『私の名前』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私の名前
名前を呼ばれることはあまりない。だいたい名字で呼ばれることが多い。
だからたまに誰かに優しく名前を呼ばれている人を見ると、その人の名前が幸せに満ちた音に聞こえて少し羨ましくなる。
私の幸せの音はきっともう聞こえないだろうから、帰りにコンビニで売り出し中の限定のミルクティーを買って好きなアーティストの曲を聴きながら帰ろう。
――とびきり幸せな曲と甘いミルクティーが、私をすくい上げてくれるから多分大丈夫。
日々家
[私の名前]
영 英
私がこの世に誕生した際に
お世話になった先生の1文字『英』を
両親は私にプレゼントしてくれたらしい
【私の名前】
いつも間違った名前で呼ばれて
名は体を表すというのならば
僕の本当は果たしてどちらになるのか
だけどみんなが呼ぶ名前に込められた期待を
壊さないようにどうにか繕って作り物の言葉を返す
そうやって”名前”を偽っているうちに
本当の名前さえよく分からなくなっていった
きみは名前を呼んだわけでもないのに
初めて”自分自身”を呼んでもらった気がした
だから本当の本当の名前は隠してしまって
”僕の名前を君だけが呼べるように”
2024-07-20
映画サークルの新歓コンパが終わり、周囲にいたメンバーはそれぞれ帰り支度を始めていた。私は一年後輩の長沢創に軽く目配せして、席を立った。
私たちは半年前から交際している。昨年入部してきた創が告白してきたのは十月のこと。その流れで付き合い始めた。今では、互いのアパートを行き来している。
「ホタル先輩の演技があってこそ、今度の自主制作映画は成り立つと思うんです」
二人並んで帰る途中、決して上手とは言えない私の演技を、今夜も創は褒めてくれた。ホタル先輩、の所に力が入っていて、私の胸は少しだけ痛む。
今、私は創に無言の嘘をついた。
始まった時は小さな嘘だった。けれども、ここまできてしまうと、もう取り返しがつかない。雪の塊が坂道を転がり続けて大きくなっていくように、私がついている嘘も巨大化してしまったような気がするのだ。
心臓の辺りが苦しい。私は立ち止まり、創に声をかけた。
「ねえ、ツクル」
二、三歩先へ歩き出そうとしていた創が足を止め、振り返る。その顔が決まりの悪そうな作り笑いに変わった。
「どうしました? ホタル先輩」
胸の奥が、きゅうっと締めつけられた。私は遂に真実を口にした。
「私、実はホタルじゃないの」
きょとんとしている創に、私は打ち明けた。
「蛍と書いて、ケイ。私の名前は岩村ケイ」
創が、ぎこちない笑顔を見せた。そして少し震えたような声で呟いた。
「そうだったんだ。僕も勘違いしていたんだ」
勘違い。何のことだろう。状況を上手く把握しかねている私に、創は突然、満面の笑みを浮かべて言った。
「僕も、実はツクルじゃありません。創と書いて、アートと読みます。親が凝り性で、変に個性的な名前をつけたんです。迷惑な話ですよね。アートなんて、初対面で正しく認識してくれる人、今まで一人もいませんでした。だから出席を取られるのがいつも嫌だったんですよ。呼ばれるたびに訂正しなきゃならないので」
その時の私は、きっと気の抜けた顔をしていたことだろう。
創は私の表情を隅々まで確認するように凝視すると、優しく微笑んだ。
「ケイ先輩。今後ともよろしくお願いします」
『私の名前』🧡
僕の名前。
好きじゃない。
でも、
好きな人に呼ばれると
嬉しくなる。
たまには
自分の名前が
好きになる。
私の名前
私の名前を決めたのは母だ。
6月生れになるからと「ジュン」に決めていたらしい。「ジュン」は英語で6月のことで「ジューンブライド」なんて言葉もあり、6月の花嫁は一生幸せになると言われてる。
母にとっては、ちょっとした憧れや子供の幸せを願ってのことかもしれない。
なのに私の名前は「ジュン」ではない。
私が生まれる2週間前に生まれた従兄弟の名前が「ジュン」だと聞き、急遽変更されたのだ。
母の憧れは2週間というタッチの差で、惜しくも破れてしまった。
まあ、そんなに思い入れもこだわりもなかったのだろう。
今は別の名前だけれどそれほどイヤな名前ではない。
むしろその当時の流行りの名前だったのだろう。中学生の時、同じクラスに私も含め同じ名前の子が4人いた。人気の名前だが困ることもあって、名前を呼ばれたら、それが自分のことなのか別の人のことなのか分かりづらく、返事をしていいのかダメなのか悩む場面が何度もあった。それもだんだん慣れていき、呼ぶ相手の声で自分に用事があるのかないのかが判断できるようになっていった。慣れとは恐ろしいものだ。
私の名前は母がつけたちょっと昔に流行った名前。この名前は私に馴染み、私を形成するものも1つになっている。
これからもよろしく!
