『無色の世界』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#76 雨予報
この春の終わりから降り続けている
色のない雨は、
世界の穢れを落としながら
自らを黒く染めながら
ずっと降り続けている。
きっとこの雨は
私を含めた世界の全てが
無色透明になるまで
ずっと、降り続けるのだろう__
お題「無色の世界」
#23 無色の世界
“無色の世界”というフレーズを読んで、小さい頃、この世のものがすべて透明だったらどんな色に見えるんだろうと疑問に思っていたことを思い出した。
真っ白でも、真っ黒でもない世界。
だけど、すぐになのか、しばらくしてなのか、とにかくわたしは「そうか、透明という色が見えるのか」と納得したことを覚えている。
透明色。
見られるとしたら、なんとなく死の間際な気がするな。
それに、死ぬまでに一度も見られない可能性の方が遥かに高いだろうなと思う。
透明色。
透き通った、すごく綺麗な色なんだろうな。
そして、実は。お腹の中にいるときに、薄い瞼を閉じたまま、安心しながら感じていた色なのかもしれないなと思う。
透明色すら存在しない無色の世界は、どんなふうに見えるんだろう。
白も黒も立派な色だから、絶望に満ちた世界の比喩としては、本当は使いたくないけどな。
流れていく景色はつまらない映画と一緒だと君は言う。
そんなことないと僕は言ったけど、君と別れた日に電車から見えた景色はつまらない映画みたいだった。
そうか、君はずっとこんな気分で生きてたんだ。
そう思うと何故かすっきりした。
世界って無色やと思わん?
だってさ、いろんな人がいて
いろんな考えがあるんよ?
もうそれが混ざったら透明超えて無色やろ
考え方とかによって自分の世界に
色が着いていくんよ
やから全体で見たら無色や!笑
君がいるセカイは、きっと色々な色に溢れているんだろうねぇ?
残念だけど、ボクはそうじゃないんだよね~。
色はあるよ?
でも、”無色の世界”よりはましって感じかなぁ。
……でも、ボクにとっては、それで十分、なんだよねぇ。
だって、みんなの色だけで飾られたセカイが、ボクにとって全てだからさ。
無色の世界
無色の世界
どんな暗雲が立ちはだかっても、
君はいつも光り輝く
無色の世界
きっと魂だろう
魂は無色だという
私が信仰している御教えでは
そう書かれている
ただ人間は
生きているあいだに
感情的になったり
愚痴や不平不満を
言う
魂は無色無臭でではなくなり
汚れていくという
だから
亡くなったあと
すぐには
神の元には
いけないらしい
幽界層から霊界層へ
長いこと浄化されてから
きれいな無色な
魂になって
神の元へ帰えるといい
イヤホンのつなぎ目がいよいよ危うくなり、もにもにとどこか口先だけで誤魔化すような調子の悪い嘘のようなべたっとまとわりつく音楽を届け続けていた。笑った、久しぶりに。電機量販店のばかでかい建物と看板はいつも同じようにまぶしいから寂しい。
僕の世界は無色の世界。
真っ暗で何も見えない。
僕は生まれつき目が見えない。
だから真っ暗。
でもね、お母さんに言われたんだ。
「真っ暗でも色はあるんだよ。黒っていう色がね。」
僕は真っ暗が好きになった。
ある日黒以外の色も見えるようになった。
僕の目はみんなと同じように開いたんだ。
黒以外の色は眩しかった。
ずっと真っ暗の世界に居たから。
僕は真っ暗の世界に戻りたくなって、
目を瞑った。目を瞑って考える。
どうやったらまた、黒の世界に戻ることが出来るのか。
一週間後、僕はまた、黒の世界に戻ることが出来た。
でもその目は開くことが出来なくなった。
56テーマ「無色の世界」
色を知らない世界で
何色を見るかは、あなた次第。
全部の色を見たあと、あなたはどう思うのか。
無色の世界だからこそできることがある。
色んな色を見てみよう。色んな世界を見てみよう。
大事なものがきっと見つかるから。
無色の世界
楽しい、嬉しい、悲しい、寂しい、好き、嫌い、愛してる、暖かい、冷たい…
感情に色はあるか?
その言葉に色はあるか?
雰囲気に色はあるか?
感覚に色はあるか?
私達が見ている色は存在するのか?
約187万と言われる色は存在するのか?
