『狭い部屋』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
元々は広い部屋だったけれど
いつの間にか狭くなっていた
けれどそれはこの場所で僕と彼で
積み上げてきたものを表しているはずだ
もうすぐ報告書も作り終わる
集中していたせいか
先程まで聞こえていたもう一人の作業音が
途絶えていることに気付くのが遅れた
二人きりの部屋
その人は背もたれに体重を少し預け
腕を組んだまま目を閉じていた
珍しい姿につい数秒見つめてしまったが
すぐに視線を戻し報告書を完成させた
できるだけ静かに立ち上がり
うたた寝する人の元へ歩く
綺麗に整った寝顔に
心の中で、お疲れ様です、と呟く
と、
唯一見慣れることのできない吸い込まれそうな瞳と
パチッと視線がぶつかった
「……何か飲まれますか」
いつもの声掛けをいつものようにすると
「……ああ、コーヒーをくれ」
とだけ返ってきた
瞳だけでわかりあえる
僕があえていつもの声掛けをしたこと
彼はそれに気付いた上でいつもの返事をしたこと
踏み込みすぎない、踏み込まない
必要最低限の会話だけで効率的に動く
この狭くなった部屋で積み上げてきたものだ
きっと指先でも間違ってでも触れてしまえば
この部屋は広くなってしまう
枕元の壁際三十平方センチメートルのところ。
今よりもっと小さい頃に使っていたらしい、美少女戦士たちの枕を柵に沿って立てかけて。
リス、ネコ、ウサギ、オコジョの小さなぬいぐるみを並べて。
先日夢の国で買ってもらった、光ってプロペラみたいなところがグルグル回るよく分からないおもちゃと。
文字盤が光って見やすい、世界的大泥棒の目覚まし時計をランプ代わりに置いて。
自分の好きなもの、気に入ったものを並べていたあの空間が、一人きりになれる場所だと感じてた。
そんな二段ベッドの下の段が、私の唯一無二の城だった小学二年生までの話。
『狭い部屋』
《狭い部屋》
目を開くと、見覚えのない天井。
僕が眠っていたのは、ようやっと自分が寝返りを打てるかという広さの部屋。
そこには床どころか、壁にも何も無い。
そう。外に出る扉さえも。
息苦しさを覚えつつ隠された出口を探す。
無い。こちらにも。ここにも。ただ無機質な白が隙間無く空間を覆うだけ。
なぜこうなったかは理解出来ないが、脱出が不可能な事は理解出来た。
壁に触れながら嫌な汗が流れた時、背後から突如中将の声がした。
「貴様は、邪なる存在である。災いとなる前に処分する。」
驚き振り返ると、誰もいないはずの場所には銃を構えた中将と。
銃の先には、闇に魅入られし色を持つあの少女。
何故扉も無い室内に彼らが現れたのか。
それを考える間もなく、少女と目が合う。
大きな赤紫の瞳には、怒りも暴威も憎悪も無く。
涙と共に悲しみのみを湛えていた。
中将の判断は正しい。僕も同じ見立て故に彼女を監視していた。
が、心の奥から湧き出てくるのは、彼女のくるくる変わる表情。
そして、眩しいばかりの笑顔。
知らず、僕は飛び出し中将の銃へと手を伸ばしていた。
しかし、触れたはずの手は銃を通り過ぎ宙を掴む。
空の掌を信じられぬ気持ちで握りしめた刹那、鳴り響く銃声。
糸が切れた操り人形のように崩折れる細く小さな身体。
抱き上げようと手を伸ばすも、やはり通り抜けて空を切る。
見開かれた目から、消えゆく光。
どうして。どうして。
頭が真っ白になる。何も考えられない。
自分の目から涙が流れる理由すら考えられない。
後悔をぶつけるように、拳が血に塗れる程に壁を殴る。
衝撃で掠れた喉から出るはずもない声は、腹の底からの咆哮へと変わる。
「…どうしたんですか?!大丈夫ですか?!」
気付けば僕は自宅のベッドで身を起こしていた。
自分の荒れた呼吸と鼓動に戸惑っていると、ベッドの横には銃弾に倒れたはずの彼女の姿が。
「すみません。入室は無礼かとは思いましたけど、物凄い悲鳴がしたので驚いてしまって…。」
両手を肩の高さで不規則に振りながら、わたわたとしている彼女。
驚き、不安、気掛かり。それらが綯い交ぜになった表情は、変わらず豊かで。
闇から与えられた赤紫の瞳には、明るい輝きが。
「お騒がせしました。悪い夢を見ただけなので、もう大丈夫です。」
あの夢が現実になるべき。
頭ではそう分かっているはずなのに、咄嗟に出たのはこの答え。