わたしは、なんだっけ。
わたし、私、は。
「 」
だいじょうぶ、呼ばれたらわかる。
大丈夫、だいじょうぶ。
あなたの名前も、わかる。
あなたは、どんな人だっけ。
知ってる声、知ってる笑い方。
でもわたしはあなたとどんな話をしたっけ。
名前を、呼んでくれませんか。
おねがい。
わたしは、私でいたいから。
(私の名前)
学生さんは夏休みなんだなあ
2024/07/20㈯日記
すごくすき
うまれてはじめてもらった
いちばんみじかいみじかな詩
僕は自分の名前が嫌いだった
だった、と過去形なのは君に出会えたから
『ねぇ、朔』
「何?」
スマホのスピーカーから聞こえる君の声
朔とはネットネームであり、本名の1部だ
『朔の本名ってかっこいいよね』
「そう?」
僕のいつもの返しに君は楽しそうに笑う
むかしむかし、あるところ。
魔王に支配された王国と、アクを倒すべく立ち上がった勇者達がおりました。
山越え谷越えアドベンチャー
魔物を倒して勝利の美酒
仲間を信じ命を預けそんな日々ももう終わり。
「悪しき魔王め
皆を苦しめた罪を、あの世で償うといい!」
グワァァァァア
魔王は倒され、勇者達は国へ帰還し、世界は永劫の平和に包まれました。
めでたしめでたし。
みんなは喜び、歌い、踊り。
もう一生、恐怖に震えることはないのです。
怖い事などないのです。
どんなに幸せな事でしょう。
そんな騒ぐ饗宴の片隅で、ラム酒を煽る男がひとり
此度の主役が、ひとり
大剣を背負い、聖なる魔法を駆使して世界を救った英雄は、もう世界から必要とされることはありません。
あの興奮に満ち溢れた日々は2度と帰ってこないのです。
なんてフシアワセな事でしょう
男は酒を飲み干すと、静かに何処かへ去っていきました
誰も気づきませんでした。
仲間の王女は歓迎パレードに引っ張りだこだし、
かつて背中を預けた魔法使いは論文に忙殺され、
旅で出会った荒くれ者は恋人ができて忙しかったのです
国民さえも、気付きませんでした。
役目を果たした勇者は、もう必要なかったからです。
数百年後.......
平和だった世界に、恐ろしい魔王が生まれ落ちました。
魔王はあっという間にこの世の半分を支配し、
魔物の数を増やし、王国を絶望に陥れました。
むかしの慣習に従って、恐ろしき魔王に抗うべく新たな勇者達が立ち上がりました。
山越え谷越えアドベンチャー
魔物を倒して勝利の美酒
仲間を信じて背中を預け、笑いあり涙ありの冒険譚
そんな日々ももう終わり。
新たな勇者と対峙した新たな魔王は告げる
「私の名は.....
勇者。いや、魔王アルファード」
お前は私の退屈を癒してくれるかな?
