳴る」だけど
高鳴るどころじゃねんだわ
返信もねーから、怖いし、不安だし、焦ってるし
どーしていいか分かんない
なにがなんでも
あんたにだけは、うんざりするくらい
縋ってやるんだから
私の胸の中も、頭の中もこんなにあんただけに
しやがったのに
無責任に捨てるなんて、絶対させないから
この瞬間を待っていた
ずっと会いたかった人に会える瞬間
この瞬間だけはドキドキして心臓がうるさい
なぜか不思議に歩く速度は速くなり歩幅は大きい
街のノイズさえも今は音楽
会う前の不安は会ってしまえば楽しみと嬉しさに変わる
こんなに幸せな気持ちになるのであれば、会えない時間も苦ではない
こんな幸せな瞬間がずっと続けばいいのに
胸が高鳴る____
2024.03.19
胸が高鳴る。きみの香りがする。動けなくなる。きみの声が聞こえる。まばたきすら惜しくなる。きみのぬくもりがすぐそこにある。わたしの世界が色鮮やかになる。
「紛れもなく、それは恋だね。」
唯一の親友の言葉がぼんやりとした頭に響く。
「初恋おめでとー。」
かけがえのない親友の視線は未だ小さな画面に向けられている。
わたしが何も返さないことを一つも不思議に思わないらしく、その目は動かない。まるできみに恋をするわたしのように。
「いやー、あたしも早く恋したいなあ。」
その言葉に心臓が踏み潰されたように、呼吸が荒くなる。
「ねー、どんな奴?」
決して広くない世界で、けれどその世界を丁寧に愛することができるひと、と言おうとした。
いま、目の前にいるひと、と言おうとした。
けれど、なにも言えなかった。
だって、きみを前にするとどうしようもなく唇が震えてしまう。
胸が高鳴る
待ち合わせには余裕がある時間なのに
家を飛び出して走る
きちんと整えてきた髪が乱れても
構っている余裕なんてない
君が来るにはまだ早すぎる時間なのに
そわそわと辺りを見渡す
我ながら挙動不審と思うけど
気にしている場合じゃない
もう少しで君に会える
それだけなのに
どうしてこんなに
胸が高鳴るのだろう
懐かしのバス停に一人たたずむ
あれから何年たったのか分からないくらい
時間は過ぎたけど
いまでも、あの場所に帰ってくると
手を振って送ってくれた彼の笑顔を思い出す
いくつになっても胸が高鳴る場所がある
整えられていない黒髪に、少しがに股気味の短い脚、お世辞にも高いとは言えない背丈。
私は、あの人を見た時に初めて、心臓の拍動する音を聞きました。
ふつふつと沸く血液が体内に流れて、身体中が熱くなったのを覚えています。
あの人は普通の人でした。目を引くような容姿をしていた訳ではありませんでしたし、一般的に見ると少し選り好みされる方でした。ああ、けれど、やはり顔は整っていたようにも思えます。少なくとも、悪く言われる貌では無かったと思います。
あの人は詩人でした。
綺麗な詩人でした。
綺麗な世界を書いているのでは無いのに、全ての詩が耳に美しく聞こえました。
あの人の声が耳に入る度に、私はこの人に尽くそうと思いました。他人の私が尽くそうと思っても、何もできはしませんけれど。
恋では無いのです。
恋のようなものではありません。
それは、キリスト教徒が神に拝謁するようなものなのです。自分が根本から作り変えられていくような、不思議な感覚がしました。
けれど、嫌悪感はしませんでした。今までの人生全てを失っても、この人に捧げられるのならば良いと本気で考えていました。
私はあの人を崇拝しています。あの人は神なのです。
あなたが分かってくれなくとも構いません。あの人の神聖さは、私だけが知っていれば良い。いえ、そうでなくてはならないのです。
ああ、あなたは可哀想な人!
あの人の美しさも知らないまま、死んでゆく!
私はあなたよりも早く死ぬのです
こんなにも心臓が早鐘を打っているのだから、私は誰よりも早く死ぬのと決まっています
それでも私は良いのです。あの人のために死ぬのなら、死ぬ理由があの人であるのなら、私は何にも構わない!