正しいのだろうかと心の中で自問する僕に対し、
「よかった」と呟いた彼女の顔は、見覚えのある眩しい笑顔だった。
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※蛇足ですが、「狭い部屋」の夢が表すものは、部屋の環境や対する感情によって変わるそうです。
今回のテーマは狭い部屋
なんか書くことがみんな偏りそうだから
今回はシンプルに
狭い部屋でも自分の部屋があるのは素晴らしいw
「広い部屋」より「狭い部屋」の方が落ち着く。
広い部屋にいるとどこを見ればいいのか、どこにいればいいのか分からなくなってしまう。
狭い部屋を息苦しく感じてしまう人もいるだろう。
確かに窮屈に感じることもある。
それでも私は「狭い部屋」が好きだ。
暗い部屋
今日もいつものように小説を読んでいた。
その時このアプリを見つけた。
最初は、偶々目に映ったものをインストールした次第だった。
はっきりいって書くことがない。
考えるのが面倒くさく、仕事の疲れが思考することを止めに来ている。
まぁテキトーに書いて行けたらいいなと感じる
そう思いながら暗い部屋で今日のことを思い出しながら夜を過ごす。
#狭い部屋(2024/06/04/Tue)
眺め回して見渡せると、不思議と安心する
だからあんまり大きな部屋は ね
せいぜい四畳半
まわりの物に手が届く
いつでもほっとできる
へんかな でもいいじゃない
やっぱり自由が一番だもの
狭い部屋に溜まる
ストレスや、涙や、もやもやで
床は、ビチャビチャに濡れて
いつか、この部屋は
水槽になってしまうだろう。
そうして、息苦しくなって
窓を開けて
部屋に溜まりきった大量の水に
押し流されるように
地面に落ちるんだ。
水槽から、飛び出してしまった
魚のように。
【お題:狭い部屋】
【狭い部屋】
肩を並べて
仲睦まじく
今は懐かし
狭い部屋
“狭い部屋”
セマイヘヤ…
ココハドコ?
薄暗く、窓はない
いや、天窓があるか
そこから月明かりだけ差し込んでいる
冷たい床の上に私は膝を抱え座っている
部屋にはナニモナイ
ココハドコかな
寒いから早くあたたかくなればイイナ
狭い部屋
自分の好きな物がこだわって飾られているワンルームは、どんな場所より息がしやすい。
日々家
静かな街。
古めのアパートの2階。
玄関を開けてすぐ左側にはお風呂とトイレ。
台所は備え付けのミニキッチン。
ちょっと憧れてたロフト付き。
エアコンと洗濯機は前の住人の置き土産なんだって。
ベッドは少し悩んだけどセミダブル。収納もね、少し広め。
冷蔵庫は小さくていいかな。電子レンジは必需品!
料理苦手だからさ、買ってきたもの多くなるかもだし……
そんなふうに笑っていたあの日が懐かしい。
君とこの部屋で過ごした全部が大切な思い出。
好き嫌いが多いのはきみだった。
でもね、きみが嫌いなものは全部自分の好物だったよ。
きみも好きだって食べてたやつだったよ。
優しさだったのかな。
狭い部屋だった。
君と過ごすにはちょうどいい狭さの部屋だった。
ねぇ、いまは一人暮らしになったこの部屋は思ってるよりも広かったよ。
収納も、憧れてたロフトも、セミダブルベッドも
一人だと広くて寂しいよ。
狭い部屋で迎える
朝の日は
なんとも言えない温もりで。
*狭い部屋*
この目で四方を見渡せて
壁に守られていると実感する
空間にあるもの全てが自分の手中にあって
テリトリーだと思える
子供の頃、
押し入れの中を秘密の部屋にしたときのようなあの感覚
ここで巡らす思考は無限大
63:狭い部屋
[個人的雑記]
今日で開始2ヶ月。気付けば6月に突入していた。
一年の折返しと聞くと、なぜかいつも焦りを感じてしまう。
アプリは、気持ちを整理し吐き出す場所としてもそうなんだけど、皆さんの人生や日々、頭の中を垣間見させてもらっている感じで、そこからエールをもらってる。
お馴染みの方々の更新も嬉しい。
物足りないとも思える距離感が、現代ではちょうどよいさじ加減かも。
「狭い部屋」
壁、床、天井、窓や戸は?照明は?
なぜ狭いのか、何のための部屋?何が起きる?
オチは?人物は?感情は?作品のテイストは?
どんな要素で書きたいか?
カプ、神秘、ホラー、絵で表したい表現
読後感はどうしたい?