強大な力を持った新たな魔王は、闇に染まった勇者の力で立ち上がる幾人もの勇者達を討ち滅ぼしてしまいます
それでも幾人もの勇者は立ち上がります。
立ち上がるしかないのです。
気づかぬうちに心までも操られた人類は、
ずっとずっと、男の手のひらで踊り続ける
きっと、ずっと。
【私の名は】
いくぶん強すぎる自覚はあれど
名付けられた由来通りの人間であると思う
おのれを誇りに思う
名前とは
呼ばれ読まれて知られて見られる身分証
名に恥じぬ生き方を、せめて
26日目
「むめ」はある種のコンセプトだ
思考と感性の分離を目指した結果だ
初めは誰よりも純粋に、無邪気に生きようとした
けれど真っ直ぐ生きるにはこの世界は酷すぎた
正しく生きることは出来ないと思ってしまった
だからこそ純粋な感性と
どうしようもない思考を分離しようと考えた
その結果生まれたのが「霧雨」と「夢芽」だ
霧雨の中でも光の中に恋をして夢の芽を咲かせる
これら2人が1人で「むめ」だ
#私の名前
「ねぇ、みことちゃん」
「………え?」
「ふふ、どうしたの?そんな驚いた顔しちゃって」
「恋人だから、名前を呼ぶのは普通でしょ?」
「いや、、え、っと…」
さっきまで笑っていた顔が歪んで、泣きそうな顔で俯いてしまうみことちゃん
「あ、みことは本当の名前だったね」
「俺の前では偽名だったの、忘れてた」
「ちが、」
分かりやすく動揺する姿に思わず笑ってしまう
「あははっ、大丈夫だよ。そんな怖がらなくて。怒ったりしないよ?」
「お互い様だからね」
私の名前
確か、長生きしますようにという願いを込めて
付けられたんだっけ。
疲れたときにこの意味を思い出すと
頑張らなきゃと思える。
私はこの名前が好きだ。
なんだか自分にぴったりな気がするから。
雰囲気とか。
この名前をつけてくれた両親のためにも長生きしなきゃ。
ちなみにここでの名前、「桜」は
単純に一番好きな花だから。
他にも色々あるけれど
大きくはその理由。
本名に限って言うと、たいして親しくない人から下の名前で呼ばれることに強い抵抗や違和感を感じてしまうのは生まれ持った気質だろう。親しい仲にも何とやらで、名前に限らず、やたら距離感が近く馴れ馴れしい人と上手くいった試しがない。どこかで必ず何かしらの溝が生じるのだ。そんなときはけっして無理をせず、そっと距離を空けることが得策。年を重ねた今だからこそなせる業。
四十と数年、違和感なく、程よい距離感で付き合える方々の存在のありがたみを噛みしめる機会が増えた。「私」という人間を尊重してくれる人のために使う時間は、貴重であり、希少でもある。
NoName。
この名前を使って1年ほどになる。
他に紛れる事が出来るこの名前は、1年経った今も変わらず気に入っている。
没個性的で、存在の希薄さを伴う感じが実に心地好い。
多くの人が行き交うスクランブル交差点に何食わぬ顔で紛れ込み、ふとした瞬間に人混みから姿を消しても誰一人気付かない──。
そんな妄想を抱いてしまうくらいには、この名前を気に入っている。
今後もこの名前を変えることは、ないだろう。
私の名前。
時代もあって、字画でつけられた名前。
しかも、同居していたおばあちゃんが、お寺に行く際に決めていた名前を忘れてしまい、字画で勧められた名前に変更。
お陰で、特にパッとするほどの学業でもなくクラブには所属していなかった為、これまたとりあげる所もなく、地味に終わった学生時代。
月並みな苗字に月並み過ぎる名前。
しかも、同じクラスで本来つけられていた名前の子がスポーツも学業もでき、人からも愛されるタイプ。
名前で決まったのか。地味な人生。
だとしたら、おばあちゃん恨むぞ。と。
あははは。とりあえず名前のせいに、させてもらおうか。
あの人はきっと
花のように凛として
あの人はきっと
鳥のように優雅で
あの人はきっと
海のように穏やで
そんなあなた達に出会い
何かを感じ
何かを学び
何かを諦め
何かを手にした
それを使いこなすには
まだまだ経験が浅いけど
それを使いこなせなくとも
それは確かに私の手にある
私の名前は二文字。
姉達は三文字なのに、なぜ私は二文字なの?
それがずっと気に入らなくて、
その上、ありふれた名前でつまらないと思ってた。
もっとこう、平凡でない、そして三文字の名前に
とてつもない憧れをもっていたのだ。
「有名な一宮神社でわざわざ命名してもらったのよ」
なんて聞かされても、
自分の名前に対する好感度はさっぱり上がらなかった。
それで、妹が生まれたとき、
名前の候補がいくつかあがっていて、
最後は私の「同じ二文字がいい!」の発言で
めでたく(?)妹も二文字の名前になった。
ぼんやりとその時のことは覚えてる。
それからというもの。
「私の名前もまあ悪くないか~」となって今に至る。
人って恐ろしく単純なものである。
109:私の名前