全ては光が見せる偽りでしかない
この世界に色など存在しない
いつからだろうか。
視界から色が盗られたのは。
___ボクの住んでる町では、『視界から色が無くなる』という奇病が発生している。
ボクも、発症してしまった。
そのことを知った時、ボクの目の前は真っ暗になった。
赤も、青も、黄色も、緑も、何もかも、見えない。
医者は、『いずれ目が見えなくなる』と言った。
治療法も確立されてない今、ボクは実質終わり。
ボクの家には、何も置いていない、今は有っても無くてもいい部屋がある。
壁も、床も、白い。
全て、全て、白い。
ボク以外の人にも、これは同じなんだ。
だから、そこで絵を描くことにした。
『色』がわからないなりに、描けるものがあるかも知れない。
___目の前が、本当に真っ暗になるまで___。
『無色の世界』
無色の世界から一歩を踏み出す。
その先に待つのが楽しいことなら、Happyな色に。
辛く悲しいことなら、涙色に。
イライラムカムカするなら、怒りの色に。
ホッとするなら癒やしの色に。
出会う出来事によって、色はさまざまに変化する。
その変化を受け入れながら長い道を歩いて行こう。
辿り着いた終着点が、幸せな色で包まれていますように。そう願いながら。
#無色の世界
僕の作品は何もこみ上げるものがないそうだ
イマイチ心が踏み込んで来ないと言われる
塗り絵をそのまま渡されたような無色の世界
そんな感じ
絵の具を溶き勇気を出して筆を走らせてみても、なんだかくすんでる
こんなことなら色なんかつけたくなかった
心の中の僕は泣く
再び絵の具を溶き、色を重ねる
満足いくまで作品に向き合う
やっぱりくすんでしまった
だけど、
前ほどキライじゃない
【無色の世界】
この世界は、モノクロで彩りがないわけじゃない。
ただ時々、色彩があると気づけないほど、日々の生活や周りの景色が味気なくつまらないと感じることがある。
そんな時は、知らない曲を聴いてみたり、気になる漫画や小説を読んでみたり、と自分自身にとって真新しいと感じる“何か”に触れてみることにしている。
未知の感覚や気づきを得られることもあるし、そこから知らなかった色を認識できるようになるかもしれない。
全てが汚い
全てが黒い
色を感じないのは
しんだのと同じだな
お題
無色の世界
無色の世界。
「自身のプレイスタイルを決めるのは諸刃の剣。
君は現にもう2回もその手で勝っている」
そう兄さまが彼に言ったことを、昨日のように思い出せる。
そういう兄さまも、自身の『白』に誇りを持って使っている。
似たもの同士、内に秘めた熱さも同じ、決めたことは譲らない。そんなところも良く似ていた、と思う。だからこそ、彼に近づいた。戯れに近づいた。「私は赤の輝きに魅入られただけに過ぎません」…それは本当。ちょっとしたお節介、そして彼にこの世界を知って欲しかった、そんな意図もあった。
「彼には無事に渡せたかい?」
部屋に帰ったら、珍しく兄は部屋に居た。
こちらのお節介も全て見透かされていたようだったけれど。
「…はい、渡せました」
あっさり降参して白状すると、兄は小さく笑ったようだった。
━━白。何者にも染まらぬ純白の騎士。私だけの騎士。
自身の信念をその鋭い棘で守るからこそ、薔薇は美しい。
私のためにだけ咲く、たったひとつの白い薔薇。
白皙の美貌。感情の少ない冷めた瞳。
どんな時でも冷静さを失わない。そんな瞳が、私を映す時だけ柔らかく細められることを良く知っている。特別、とくべつ。私だけが、兄の特別。色々な人達から特別扱いはされて来た、現に今だってされている。広い部屋、2人だけしか入れない部屋。兄がこの部屋に誰も入れたがらないことは良く知っている。きっと部屋の外では、部下が進捗の報告に今か今かと兄を待っている筈だ。
「…出かけてくるよ」
部下に対するのとは大きく違う声。温かい声。
「はい、いってらっしゃいませ」
柔らかく頭を撫でられて、その手が不自然に止まる。目線の先には私の胸元で浮かび上がる赤いルビー、赤のコア。
「…先ほどまで赤の世界に居ましたので」