「書いて」アプリ初めたてです
話ではなく何を考えるか?になってしまいました
皆さんの投稿を参考にします
狭い部屋
私は今日も狭い部屋に1人ぽつんと閉じこもる
扉を開けて踏み出すのが怖いから
でも、ずっと同じところにいても退屈で楽しくなくて
ここから出て行きたいって思う
「誰かがこの扉を開けてくれたら、、」
そう、いつも思ってる
狭い部屋ってどれくらいの広さの部屋を言うのだろう。
6年前に住んでいた部屋は6畳+ロフト1畳、ユニットバスのワンルームだった。
初めての一人暮らしで、それで足りていたし、満足だった。
狭いっていうよりはちょうどいい部屋だった。
生まれてから30年以上、一人で住んだことがなかったから、
何もかもが新鮮だった。
自由に過ごせる時間も、誰も気にしなくて良い空間も、不意に来る寂しさも全部楽しかった。
懐かしいな。
またそんな日が来るかな。
『狭い部屋』🧡
檻みたいな部屋。
必要最低限しかなく
閑散としてる。
いつもひとりで
寂しそうにしてる。
僕のココロは狭いから
ココロの中に住む僕も
窮屈に。
#駆と棗 (BR)
Side:Kakeru Mizushina
「…え?これどういう状況…?」
貸してもらっている合鍵を使っていつものように棗くんの住むアパートに遊びに来たら、寝室にある狭いクローゼットの中で何故か体育座りをしている棗くんを発見した。
"棗くん、こんな狭いところに閉じこもって何してるの?"
"駆…!いいから早く、扉を閉めて!"
"えっ?どうして??"
棗くんの震える指がさしている方向を見ると、部屋の床を横切る八本足の黒い影が。
なるほど、犯人はこいつか…!
"早く何とかしないとあの蜘蛛こっちに来ちゃうよ…!どうしよう…"
"…棗くんはここにいて。俺が何とかする!"
幸い俺はGがつくアイツ以外ならほぼどんな虫と遭遇しても大丈夫な男だから、ちりとりと箒を武器にヤツと対峙した。
まず俺はベランダに通じる大きな窓を開けてからヤツをちりとりの中へ誘導し、乗っかったそいつを素早くベランダの柵の外へ勢いよく放った。
朝に遭遇した蜘蛛は殺さないほうがいいとどこかで聞いたことがあるし、これで大丈夫なはずだ。
「よしっ、解決!」
ふと棗くんのいるほうを見ると、まだクローゼットの中でガタガタ震えている。
まぁ、益虫とはいえあれは…虫が苦手な人には恐怖でしかないよね。
俺はちりとりと箒を片付けてから、そっと棗くんに近づいた。
「…っ!!」
"棗くん、蜘蛛逃がしたよ!"
"えっ、本当?"
"うん、もういないもういない!"
棗くんはフゥ…と深いため息をついてから、ゆっくりと立ち上がった…が。
「おわっ!?」
長時間同じ姿勢で座っていたせいかバランスを崩した棗くんを、俺は咄嗟に腕の中に抱き留めた。
棗くんが後頭部を強打する前に助けることができたけど、その代わりに俺が右肩を強打した。
「…いっ…たぁ…!!」
"駆…!?"
心配そうに俺を見上げる棗くんに「大丈夫」と手話で伝えたけれど、守った代償が痛すぎた。
ほぼ身動きがとれないこんな狭い空間では、さすがに無理がある助け方だったかもしれない。
"うぅ…俺、かっこ悪いなぁ…"
"でも…駆は、僕が頭をぶつけてしまわないようにしてくれたんだよね?"
"うん…"
"ありがとう…駆。でもごめんね、また僕が迷惑かけちゃったね"
"迷惑だなんて思ってないよ!"
俺は棗くんと一緒にクローゼットから出た後、まだ申しわけなさそうにしている棗くんをぎゅーっと抱きしめた。
"俺は棗くんの味方だから、棗くんを守りたいって思うのは自然なこと。だから迷惑とか思ってないからね?"
"…うん…"
"…あ。棗くん、おなかすいてる?朝ごはん作ろうか?"
"うーんと…あ、ハムエッグが食べたいな"
"よしっ、任せろ〜!"
棗くんにとっての脅威はいなくなったことだし、これでしばらくは平和だろう。
俺は2人分のハムエッグを作りながら、上機嫌で鼻歌を歌った。
【お題:狭い部屋】
◾︎今回のおはなしに出てきた人◾︎
・水科 駆 (みずしな かける) 19歳 棗の幼馴染
・一色 棗 (いっしき なつめ) 21歳 10歳の時に突然耳が聞こえなくなった
狭い部屋
荷物が増えただけ
断捨離すれば
狭くない
非常時の備蓄品
これらは
増える一方だ
心配症だから
なおさらだ
部屋は狭いまま
…仕方ないか