お題『胸が高鳴る』
日中の暖かい日差しを一掃するように、風が強く吹いた。方角はわからないけど、強くて冷たい風だ。私は思わず身震いした。
今朝、コートを羽織らずに登校しようとしたら、母に止められた。渋々いつもの紺のピーコートと白いマフラーを身につけて学校へ行った。友達はコートなしで登校している子も多かったから、三月にもなってコートを着るなんてちょっと恥ずかしいとさえ思っていた。
でもいざ放課後になって、部活も終える頃にはすっかり暗くなっていて、空気がひんやりする。日中の暖かさはどこへやら。あまりの寒さに冬へ逆戻りしたのかと思った。手袋は忘れてしまったから、手を擦り合わせたり、ポケットへ入れたりと忙しなく動かしていた。
こんなに寒い日は早く帰ろうと思う。でもなんとなくまっすぐ帰りたくなくてゆっくり足を動かす。ぼんやりと歩いていたら、いつもは通り過ぎていた本屋さんの前に差し掛かった。本は読まないし、欲しい雑誌も漫画も特にない。それでもいつの間にか足を踏み入れていた。
店内は人がポツポツといた。駅ビルの上層階にある本屋と比べて、こちらは静かで落ち着いている。いつも本屋へ行くと雑誌コーナーで立ち読むか、漫画コーナーで新刊をチェックする。今日はそんな気分でもないから、フラフラ店内を歩いていた。
文芸コーナーの中で一番目立つところに、厚みのある本が積まれていた。平積みの後ろには表紙が見えるように陳列されている。いつもなら気にならない場所なのに、思わず立ち止まってしまった。
著者は知らない。作品も知らない。本と一緒に並べられたポップには、"この町に住んで……"という見出しがついていた。"この町"とは、私が住んでいる地名だった。
急に親近感が湧いた。自分の住んでいる町に、小説家の先生がいる。郊外の閑静な住宅街である、この町に住んでいる人が、小説を書いて、本を作った。それがこの町の本屋に並んでいる。
不思議な気分で眺めていた。本の帯には"芥川賞作家"という文字が書いてある。ニュースで見たことのある言葉だ。とんだ有名人がこの町に住んでいる。どんな人なのか。どんな小説を書くのか。強く興味が惹かれて、ついには手に取った。
ずっしりとした重みがあり、硬いハードカバーに覆われていた。こんなに厚みのある本を手に取ったのは初めてだ。帯の背表紙や裏表紙の面を読んだ。"著者最高到達点"や"衝撃作"の文字を見て一気に期待が高まる。私はこの本を読んだら、読む前よりも賢くなるのかもしれないと本気で思った。
そんな熱も冷める文字を見つけてしまった。税込二千五百円。漫画だと五冊買えるし、雑誌は二冊でお釣りがもらえる。写真やイラストが載っていなくて活字しか並んでないくせに高い。高校生の買い物にしては高すぎる。
手に取った本をそっと戻した。誰にも見られてないからちゃんと確認して、平然と戻した。今月は好きなアイドルのCDリリース日が控えている。我慢するしかない。
諦めて棚から離れようとしたら、視界に入ってしまった。表紙を陳列している段に、なんと"著者サイン本"と書かれている。小説家の先生がこの本にサインしているらしい。この郊外の町で、サイン会でも開かれたのだろうか。でも、有名人のサインなら欲しい。棚に並んでいる数冊しかもうないみたいで、大変希少価値が高い気がしてしまう。
私はサイン本を手に取った。アイドルのCDはすぐにはなくならないけれど、このサイン本は絶対なくなる。それならすぐになくなってしまう方を買っておかねばならない。絶対これを逃したら、私は後悔する。
そうして、アイドルのCDに替わって買ってきてしまった。小説を読まない私が、どこの誰とも(一緒の町に住んでいる小説家)知らない人が書いたサイン本を。私は本を前にして、床に正座した。なんとなく、姿勢を正さないといけない気がした。
そっと持ち上げて、シュリンクを丁寧に剥がす。深呼吸をして、本を開いた。表紙を開けて早々、遊び紙のところに著者名と印鑑が押されていた。
「おおっ」
思わず声が漏れた。芸能人のようなミミズみたいななんかよくわからないサインとは違う。サインらしく少し崩れているけれど、ちゃんと著者名が読める。印鑑は四角い古印体だ。中学生の頃、美術の授業で彫ったことのある字体だから見覚えがある。なんだかこのページだけ御朱印みたいで神々しく感じる。
ただのミーハー心がくすぐられて、知りもしないのに買ってしまったけど、買ってよかったかもしれない。
私はページを捲って、とうとう本文に辿り着いた。ここからが、私自身との勝負である。せっかく高い買い物したんだからちゃんと読もう。読み切れるかの不安よりも、少しの好奇心が勝ってページを捲った。
この日から、新たに趣味の欄には読書の項目が加わった。
『胸が高鳴る』