少し言い訳がましくなるのは何故なのか。他人ではあり得ない魂の発現、その頻度。私の能力は全ての世界の影響を、受ける。赤の世界なら赤色に。青の世界なら青色に。それぞれの象徴を変幻自在に身に宿すこの能力。…染まりやすい、だが決して何者にも染まらない不安定な輝きの色。周囲が特別扱いする全ての元凶。全ての者が夢見る『可能性』、そんなものよりたったひとつの色に染まれたらどれだけ良いか。
「どうせなら白が良いのに」
「…それは、こまったね」
今居るのは白の世界。ならばここは白だろうと愚痴れば、小さく兄に笑われた。まるで私は幼い子どものよう。甘えから少し頬をふくらまして見せれば、目の前の彼は蕩けるように微笑んだ。途端に氷の彫像が人間になる。愛しげに蜂蜜色の瞳が細められて、何も言わないけれどその態度は何よりも雄弁だった。
この力は世界の根幹と繋がっている。世界から最も祝福された象徴、そして凶事の源でもある。何かと便利な能力でもあるが、こうして私の在り方は他者にも把握されやすい。
「なら、これで」
そっと恭しく手をかざされて、優しくコアが輝いた。赤のコアが霧散し、代わりに白い輝きが姿を現す。兄と揃いの、白い、ダイヤモンド。私の大好きな色。
「…んっ」
一拍遅れて押し出される赤い力の残滓に、思わず目を細めた。
━━染め替えられた、と気付いた瞬間、自身を襲った気恥ずかしさ。それでも嬉しいのだから自分でも救いようがない。
「…ご機嫌いかがかな、姫」
「…悪くありませんわ、王」
気恥ずかしさを誤魔化すように、戯けたようにお互い澄まして取り繕う。すぐに耐えられなくなって小さく笑った…過去を懐かしむように。私たちはたまに、こうしてふたりだけで遊ぶ事がある。10代の子供らしく。12と15の子どもらしく。そこに、そっと載せられた本心にはお互い見ないフリをして。
前世で夫婦だった私たちが、今世で兄妹とはなんの皮肉か。
「じゃあ、今度こそ行ってくるよ」
「はい。いってらっしゃいませ」
閉まるドア。ガチャンと重い音を立てて落とされる鍵の音。別に彼自身は私を閉じ込めたい訳ではないのだろう。ただ心配なだけなのだ、あの兄は。優しい声音と、冷たい鍵の音の対比がこの広い部屋に大きく響くというだけで。兄は手の届かない場で私が損なわれることを何よりも嫌う。だから手を尽くす。実直に、ひたむきに。欲望渦巻くこの世界で、兄のそばだけが唯一、安心できる。
途端に色を無くした世界に、目を閉じる。
きっとあの兄の歩みは止まらないのだろう。
かつて王で、今も騎士で、その孤高の色は無色に見えてこの世界で1番遠い色をしている。
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彼女の在り方は奇跡なのだと、決して損なわせてはならないと、ずっと言い聞かせられて来た。
そして同時に突きつけられても来た。彼女の能力は唯一無二の貴重なもの。そしてその根幹は兄であるお前への家族愛である、と。
兄というには気安さがなく、明らかな権力勾配があった。妹はこちらの言うことに必ず従うし、元々物静かであまり自分から意見を言う子では無かった。ただ常に行動は共にしている。一方的に兄が妹を連れ回しているように部下たちには見えているはずだ。現に、妹に何かをさせたいならば必ず俺を通すように、という流れを早々に作った。そこに不満はない。「全ては兄さまにお任せしていますので」彼女自身もそれに追従してくれている。本心はどうあれ、無表情、無感動、そして自分の意思を放棄する言動。そう見えるように振る舞っていることを、俺だけは知っている。誰よりも優しく動植物に心寄せるその性根に蓋をして、その美しさを隠している。人形よりも人形らしいと陰口を叩かれたことも1度や2度では無い。
意思の放棄を強制したことはない、が、それが妹の処世術なのだと俺は知っている。そうしなければ、彼女の心は耐えられなかった…。唯一の肉親、俺の手の届く範囲でのみ自由に羽ばたける、儚くも美しい絶対唯一の蝶。せめて安らげる場を、と彼女が絶えず欲望に晒され続けることに嫌気がさして、全ての者を退けて作った白銀の城。白亜の城。
ようやく安心できる場を見つけた妹は、ゆっくりと生来の可憐さを表に覗かせるようになった。蝶が羽化するように、ゆっくりと。徐々に人混みにも慣れ、ほんの少しその感情を顔に出しては無邪気にこちらに手を伸ばす。安心して身を委ねる。それがどんなにこちらの心を揺らしてくることか、彼女本人だけが知らない。ただの兄妹というには距離が近い。それは幼少期を襲った理不尽な暴力の嵐のせいだったし、彼女自身の特殊性もあったように思う。
前世で自分の花嫁だった彼女。
記憶の中の彼女は美しく笑う。
兄妹となった今と全く変わらない美しい貌で。
「彼には無事に渡せたかい?」
思索の海から無理矢理頭を上げて、部屋に帰って来た彼女に目線を向ける。少し驚いた顔をしているのは、俺が部屋に居るとは思って居なかったからだろう。他人からは睨んでるとかよく怖がられる顔も、彼女を驚かせる材料にはならない。
「はい、渡せました」
珍しく単独行動した妹の、これまた珍しいお節介。赤の世界に来た少年の、その仲間の家族の所持品。粗末な小さな首飾り。彼らのさがす、家族の手がかり。
「家族だから」と、きっとそんな彼女の優しさに小さく笑みが漏れた。「きっと彼らは泣いて感謝するだろうね」ただ、たどり着けるかどうかは別問題。妹の優しさに好感しか無くとも、彼らの行動には興味が無かった。
「…出かけてくるよ」
「はい、いってらっしゃいませ」
その『出かける先』が、先ほどの好意を潰すためのものだと妹は気づいているのだろうか。
誤魔化すように頭を撫でて、その横を通り過ぎようとする。…が、その胸元で主張する輝きがあった。
「…先ほどまで赤の世界に居ましたので」
赤いルビー。燃え盛る情熱の色。赤の世界の象徴。
彼女に他意はない。彼女の特殊性は全ての色を持ち、全ての色に染まるその力にある。それでも、先ほどまで戦っていたあの赤い少年を思い出して、少しだけ不愉快な気分になった。
「どうせなら白が良いのに」
「…それは、こまったね」
ささくれ立った心が一瞬で凪ぐ。
彼女に他意は無いのだろう。純粋に、どうせなら同じ色が良いと強請る子どもの心で。年相応に、少し膨らませた頬が愛らしい。
それでも好きな相手から、道ならぬ想いを募らせている相手からそう言われるのは結構な好意の暴風雨だ。
頬が上がるのを止められずに、その愛おしさに目を細めた。どれだけ周囲から冷徹と恐れられても、彼女にだけは敵わない。
「なら、これで」
そっと手を翳して、自分の色を流し込む。あわよくば染まれ、できれば、ずっと永遠に。そんな独占欲を「仕方ないな」と、妹の機嫌を取る兄の顔で覆い隠しながら。
「…んっ」
追い出された力は霧散して、彼女の背後で赤い蝶になった。すぐ虚空に溶けたその姿に、内心溜飲が下がるのは我ながら現金なことだ。入れ替わるように現れた白。純白の輝き。息を詰める彼女に仄暗い喜びさえ感じてしまって、開けないはずの扉さえ容易に開いてしまいそうになる。全部捨て去って、彼女の甘美な毒に溺れられたらどれだけ幸せなことか。
「…ご機嫌いかがかな、姫」
「…悪くありませんわ、王」
兄らしく澄まして見せて、「これで」なんでとんでもない。実際、この程度で済んでホッとしている。取り繕うように戯けて見せれば、彼女は朗らかに笑った。醜い欲望も、なにも知らない年相応の子どもの顔で。
「じゃあ、今度こそ行ってくるよ」
「はい。いってらっしゃいませ」
見送る視線に手を挙げて、応える。閉まる扉。ガチャンと重たく落とした鍵を、彼女はどう思っているだろうか。
ただの過保護な兄か、それとも前世からの重すぎる執着か。どちらにせよ、自分の囲った世界以外であの蝶を飛ばす勇気は無い。━━今のところは。
ならば世界の方を広げるまで。彼女が安心して羽ばたける世界を、ここ以外にも広げる。そんな臆病な野心家を、羽化したばかりの白い蝶が見ていた。
色の無い
世界もいずれ
染め上げる
『愛と混沌』
ヒトという種
【無色の世界】
母の腕の中で産声を上げた僕は
希望と共に真っ白なキャンバスを胸に抱きながら
輝く世界を目に焼き付けた
たくさんのものを見て聞いて感じて
僕のパレットにはたくさんの色が絞り出されていく
色のない僕の世界に何色を乗せ 濃く色付けでいくか
真っ白だった僕のキャンバスは鮮やかに彩られ
僕の未来を埋めつくしていく
―無色の世界―
「無色の世界」とは、どんな世界だろうか。
孤独……?
神秘……?
恐怖……?
希望……?
わからない。